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わたしとあなたのあいだ

ダンスを見るのが好きだ。

娘がバレエをならっていた時に
2年に1度、発表会があった。

そのなかで、娘の先生が
クラシックバレエとは違う
コンテンポラリーダンスを披露していた。

発表会の前日はリハーサルがあり
親たちは裏方として動くため
準備をしながら、リハを見ていた。


私は毎回、目を奪われた


彼女が紡ぎ出す表現

躍動感

力強さ

脆さ

揺らぎ

しなやかさ

指先の最後の動きまで

まるでスローモーションみたいに

大切な我が子をあつかうように

生まれ落ちたたまごが割れないように

ていねいにていねいに

演じられていた。

私は人が行き交う暗闇の客席から
暗めのスポットライトが
照らし出す舞台を見つめて
光と影を感じ

ただその場から動けずに
立ち尽くしていた。

先生と

私の

間にある

動き

ことばにできない何か

目が離せないもの

惹かれてしまう

わたしとあなたのあいだに生まれたもの

交わしたもの

かたちづくられたもの

それは

刹那的で

一瞬で

瞬いて

永遠でない事は

わかっている

私はそのことを

昔から絶えず自分に言い聞かせてきた

今ここに見えなくても

ここにあることを

残された

あたたかさを

心の中にあるものを

決して手放さずに

おいておきたいと思う


あなたが何を感じ

何を思い

何を見て

表現していたのか

想像し

創造しながら

あいだにあったものを

なくさないように

くりかえし

くりかえし

とりだして

ふれて

痛みを感じながら

名前のつかない気持ちを

そのまま今は浮かばせておきたい


思考は自由


思考の中に制限はない


私は今日も夢の中で

踊り出す

その時は

あなたとともにあるのだ














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