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通訳論

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手話通訳の仕事内容や、仕事をする上で大切にしている思いについて述べた記事集です。
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#日本語

失われそうなコミュニケーションが復活するとき

 「“ありがとう” をやりがいに仕事をしている。」 そんな方もいるかもしれません。 でも、私はそれとは違う“やりがい”を見つけたいと思っています。 通訳の現実 私の仕事は手話通訳ですが、聴者の世界と当然同じく、ろう者にも色々な方がいます。 家族に暴力を振るう人もいれば、公的機関に当たり散らす人、犯罪を犯して取り調べを受ける人もいれば、金銭問題で訴訟を起こされる人もいます。  彼らが皆、私たち手話通訳に感謝する訳ではありません。 そんなアウトレイジな人でなくとも、私の気持ち

「相手の視点に立つ」一緒に考えてみませんか?

 手話通訳の派遣事務所には、このようなFAXが日常的に届きます。主に70〜80代のろう者です。彼らは日本語が不得手なだけで、自分で考えて自分で行動できる手話話者です。  今回は手話通訳の私が、他言語話者(ろう者)からの日本語のFAXを読み解く中で「相手の視点に立つ」をどのように実践しているかをお伝えします。  彼らは不得手ながら日本語話者の私たちに分かるように送ってくれています。その思いを汲むところから、仕事が始まります。  難しいですが手話技術は要りません。皆さんもよろ

事例から「相手の視点に立つ」を考える

 相手の側からものごとを見る。そうは言っても何をどうすればいいのか…。  100%は無理ですが、それでも思いを馳せることが良いコミュニケーションに繋がると信じています。 この記事では私が仕事の中で実践している事例をご紹介します。 『「相手の視点に立つ」一緒に考えてみませんか?』の第二弾です。 “日本語が第二言語の人” からのFAX 私は手話通訳者です。 今回も、手話が第一言語のろう者が日本語で書いたFAXを読み解きます。日本語は第二言語なので私たちとは違う表現をします。言