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ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展

東京オペラシティアートギャラリー(以下TA)で開催された、イギリスのアーティスト ライアン・ガンダー氏による展示会に行ってきました。当初はガンダー氏の作品を展示予定でしたが、世情により延期、ガンダー氏の提案によってTAの収蔵品をキュレーションするという異例の企画になったそうです。この展示会は2つの会場でそれぞれのテーマ「色を想像する」「ストーリーはいつも不完全……」に分かれて行われていました。

色を想像する

「色を想像する」では、モノトーンの絵画や彫刻が集められていました。

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壁一面に作品が敷き詰められています。

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逆側の壁に作品と同じサイズの黒い縁と作者・作品名の記載。
空間自体が作品となっているようで面白いなと思いました。

"寺田小太郎氏(東京オペラシティアートギャラリーのコレクター)は独特の方法で「見る」「観る」「注視する」「眺める」「探索する」「観測する」「見物する」「観察する」「覗く」「見渡す」「走査する」「研究する」「見て楽しむ」「注目する」「監視する」「検査する」「精査する」「垣間見る」「着目する」「熟視する」「探し出す」能力を持っているが、それは私たち皆が「ものごとに当てる光」の主導者になり、いつ、どこで、どのように当てるかに自覚的であるべきという彼の信念の証だ。つまるところ、これは人間の最大の自由のひとつなのだ。この識見はまた、彼が初めてカラー映画を見たときにがっかりしたという話にも通じる。人間の想像力を深く呼び起こす白黒映画のほうがずっと魅力的だったと。本展の2室をブラック&ホワイトの作品のみで構成したのは、この偉大な人に捧げるオマージュである。"(ライアン・ガンダー)

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時松はるな氏の作品「ブラーボ!」には体操着のようなものを着た子供達が2mx3mのキャンバスに描かれ、体育祭の応援とかかな?とノスタルジックに浸りつつ想像をふくらませていました。白黒だからこそ確定要素が無く想像することになるのでしょう。たぶん。

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楕円形の立体の1/8が階段になっていてどこかに続いている作品。夢に出てきそうな世界観で気になりました。

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次の部屋にも展示は続いています。モノトーンの服を着て行けば会場に馴染めたかも。

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引きで見るとシンメトリーな構成になっているのが分かります。

ストーリーはいつも不完全……

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下の階に降りると、懐中電灯を持つよう指示があります。ここから先は暗がりになっています。暗い美術館(ここはアートギャラリーだが)をさまようなんて、みんなのうた「メトロポリタン美術館」のような気分でテンションが上がります。

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本当に暗い。地面に何か書いてあるもよう。「THE SEARCH 探索」。探検に行ってきます。

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こういった感じでライトを当てながら美術鑑賞をします。改めて見ても斬新。

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鑑賞時の人はこんな感じ。暗すぎて他人とぶつかるということはないです。

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「THE GAZE 注視」のゾーンに来ました。目を凝らして気をつけます。

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これは…トイペ!

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光を上から当てるのと下から当てるのとでは、光の反射によって色が変わることもあり、表情が変わって見えた気がしました。

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「PERSPECTIVE 視点」。視点とはどういうことなのでしょうか。そしてこの時気付くべきだったのですが、懐中電灯の光が弱くなっていました(電池切れ)

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醤油さし!
一時期、手洗浄用のアルコール入れて配る動きがちょっと騒ぎになりましたね。

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ヨガ!
これは本物の人間かと思ってちょっとびっくりしました。

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「PANORAMA パノラマ」。完全に電池切れ。学芸員の方が気づいて交換してくれました。ありがたや。

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「A VISION ヴィジョン」。光復活!

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絵の中に点在する人ひとりひとりにライトを当てると、それぞれの人生にまつわるストーリーがあるような気がしてきます。

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何もない空間で美術鑑賞をしているような作品。
全体を照らすのと、一人を照らすのでは、別の作品のような印象も受けます。
右は立ちショ…おっと。

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締めくくりの作品は、窓なのか鏡なのか、額の中から出てくる人が描かれています。この人がこの展示を見てきた私自身とするなら、今まで見てきたものはどういう意図だったのか考えたりしました。

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作家がギャラリーの収蔵品をキュレーションする新しい形、また別の場所でも見てみたいですね。

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