午前3時の攻防(part6)
田中「…嫌だ」
加藤・橋本「…え?」
田中「だから嫌だって言ってんの!」
頭をかきむしる加藤。
加藤「なあ、お前状況分かってる? 今、強盗されてんの! おれ銃持ってんの! 早く金出さないと死んじゃうの! わかった? わかったら早く金出」
田中「全然分かんない!」
加藤の言葉を遮るように言葉を放つ田中。
加藤「は?」
拳を強く握りしめる田中。
田中「だから全然分からないって言ってんの! あんたは強盗でおれはバイト…今、あんたに従わなきゃ死ぬかもしれないってことは分かる。ただ、だからって法治国家であるこの日本に生きる
人間としての理性を失ったあんたに、お客さんが汗水たらして稼いでお金を渡さなきゃいけない理由が分からないって言ってんの!」
加藤「そんなこと知ったことかよ! 法律? 馬鹿らしい…法律なんて何も守っちゃくれない。結局こういう力がものを言うんだよ! お前何歳だ? どうせ二十歳かそこらだろ? そんなガキに偉そうに説教なんてされたくないんだよ! 社会の厳しさも知らないガキが知った口きいてんじゃねぇよ! 早く金出せ!」
田中「だから嫌だって言ってんじゃん!」
加藤「このクソガキ…」
田中に歩み寄り銃口を田中の眉間に向ける加藤。
加藤「早く…金を…出せ」
鋭い視線を加藤に向ける田中。
田中「…嫌だ」
撃鉄を起こす加藤。
加藤「じゃあ、死ね…」
田中「それも嫌だ…」
加藤「じゃあ、金出せよ」
田中「嫌だ」
加藤「じゃあ、死ね…」
田中「両方嫌だ」
頭を激しく掻きむしる加藤。
加藤「やっぱりお前この状況を分かってねぇよ! 金も出したくないし死にたくもない。断り続けたらおれが諦めるとでも思ってんのか? 諦めるわけないだろ! おれはもう3か月もまともに飯を食ってない。たまたま手に入れたこの拳銃で強盗しなきゃいけない状況まで追い込まれてんだよ。おれにはその一つしか選択肢がないわけ。お前はまだましなんだよ? 金を出すか死ぬか選べるんだから。ほら選べよ金出すか死ぬか…」
コンビニ内に重苦しい沈黙が流れる。
(part7へ続く)
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