バックパックの謎。

高校時代にユニクロで買ってもらったバックパック。
勝手がいいのでかれこれ5年ほど使い続けている。
濃いグレーで上がチャックで開け閉めできて、側面に一箇所ポケット的な小さい収容スペースがある。
意外と詰め込みが効き、シンプルなデザインなのでどんな服にも大体合ってくれるのでとても重宝している。
先程、明日出かけるのに使うので中身の整理をしていた。
一度中身を全て出して、まだ残ってる物は無いかな、と手を突っ込むと、底にボールペンがあった。
「あ、まだあった」とそのボールペンを取り出そうとした。
取れない。ボールペンの上に布がかかっているらしい。布なんぞ入れた覚えはないと思いつつそれを避けようとすると、周りの布が引っ張られて取り出せない。どうやら底面の内側と外側の布の間にボールペンが入り込んでいるらしい。
どうしたらそんな所に入るんだと思いつつ、ボールペンを取り出そうとバックパックをゴソゴソいじっていると、別の何かに触れた。今度は鉛筆だ。
「なんで鉛筆まで入ってんだよ！」と心の中でツッコミを入れつつ、どこから取り出せるか文字通りひっくり返して漁ってみた。
どこにも布同士の間に入り込めそうな所はない。脇のポケットにも、メインで使うところにもそんな出入口は一切ない。
ここまで来るとある種のホラーではないかと疑い始める。夜中寝静まったうちに、ひとりでにバックパックが動いてボールペンや鉛筆などをムシャムシャ食べているのではないか、と自分でも訳のわからない馬鹿げた思想に取り憑かれそうになった。
そんなわけないと思いつつもう一度見直してみると、主たるスペースの背中に来る側に小さなポケットがあった。そのポケットを裏返してみると、3センチくらいの穴が空いていた。
その穴を見て思い出した。何かあった時のためにとポケットの中にボールペンと鉛筆を入れた覚えがある。
恐らく鉛筆の先が刺さって布が裂け、そこから入り込んでしまったのだろう。
思わず「お前が原因か！」と声に出して突っ込んだ。お前みたいな穴が空いてるからボールペンが入り込むんだ！
…元はと言えば鉛筆にキャップも付けずに放り込んだ奴が悪い。キャップさえ付けておけばこんな事にはならなかったのだから。
誰だ！キャップを付けずに鉛筆を放り込んだのは！

私だった。