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ひとりスタバデビュー。

諸事情あって、10月末が期限のLINEギフト「スターバックス700円分」が2つ手に入った。
私は普段スターバックスに入らない。カフェインが必要以上に効きまくる体質のためにコーヒーが飲めない。なら他の甘いものでも飲めばいいじゃないか、というご意見もあるだろうが、私は1年以上前にこんなことを書いた。

以下、私のスターバックスに対する勝手な想像である。

スターバックスに入り、レジに並び、自分の順番が来たら店員という名の高僧?に向かって持参した道具を手に持ち注文をする。

この注文こそが「修行」である。
「抹茶フラペチーノのトール」なんと言うのはど素人だ。
厳しい修行を重ねてきた高僧や高位の神父・シスターになると、私のような何も知らない人が聞いてると「コイツは一体何を言ってるんだ?」と思いそうなくらい長い呪文を唱えるのだ。この長い呪文こそが「注文」であり「修行」なのだ。
ある者は数珠を片手に木魚を叩きながら注文し、またあるものは十字架と聖書を持ち祈りを捧げながら注文する。
ただ長い呪文を意味もなく唱えているわけではない。その中には、サイズ、トッピング、オプションなど実に多種多様な注文をしているのだ。
複雑で聞いたこともないような横文字をさも当たり前のようにスラスラと、下手すりゃ数十秒に渡って唱える。あんなに長い注文をするのはスターバックスとラーメン二郎ぐらいではないだろうか。
晴れて注文に成功すると、店員が「合格!」と言わんばかりの笑顔で「680円です」とか言ってくる。
お金を支払い、商品を受け取る。これで一連の修行は終わりである。

2020/6/6 「スターバックスに入れない。」より抜粋

改めて読み返してみるとなんだこのふざけた文章はと言いたくなるが(今もだが)、とにかく注文の際に何と話せばいいのか分からずに敬遠していた。今まで一度もスターバックスに入ったことが無い訳ではないが、慣れている友達と一緒だったために「修行」を代わりにやってもらっていた。
要するに一人でスターバックスに入ったこともないし注文の仕方もよくわかってないから避けていたのだ。
だがいつまでも躊躇っていてはクーポンが期限切れで無駄になってしまうどころか一生一人でスターバックスに入ることなく死んでいく可能性がある。そんな些細なことを思い残してもしょうがないので、先日ひとりスターバックスデビューをした。

まずスターバックスに行くにあたり友達にオススメはないか聞いてみると、期間限定で出ている「パンプキンスパイスラテ」がいいと教えてもらった。コーヒーショット抜きにすればかぼちゃのスイーツをそのまま飲んでいる気分になれるという。
よし、絶対にパンプキンスパイスラテを飲むぞ、と意気込んでスターバックスに入る。注文の順番を待っている間に、大変なことに気がついた。
「そういえば、修行も呪文も何を言えばいいか分かっていない。」
大丈夫だろうと思いつつ、頭のどこかでやっぱり呪文を唱えなければいけないという先入観が離れない。かと言って今更店を出るのも違うし、あぁどうしようと思っているうちに順番が回ってくる。もうどうにでもなれよと思いつつ「パンプキンスパイスラテを…アイス、コーヒーショット抜きでお願いします」と店員さんに伝えると、

「サイズはどうされますかぁ?」との返事。

日本語が通じた〜!と今考えれば当たり前だろうという謎の感動を覚えたのも束の間、トールサイズで注文して、いざ手持ちのLINEクーポンを提示すると
「お客様、このクーポンは700円分使い切らないといけないんです…。」
一瞬言われたことが理解できなかったが、残った分は次回以降持ち越しできる訳じゃなく、1回で使い切らないと消えてしまうらしい。
手持ちのクーポンは700円、会計は510円。残り190円。
大きいサイズにしても700円には及ばず、何かトッピングしようと店員さんに聞いても、コーヒーショット抜きにしてしまった手前ほぼ何か足すこともできないらしく困り果てている。
さてどうしようと考えたのち、私が出した答えは「諦める」。
差額の190円は私の先入観と偏見に対するせめてものお詫びだと割り切った。

個人的な大きな壁をぶち破って飲んだパンプキンスパイスラテ。
飲むとかぼちゃの甘味が口いっぱいに広がる。ホイップクリームとシナモンを混ぜれば甘味の中にふわっと香るシナモンの香りが絶妙にマッチする。なるほど、飲むかぼちゃのスイーツという言葉に納得。期間限定商品とのことなので、販売が終わってしまう前にもう一度飲みたいと思う。紙コップで提供されたので、写真からかぼちゃ要素がお伝えできないのが残念だ。
半分くらい飲んで思った。何もあんなに恐れなくても、もっと気楽にスタバに入ってもいいじゃないか。ど素人は普通に注文すれば美味しいドリンクを飲めるということが分かったし、修行として呪文を唱えるのはいわばスタバ上級者だけでいい。

先日、21回目の誕生日を迎えた。
友人知人からたくさんのお祝いメッセージが届いたが、その中でスタバ700円&フードセットのLINEギフトを送ってくれた友達がいた。
フードセット…レジ横にあったスイーツもこれで注文できるのか〜!と舞い上がっていたら、数分後に別の友達からスタバ500円ギフトが届いた。
今、手元にはスタバのギフトが合計3枚ある。
一人スタバデビューを果たした。注文に呪文を用いなくてもいいと覚えた。
21歳は足繁くスタバに行く生活を送りたいと思う。

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