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新潟県燕市吉田中学校女子生徒自殺問題について、吉田中学校OBとして語る。

 2021年に燕市立吉田中学校にて女子中学生が校舎三階から飛び降り自殺する事件がありました。その件に関する報告書が先日2022年4月28日に市の第三者委員会から教育委員会に提出されましたが、内容は以下のように報道されています。

去年11月、燕市の吉田中学校で女子生徒が転落して死亡し、自宅から「いじめられていた」と書かれた遺書が見つかりました。
市の第三者委員会はこれまで7回会合を開くとともに、関係者への聞き取りを行うなどして調査を進め、28日、報告書の概要を記者会見で公表しました。
それによりますと、委員会は女子生徒が自殺したと断定したうえで、学校が行った生徒への聞き取りの結果、生徒どうしでトラブルがあったことや、関係者どうしで話し合いをしたことなどが確認されたということです。
具体的には去年6月ごろと9月ごろに、女子生徒に対して陰口を言ったことがあると複数の生徒が証言し、このことを女子生徒が「いじめられていた」と受け止めた可能性は否定できないものの、その後の女子生徒の学級活動などへの参加意欲に変化はなく、自殺と結びつけることはできなかったなどとしています。
また、女子生徒のスマートフォンに残されたSNSの投稿内容も資料として提出されましたが、いじめや類似行為に該当するやりとりは見つけられず、校長や担任への聞き取りからもいじめに結びつく情報はなかったということです。
そのうえで、遺書の中に「いじめられていた」という文言はあるものの、いじめていた相手の名前はなく恨みや苦しみは読み取れなかったなどとして、自殺の理由は不明であると結論するしかない、としています。
そして、吉田中学校の対応については結果として自殺を防ぐことはできなかったが、間違った対応があったとはいえないとしたうえで、市内すべての学校に対し相談体制の充実やSNSの使い方について勉強会を実施するなどの再発防止策を提言しました。
記者会見の中で、第三者委員会の吉澤委員長は「憶測や一般論に基づいたものではない、しっかりした結論だ。この生徒のために精一杯のことができたと思っている」と述べました。

NHK NEWS WEB:https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20220428/1030020936.html

遺書にいじめに関することが書いてあり、それに該当するような事案が確認されたにもかかわらず、自殺と結びつけることはできなかったと発表できる教育委員会と第三者委員会に疑問を持ちました。そもそもいじめは,記録として残すことが難しく、被害者である女生徒が亡くなっている今、参考にできる証言は他生徒の証言と加害者側の証言です。しかし、当事者ではない生徒と加害者側の生徒の証言だけでよくいじめとは言い切れない、その後の女子生徒の学級活動などへの参加意欲に変化は無かったと結論付けられるなと疑問に感じました。
そして生徒一人を死なせてしまって知るにもかかわらず、「吉田中学校の対応については結果として自殺を防ぐことはできなかったが、間違った対応があったとはいえない」とありますが、マニュアル通りのいじめ対策措置をしていればそれでよいのでしょうか?
私は現在20代ですが、中学生の時は亡くなった生徒と同じように燕市立吉田中学校に通っていました。吉田中学校は比較的田舎の地域に学校あり、現在は分かりませんが、当時はいわゆる昔のような不良行動(喫煙、万引き、飲酒、無免許運転、暴力)を格好いいとする価値観を持つ生徒が少なくありませんでした。そして、そのような生徒の中にはいじめを行う生徒もいました。私も中学二年生の一時期に些細な理由でそのような友人達から無視、攻撃的な行動、言動を向けられるようになった時期があります。しかし、その時担任教師がとってくれた行動は、全体のHRの時間に5分ほど遠回しにいじめはよくないというような話をするだけにとどまり、ほぼ放置されていました。明らかに一人の時間が多くなり、生徒が自ら電話をかけ(本来であれば保護者から電話がない限り欠席を認めない)学校を欠席することが極端に増えたにもかかわらず、家に電話をすることもなく、聞き取りなども全くありませんでした。

学校側が能動的に動いてくれない限り、被害者生徒は助けを求めることは難しいです。親に心配をかけたくないという思いや、いじめられていると思われたくない、もっといじめがひどくなると嫌だという思いが、相談をするという行為を難しくさせます。

私のほかにも、当時吉田中学校には当時今回の事件と同じように、校舎の三階から飛び降りようとした生徒がいました。当時は他生徒が止めに入ることができましたが、その飛び降りようとした生徒はのちに精神的な病で入院することとなりました。しかし、学校はそのことに関しては何も行動を起こさず、自殺未遂は公にされることはありませんでした。
当時は私も事態を重く考えておらず、その事件を茶化すようなことをしていました。このように、中学生は精神的に未熟であり、重大な間違いを起こしていることに気づくことができません。教師や保護者の指導が必要不可欠なのです。
にもかかわらず、吉田中学校では私が中学生だった10年前から何も変わることなく、いじめが度々繰り返され、学校側を見ないふりをしています。今回たまたま生徒が亡くなり、世間から注目されたため明るみになりましたが、そうでなければ、また無かったことにされていたでしょう。
それを「間違った対応があったとはいえない」と表現することに憤りを感じます。

100歩譲って本当にいじめが原因でないとしても、いじめが無かったとしても、それに近しいものがあったことは確かであるため、生徒たちに自分の犯したことがどれほど大きい過ちなのかを自覚させ深く反省できるよう指導していただきたいです。
私は自分の過ちに気づき深く反省した人間は許すべきであると思っています。無くしてしまったものは取り戻すことはできないので、今あるものを大切にすることしか私たちにはできません。しかし、反省していない人間をのさばらせておけば、また同じようなことが起きます。
いじめはいわば生き殺しのような状態であり、学生時代のいじめを受けた経験が長期的にネガティブな影響を及ぼし続けるという研究結果もあるように、被害者側にかかる被害は甚大なものになります。私がいじめを受けていた時は、自殺を考えることはありませんでしたが、軽い鬱のような状態になり、いじめを終わらせるためには加害者の生徒を殺さなければいけないと本気で思い、インターネットで殺人の方法を調べる等、通常では考えられないような行動をとろうとしていました。
いじめを受けたことが無い方の中には、全ての自殺をいじめに関連付けるべきではないと考える方もいると思いますが、いじめとはそれほどまでに辛く、絶望的なものです。

今回の教育委員会や第三者委員会には不満が残る形となってしまいましたが、二度とこのようなことが起こらないよう努めていただきたいです。



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