午前3時の攻防(part7)

田中「答えは変わらない。両方嫌だ」
加藤「…」
田中「ここでおれが死んだらあんたは殺人犯…お金を渡しても強盗犯になっちゃう…」
橋本「…え？」
加藤「お、お前何言ってんだよ」
田中「おれはあんたの人生がこれ以上悪くなるのが嫌なんだよ」
加藤「これ以上悪くなりようがないだろ！　ホームレスだぞ！」
田中「おれは犯罪者になる方が酷いことだと思う」
加藤「…」
田中「今ならまだ銃刀法違反と強盗未遂だけ、ホームレスという現状もあるしホームレスになった理由によっては情状酌量の余地だって十分にある。でもここでおれがひるんだら強盗が未遂じゃ
なくなってしまうし最悪人殺しになってまう。そんなの絶対に嫌だ！」
加藤「お前…」

膝から崩れ落ちる加藤。

田中「それに強盗未遂だっておれとお客さんが黙っていればいいわけで。黙っておいていただけますか？」

橋本に優しく問いかける田中。

橋本「も、もちろん」

田中を見上げる橋本。

加藤「おれを見逃すのか？」
田中「おれが通報しなくても自首されるでしょ？」

腰を下ろし加藤の手を取る田中。

田中「あなたならきっとやり直せる。少なくともおれはそう信じてます」

泣き崩れる加藤。
緊張の糸が切れ座り込む橋本。
ひとしきり泣き終わり、立ち上がる加藤。
加藤に続いて立ち上がる田中。

加藤「ありがとな…おれ頑張るよ」
田中「はい。きっと大丈夫です」
加藤「いつか自分の金で買いに来るわ」
田中「またのご来店お待ちしております」

ほほ笑みながら店を出て行く加藤。
出て行った加藤を見送り、決心した表情で立ち上がる橋本。

(part8へ続く)

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