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通訳論

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手話通訳の仕事内容や、仕事をする上で大切にしている思いについて述べた記事集です。
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#言語

失われそうなコミュニケーションが復活するとき

 「“ありがとう” をやりがいに仕事をしている。」 そんな方もいるかもしれません。 でも、私はそれとは違う“やりがい”を見つけたいと思っています。 通訳の現実 私の仕事は手話通訳ですが、聴者の世界と当然同じく、ろう者にも色々な方がいます。 家族に暴力を振るう人もいれば、公的機関に当たり散らす人、犯罪を犯して取り調べを受ける人もいれば、金銭問題で訴訟を起こされる人もいます。  彼らが皆、私たち手話通訳に感謝する訳ではありません。 そんなアウトレイジな人でなくとも、私の気持ち

日本語を英語のリズムで話す?

 タイトルのように、日本語を別言語のリズムで話す、なんてよく分からないし無理ですよね。でも日本語話者が、それを当然のように強いてしまっている言語があるんです。 似て非なる言語 私は手話通訳の仕事をしています。  先日友人との食事の場で、私の仕事の話がどうも理解されていない感じがしました。おかしいなと思いつつ話をしていると、 “手話ってただ日本語(の文法やリズム)に手話単語を当てているだけでしょって思ってたわ!  今日話聞いて初めて理解した!” と言われました。なるほど