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ペンギン・ハイウェイとハマモトさんのあれこれ3

 ツラツラと妄想を書き連ねてきました。
 一人であれこれ考えているとぐちゃぐちゃになるので、最初は頭の中の整理のために書き始めました。けれど、お目通ししてくださる方もいるようで、なかなかにうれしいものです。ほぼ妄想みたいな文章に付き合っていただきありがとうございます。
 
 今回でこの話は一度最後にしようかなと思います。
 引き続きネタバレにはご注意を。


ハマモトさんとお姉さん

 ペンギン・ハイウェイはアオヤマくんとお姉さんの関係を中心とした物語です。そのくらいアオヤマくん―――ひいては多くの人にとって幻想の関係は、「この世」の関係を築いていくために大きな役割を果たしているのでしょう。
 一方で、「この世」の女性であるハマモトさんも、「この世」の女性として大きな役割があり、単なる恋する女の子という役割で登場したわけではないように思われます。

 幻想の関係は非常に心地よいものです。アオヤマくんにとってもお姉さんとの関係は非常に心地よい者だったのだと思います。その心地よさがアオヤマくんを、怖い一面を持つ「この世」の女性から守ってきました。
 しかし、あまりにその関係に没頭すると、「この世」での関係がおろそかになっていきます。すると<海>によって世界が崩壊しかけたように、ちょっとした関係の隙間から人生が台無しになっていくということもあるかもしれません。
 アオヤマくんはまだ小学4年生の男の子です。幻想の関係に没頭することが許される年頃…というよりは、それが必要な年頃なのだと思います。ただ、大人の男性が「この世」の女性(例えば妻とか)を無視し、いつまでも幻想の関係(不倫相手)を追いかけているとどうなるか…。(もちろん、女性にも同じことが言えます)

 それでも、アオヤマくんもあまりお姉さんとの関係に没頭してばかりではいけないようです。
 そのアオヤマくんの背を押すために登場したのがハマモトさんだったのだと思います。ウチダくんでもスズキくんでも最後にアオヤマくんの背を押す役割は果たせません。「この世」の女性であるハマモトさんのSOSに応えることで、アオヤマくんは大切な一歩を踏み出す決心ができたのだと思います。

 「この世」の修復を優先したことで、幻想であるお姉さんは消えてしまいました。アオヤマくんはお姉さんとの関係を通じて、「この世」とより良い関係を築けるように成長し、だからこそ「この世」を優先したのです。アオヤマくんの成長を促すという役割を終えたお姉さんは、舞台から降りたのです。
 けれど、きっとアオヤマくんがさらに成長した先で、「この世」の女性となったお姉さんが再び舞台に上がるときがくるでしょう。
 それはどんな森見ガールでしょう。植村譲や明石さん、羽貫さん、白石さんなど、森見作品にはたくさん「この世」の女性が登場します。アオヤマくんが”この人こそ、「この世」のお姉さんだ”と選ぶのはどのようなタイプの女性なのでしょう。
 ハマモトファンの私としては、蛙化現象の魔法を解いた茶目っ気たっぷりのハマモトさんであるといいなぁと妄想を膨らませています。

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