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あの会話をきっかけに始まったコラボレーション

「#あの会話をきっかけに」のハッシュタグで前回、初めての朗読動画を撮った話を書きました。今回はその続きを書きますね。実はその動画がきっかけで、ツイッターで知り合ったフォロワーさんと一緒に、ポエトリーリーディング・ユニットを組むことになったんです。

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そのフォロワーさんはvanillableepさんと言います(ツイッターではtora : the vagabondと名乗ってます)。十年前にわたしがツイッターを始めた時に知り合った、古くからの友人です。元々DTMをやっていて、曲ができたらいつも見せてくれたので、今回はわたしが朗読動画を撮ったから今までのお返しでvanillableepさんにもお見せしたんです。そうしたら、
「声がいい! 大田さんのリーディングと俺の曲でコラボをやろう!」
といきなり返事が来て、そのまま勢いでDTM&ポエトリーリーディング・ユニットを二人で結成しました。ユニット名も勢いで『deus ex machina』で決定です!

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deus ex machina結成から一週間も経たずにして、vanillableepさんからコラボ用の曲と、彼が書いた詩が送られてきました。以前にポエトリーリーディング用に作ったものがあったそうです。DTMはテクノと言うよりもギターのフィードバック・ノイズ音を多用した、タンジェリン・ドリームやアシュ・ラ・テンペルやアモン・デュールを彷彿させるサイケデリック・ミュージックです。そこにゴシック調に磨いた詩が添付されていました。
わたしは詩をもらったその日の夜に、部屋でウィスパー状態で仮に朗読しました。イメージ的には森川誠一郎さんというミュージシャンのソロアルバム『空蝉』での森川さんのリーディングを真似てみました。それをvanillableepさんが一発でOKしてくれて、で、もう完成です!

これがdeus ex machina第一弾、『Replicated Footage』の最初の動画です。vanillableepさんが使っているGarageBandというアプリをスクショしたものです。シンプルに曲とリーディングを味わうなら、これがベストでしょう。
そして我々deus ex machinaは、次はReplicated FootageのPVバージョンの制作を検討しました。LINEで話して作詞作曲担当のvanillableep氏の根源的なイメージが廃墟だと伺い、実際にリアルに撮影する時間がないので、ネットでフリー動画を探しました。Pexelsというフリー動画素材サイトで廃墟のキーワードで検索、いいと思った動画を見繕いスマホにダウンロード、AndroidのPowerDirectorアプリで曲の節目に動画の一部分を挿入して編集したものが、下記のReplicated Footage PV versionになります。

Replicated Footage PV versionの編集方法は以前から培ってきたものが役立ちました。わたしはアニメやゲーム等の仕事をしてきましたが、足を洗ってからも水面下で趣味でファン動画を作っていました。お気に入りの曲にお気に入りの映像を組み合わせて、連句的でシュルレアリスムのデペイズマン的な意外性を楽しんでいました。特に、下記のCasbahというスラッシュメタルバンドのFive Thousand Feetという曲のファン動画が、今回のReplicated Footage PV versionに強く影響しています。Barakaという映画から映像を引用して、曲の節目に映像カットを挿入するタイミングがdeus ex machinaにも活かされています。宜しければ両者を見比べてみてください。


deus ex machina第二弾は『One Opposition : stateless decontrol version』と言います。それは間髪いれずに、vanillableepさんのReplicated Footageスクショ版が九月初頭に公開したあとに、わたくしM*A*S*Hが仕事の合間に制作を進めました。第二弾はvanillableepさんの曲を先に決めて、M*A*S*Hがそれに併せて詩を作る方法に。
曲はvanillableepさんのSoundCloudから下記の『One Opposition endless loop techno mix』という四つ打ちビートのテクノを選びました。

この曲を聴きながらAndroidの音声入力アプリNottaを使って、曲に併せて即興で詩を詠みました。
あとから聞き返すと語彙が脆弱で恥ずかしいのですが^^;ほぼ、そのままにしました。それをWaveEditorでMP3ダウンロードした曲の上に音声トラックを配置してディストーションやリヴァーブなどのエフェクト処理を施しました。それをvanillableepさんみたいなスクショ画面で公開するとスマホの縦長画面でかっこわるいので、Replicated Footageと同じようにPexelsのフリー動画を組み合わせてPVを作ることにしました。これは少し時間がかかりましたね。そしてできたのが下記のOne Opposition : stateless decontrol versionになります。

今回の動画編集は、短い映像カットを矢継ぎ早に繋げるカットバック/クロスカッティングの手法をメインにしています。Pexelsでサイバーパンク cyberpunkでキーワード検索して関連動画を片っ端からディグってフィットするものを片っ端からダウンロード。PowerDirectorでリアルタイムで曲の進行に併せて、その場の雰囲気に沿った映像をダウンロードしたものからピックアップして、PowerDirectorで配置。個人的には連句の付合の感覚でありながらも古典的なエイゼンシュテイン・モンタージュ技法も意識して、意外な映像カットを組み合わせました。

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例えば、蝋燭の火を消す髑髏メイクの少女のあとに、真っ二つに切ったアボカドを持って笑うタトゥーの男に繋がるのが、連句的モンタージュの一例ですね。

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そして、多重露光/スーパーインポーズの手法も使いました。これは髑髏の少女が二重に映るところと、最後の官能的なシーンが上手くいったと思います。個人的にはケネス・アンガーという映画監督の作品『快楽殿の創造』での多重露光表現を思春期の頃から影響を受けまくっているので、あとはデレク・ジャーマン監督の多重露光表現も好きなので、機会があれば次のPVでも極めたいですね。
結果的に客観的に見ると、Pexelsで選んだフリー動画単体の価値は既存のサイバーパンクの亜流だと言い切れますが、オリジナリティの重視よりも贋作パチモンとしての怪しい魅力が気になりましたね。それを矢継ぎ早に繋げてぐちゃぐちゃに混ぜ合わせることで、ある意味、インドや韓国やポーランドなどの動画サイトで見られるような、無国籍映画をサンプリングしたような快活で猥雑なパワーが出たと思います。思わず、最後まで見入ってしまうんですよね。曲の四つ打ちビートの既視感のある安定感と、詩の語彙が安っぽいぶん、かえってゼロ年代的な痛みが感じられるところが、怪しい映像と相まって連句的な相乗効果が出たと思います。

そんな訳でdeus ex machinaは、今はRedditで海外向けに宣伝も始めています。他にも海外にアピールする方法を考えて、日本国内に収まらないDTM&ポエトリーリーディングを目指したいと思います。「#あの会話をきっかけに」のハッシュタグから、ここまでの意外な展開が導かれました。このことをnote運営とNeWorkと参加している皆様にお伝えして、この記事を終わらせたいと思います。