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これが本当のピンポンダッシュ

バスを降りる時にはボタンを押して意思を伝える。
誰もボタンを押さなければ通過する。
これが普通の路線バス。どこのバスに乗ってもこれは同じだろう。

だが私の場合はその「普通」が通用しない事がある。

どういうことか。

「ボタンを押したのに降りるバス停を通過される」事がある。

は?と思う方もいるだろう。
起こる事としては今述べた通りだ。押したのに通過するのだ。
ピンポーンと鳴ったのに、ボタンのランプが付いているのに、アナウンスで「次、止まります」と言われたのに、通過してしまうのだ。
これでは「次、止まりません」ではないか。
一応断っておくが、たまにある急行や快速など元々一部のバス停を通過する路線ではない。各駅停車(?)のバスだ。
週3〜5日、同時刻の同路線で同じ区間を利用するが、降りるバス停はそんなに利用客が多くない所なので仕方ないのだろうか。

初めて飛ばされたのは二年前のことだろうか。
降りるバス停が近づいたのでボタンを押し、バス停に停まったらさっさと降りられるように支度していた。
するといきなり乗務員さんが
「あ!ごめんなさい!」
といつもより左に大きく寄せて止まった。
自分で間違えて飛ばしたことに気がついたようで、バス停を20m程過ぎたところで停まった。
まぁいいや、といつも通り後払いの路線なので降り際に運賃を払おうとしたら
「今回は運賃いただきません、私のミスなので」
と無賃で降ろしてくれた。
こんな事もあるんだ、とその時は笑い話にしようと思った。

ところがそれから半年程、2〜3週間に一度くらいのペースで同じような事案が連発。
しかも、運転士さんは気付かない。
その度に恥を忍び大声で
降ります!
と声をあげて停めてもらった。
しかも当時は後ろから2列目の席に座っていたのでちょっと声を張らないと通らない。
高校演劇以外であんなに大きな声を出したことはない、というくらいの声量。咄嗟だから仕方ない。
3回目くらいからは座る席を少し前の方に変えて声量を少し下げれるようにするレベル。
勿論運転士さんは平謝りだが、運賃は取られた。
(乗せてもらってんだから当たり前だろ)

それ以降、バスを降りる時には
「ボタンを押したけど停まるかどうかは別だから気をつけなければならない」
という思考回路が出来上がってしまい、終点以外のバス停で降りる時は毎度ヒヤヒヤするようになってしまった。

そして、一度だけ別の路線でやられた。
この時は特殊で
押したはずのボタンのランプが消えている
という訳の分からない事態になった。ピンポンチャイムも次止まりますというアナウンスもかかったのに。
通過するや否や咄嗟に過去一番の声量で
降ります!!!!
と叫んだのは言うまでもない。
降り際に一応「ボタン押したんですけどランプ消えました」と乗務員さんに報告はしておいた。

流石に同じ事案が連発したからか、ここ半年余りはキチンと止まってくれるので安心していたが、先日久々に通過された。
車内に響き渡る私の
降ります!
という叫び。我ながらびっくりした。

バスのボタンを押して、「ピンポン」とチャイムが鳴ったのに通過する。

これが本当の「ピンポンダッシュ」だろうか。

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