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想像された時間たち

第12回恵比寿映像祭〜時間を想像する〜に初めて行ってきました。
公式サイト:https://www.yebizo.com/jp/

誰にとっても身近なものである「時間」は、映像に関わる根源的な主題であるとともに、いまだにわかりえない謎もはらんでいます。様々な時間のあり方を楽しみながら、映像とは何かを考えます。(主催者ごあいさつより)

率直な感想は、「これが無料?!」です。
国内外のアーティスト達が、あらゆる試行錯誤で作った圧倒的な作品群。
そのクオリティの高さに驚いていました。
すべてを見ることはできませんでしたが、その中で気になったものを。

▽写真美術館3F

時里充 / 見た目カウントトレーニング#3

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カメラ目線の人たちが無限に同じ運動を繰り返しています。
時々、やめたかと思えば画面の外へ行き、戻ってきて同じ運動を繰り返していました。画面の中の人たちとずっと目が合っていて、どういう気持ちで見ていればいいのか、こんな時どんな顔をしたらいいかわからない…碇くん…という気持ちでした。

minim++ / Tool's Life 〜道具の隠れた正体

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スポットライトを浴びた道具たち。それらに触れると…。
ちょっとびっくりします。
そしてちょっとワクワクして全部触ってみたくなりました。

Stan DOUGLAS / ドッペルゲンガー

本作は量子もつれという、理論物理学の現象をモチーフにしている。これは、離れた場所に存在する粒子同士が同期して振る舞うというという現象である。二つの同形のスクリーンに、宇宙船や宇宙港の管制室と人物たちが映し出される。主人公の二人のアリスは、二つの何光年も離れた惑星間をテレポーテーションによって移送された宇宙飛行士だ。彼女らは、一方では帰還者として歓迎され、他方では侵略者として調査を受ける。片方は、もう一方にとって「あり得たかもしれない」世界である。

二つのスクリーン、同時進行する二つの世界、同一世界にいる二人いる同一人物(でも臓器の位置などは反転してるらしい)が一つの物語として映像作品になっていて、表現方法が今までに見た事がなく面白かったです。宇宙船が昭和っぽくてかわいい。(Youtube

▽写真美術館2F

多和田有希 / "Shadow Dance"シリーズ

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レイヤー状に重ねられた写真の作品みたいです。プリントを焼き切って網目状にしていると書いてありました。平面だけど立体的で不思議な感じ。主に植物なのかなと思ってたら人の写真もあってギョッとしました。

木村友紀 / MPEG-4 H.264 Reflecting in Sizes

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暗闇に置かれた、様々なサイズと形状のグラスに、映像やライトが当てられているインスタレーション。かっこよくてきれいでした。

Shuzo AZUCHI Gulliver / Body Contract(肉体契約)

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1973年に発表した、死後に自分の肉体を80分割して特定の人物に保管してもらう作品。

現在73歳でご健在だそうです。

三原聡一郎 / 8分17秒

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タイトルの8分17秒は、太陽光が地球に到達する時間といわれ、その時を刻む素材に、コンポスティングによる土、云わば微生物により分解された生命を基にした粒子を封じ込めている。人工的に閉じられたガラス環境に投射される光エネルギーは、生命の始原となる太陽のサイクルから導き出されている。

読んだだけでちょっと賢くなったような錯覚を覚えます。。

それと、撮影不可だった、
Ben RIVERS / いま、ついに!-Now, at Last!
40分間ひたすらに木にぶら下がるナマケモノが映し出されていました。
映像のナマケモノは全然動かないので、森の環境音を聞きつつ、会場に設置されたビーズクッションに横たわっていましたが、なんたる癒し効果。
寝てる人も何人かいました。
ふといきなりBGMがかかると映像にも効果が。

▽写真美術館B1F

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またあなた達ですかっ。

Grada KILOMBA / 幻想(イリュージョンズ)第2章ーオイディプス

会場には小さなスクリーンと大きなスクリーンがあり、小さなスクリーンには語り手が何かを音読していて、大きなスクリーンには人種・年齢・性別が様々なパフォーマーの方達が映し出されていました。画面は白くて明るいのに、真顔のパフォーマー達は静かで重い空気でした。

語り手はオイディプスの物語を話す作家で、アフリカの口頭伝承を使用することで、父殺しの古代ギリシア悲劇を換骨奪胎し、この神話が誰のものなのかという問いのもと、植民地主義や人種差別などの集団的記憶におけるトラウマなど、西洋史には顕在しない黒人の歴史を浮かび上がらせる。

小森はるか+瀬尾夏美 / 二重のまち/交代地のうたを編む

東日本大震災から20年後の未来を舞台としたインスタレーションで、絵画や文章、映像などで描かれていました。創作かどうかわかりませんでしたが本当にあるであろう他人事でない世界に、夢中になって文章を読みました。

▽恵比寿ガーデンプレイス センター広場

ハナビリウム

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ドームでの上映で360°視界一杯に映像が展開されていました。
密閉空間で、咳き込んでいる人がいたのですぐ出てしまいました…が、花火になるために生まれた火薬である主人公と、爆弾になるために生まれた別の火薬の子との交流が印象深かったです。。

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以上、一部なのに見応えたっぷりでした。
来年も楽しみです。

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