見出し画像

マイナ保険証トラブルシューティング【気になったニュース】

マイナ保険証の利用については、医療機関からは、運用にあたっての問題点が多数指摘されており、度重なる促進施策をもってしても、マイナ保険証の利用率は低調に推移しています。

上記の2記事は、医療現場で起こりうるマイナ保険証に関するトラブルシューティングについて告知されたことをお知らせする内容でした。
これらについて、ベンダー目線で現状における対応策を整理します。


トラブル① そもそもPC や顔認証付きカードリーダーが正常に起動しない場合

●PC や顔認証付きカードリーダーの電源やケーブル類が抜けていないか確認する。
●PC や顔認証付きカードリーダーの再起動をする。
●ルーターや ONU の再起動をする。

解決しない場合、機器やネットワーク周りの問題が考えられるため、まずはベンダーへ問い合わせてください。

また、当面の診療においては下記の対応をしてくださ。

●有効な保険証が発行されている前提で、過去の受診歴等から確認した資格情報にて患者分を受領する。
●過去の保険証等確認できない場合は保険者資格申立書(※補足欄で説明)を記載してもらうことで3割負担分とする。

※補足:申立書について
マイナンバーカードでオンライン資格確認が行えず、過去の受診歴等からも保険情報がわからない場合、「全額自己負担」とせずに、被保険者番号等が不詳でも本人に資格申立書の記載を患者に求め、不詳レセプトとして請求を行うことで、紙保険証の提示がなくとも例外的に3割負担を受領することが可能とのことです。

https://www.med.or.jp/doctor/sys/onshi/011243.html


被保険者資格申立書


トラブル② 顔認証付きカードリーダーは正常に立ち上がるが、資格確認できない場合

原因が「顔認証ができない」場合

●患者とカメラの位置や光の加減を調整する。
●マイナンバーカードを袋から外す。
●暗証番号にて認証してもらう

解決しない場合は、「目視確モード」にて資格情報を確認する。(※補足で説明)

※補足:マイナンバーカードの「目視確認モード」について
本来、マイナンバーとそれを持っている患者との整合性をとるために、機械的にマイナンバーカードに印刷された顔と実物があっているのかを確認する「顔認証」やあらかじめ設定した「暗証番号」にて認証を行います。

ただ、暗証番号を忘れてしまった、マイナンバーカード用の写真から時間が経過して顔が変わり認証されなくなった、、、などの理由にて上記の方法でうまく認証ができない場合は、医療機関側でマイナンバーに記載されている情報や写真と本人を目視確認して、資格確認できる機能があります。

ただ、目視確認モードとして運用するには基本的には、資格確認用のPCを都度都度立ち上げてモード変更・操作が必要なのであまり現実的な運用ではないように思えます。この点は、指摘があったようで2025年春予定でシステム改修をし、カードリーダー側で目視確認モードを切り替えられるように対応される予定とのことです。

https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001120094.pdf
目視確認モード


原因が「有効な健康保険証があるにもかかわらず、マイナ保険証では無効と表示された場合」あるいは「マイナ保険証の電子証明書の有効期限が切れている」場合」

●有効な保険証が発行されていることを前提に自己負担分を受領する。
●被保険者申立書を記載してもらい、3割負担として受領する。

※補足:健康保険証とマイナ保険証の紐づけについて
転職や転居等で資格変更があり、別の医療保険に加入した際に、新たな資格情報が迅速に登録されるよう、昨年(2023年)6月に省令改正を行い「資格取得届け出から5日以内(資格変更から10日以内)にシステム登録する」ことを、医療保険者に求めています。そのため、「無効」のケースは極力少なくはなっているそうです。

※補足:マイナ保険証の電子証明書について
マイナンバーカードには電子証明書が登録されてますが、これには有効期限があります。

基本的には、電子証明書有効期間の3か月前からJ-LISより更新手続き案内が送付され、有効期限満了日まで3か月以下の場合には顔認証付きカードリーダーの画面上で更新のアラート表示を行っているようです。さらに本年(2024年)12月より、電子証明書の有効期間満了「後」3か月間は「引き続き資格確認を行える」よう対応するそうです。

本年(2024年)12月2日(保険証の新規発行終了)以降は、「有効期限満了日から更新なく一定期間(3か月程度)経過した場合には、資格確認書(保険証の代わりとなるもの)が交付されるとのことです。


余談:マイナポータルから現在有効な保険証閲覧可能です

現在マイナポータルから自分の保険情報が確認できるようです。
スマホにインストールした「マイナポータル」アプリを立ち上げ、

暗証番号を入力してマイナンバーカードをスマホにかざします。

そしたら、マイページに「証明書」の欄があるので「健康保険証」を選択。

意外と簡単に見れました。(個人情報部分は消してます。)


また、下のほうへ進むとこのような画面が。
どうやら毎回マイナポータルにログインしなくても済むように、保険情報が記載されたPDFを端末に保存できるようですね。



所感

今回は国から発表された対策についてまとめましたが、現場サイド的にはこの対処法では相当な混乱が起きるだろうな、、と感じてます。

まず、オンライン資格確認システムはどうしたってトラブルが起こりやすいです。ベンダー目線でも、既存のレセコンに無理やりオンライン資格確認システムを構築・連携しているので、「データがなぜか読み取れない」「レセコンに反映されない」というのは、主観的にはかなり多く復旧までに時間がかかる場合があるので「被保険者申立書」を書いてもらうというのはかなりナンセンスなのではないかな、、、と思います。(医療機関側もバタバタ、患者からはクレームというのが目に見えます。。)

仕組み自体が複雑ですので、もう少し使いやすいものに改修しないと回らないだろうなと。例えば、余談のように患者自身のスマホに資格情報をあらかじめダウンロードしておく、であったりマイナンバーカード自体に前回までの資格情報を残すなど、ネットワークが全くつながらなくなった時のスマートな別案を用意すべきだと思います。(被保険者申立書の記入というアナログな方式では患者数が多いクリニックは診療が継続できなくなるでしょう。)

この辺については、ベンダー目線・技術的視点でまた別の記事にまとめたいと思います。

参考資料

https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001277524.pdf


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?