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インドア趣味の中心でアウトドアを叫ぶ

とある叫び。
「本が好きだから、外出できないのがツラい!!」

一瞬、疑問符が浮かぶ人もいるのではなかろうか。
「インドア趣味の中心で、アウトドアを叫ぶ人なんているの?」と。

だが、いるのだ、実際。
読んだ本を他人と語り合い、考えを深め、見識を広げたい人たちが。

外出自粛下の昨今、そんな人たちにとって救いとなっているのが、ZOOM読書会。

僕も、たまに参加させてもらっている。
今回参加したのは【「読書習慣をつけよう」平日夜読書会@ZOOM】

主催者は、障がい者施設生活支援員のアツシさん。
以前はリアルでの読書会を開催してくれていたが、この状況下なので現在はZOOMでの読書会を開催中。
環境が変わっても、定期開催というところが個人的にありがたい。

読書会の内容は以下のとおり。
まず自分が読みたい本を簡単に紹介しあい、いったんZOOM画面から離れて各自30分間読書をする。
その後、読んでみた感想や共有したい情報を発表し、お互いに気になった部分を質問しあうといったスタイル。

インプット・アウトプット・フィードバックの鮮度は高いが、べつに当意即妙な受け答えが強制されるわけでもなく、リラックスした雰囲気の読書会である。

【紹介本】

参加者は男性5名。
紹介された本は…

《人間をお休みしてヤギになってみた結果 トーマスウェイツ著》
・人間でいることに疲れた33才無職の男性が、「人間を辞めて動物になりたい」と思い立ち、そのことを相談したシャーマンに「じゃあ、ヤギで」とアドバイスされ、実際にヤギになるためのトンデモ実験をやってみた結果というお話し。バカだけど天才な著者が、読み手を抱腹絶倒に誘ってくれる雰囲気がムンムン。紹介者さんの満面の笑みが、絶大な保証をしてくれた。


《天皇家の経済学 吉田裕二 著》
・『天皇家と経済』この結びつきを考えたことはなかった。それどころか皇室の費用が内廷費、宮廷費、皇族費に分けられていることも知らなかった自分。どんな歴史があって、どんな基準で使われているのか、紹介者さんの語り口が僕を惹きつける。自分が住んでいる国の新たな視点に気づけた一冊。


《ヒトラー演説 熱狂の真実 高田博行 著》
・ヒトラーの演説のなにが人々を惹きつけたのか、表現方法やレトリックなどを分析し、その熱狂の真実に迫った一冊。 紹介者さん曰く。聴きたい人と、聴いてほしい人がいないと演説は成り立たない。「オレの話しを聴け!」となったら人は離れる。だから名演説で独裁までたどり着いても、独裁が始まった時点で演説のチカラは失われるとのこと。紹介者さんの達観した語り口が、真に迫る。文章を書くための参考にもなった本とのことで、僕にとって、これは必読の一冊の予感。


《ラ・ミッション 軍事顧問ブリュネ 佐藤賢一 著》
・映画『ラストサムライ』のモデルにもなったといわれる、フランス陸軍士官の活躍を描いた歴史小説。幼少期に時代劇が大好きだった僕にとっては、そそられる一冊。映画『ラストサムライ』で渡辺謙の最後のシーンに涙した記憶が蘇った。


《スタンフォード式人生を変える運動の科学 ケリー・マクゴニガル 著》
・運動をもってして、最高の人生をおくるための実用書。人間は2万年ほど前からほとんど変わっておらず、運動は狩猟の名残であり、運動することで脳内物質のエンドルフィンが分泌され幸せを感じられるそうだ。養豚という肉体労働をしている僕は、紹介者さんに「仕事としての運動も効果があるのか?」と質問。答えは「あるみたいです。とくに、使う筋肉に意識をむけて集中するとより効果あり」とのこと。これは、朗報。さっそく「全集中っ!オレの広背筋!!」と叫んで仕事をしてみよう。鬼滅の刃が流行っているから、職場で理解は得られるはずだ。

僕が紹介した一冊
《わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる Dain 著》

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書評ブロガーDainさんの著書。『人生は短く、読む本は多い――』 この一節が、僕の心臓を強烈に握りしめた一冊。読み方、書き方、生き方、育て方の僕へのアドバイス。それら全てが、この本に詰まっているようにすら感じた。今回の読書会では本著内の『本は「買う」ものか』という章を読み込んで、感想を発表してみた。

以下、感想。

以前の僕は、「本は買って読んでこそ意味がある。それが、人生にとって価値ある投資なんだ」そう思っていた。確かに、そういう考え方も間違いではないのだろう。けれど、著者Dainさんの「本を読むことではなく、所蔵することが目的になってはいないか?」という問いかけにハッとした。 
そうかもしれない。
本棚にこれでもかというくらい本をはめ込めば、多くの人に一目置かれる賢者になれると妄想していたかもしれない。この本を読んで、本を読むという目的に立ち返ろうと思った僕は、Dainさんの「図書館を使い倒そう。図書館に行き、書棚を徘徊しよう」というアドバイスを実践しようと思った。

そういった感想をシェアしたところ、「私は図書館派ですね。本は読むものであって、持つことが目的でないという意見にはひどく同意」、「図書館じゃなくて、古本屋でスゴ本に出会うコツってあるのか知りたい」、「本との向き合い方について、読書会をしてみたらおもしろそう」といったコメントをいただいた。

正直、うれしかった。
紹介した本がキッカケで、話しが派生や脱線を繰り返し、やり取りが深まる。
これが読書会の醍醐味だと、改めて実感できた。


【「ツラい」から「やってみよう」へ】

2時間半ほど経って、読書会は終了。

参加してみて思ったのは、オンラインでの読書会は会場まで足を運ぶ必要がなく、帰宅移動時間を考慮しなくてもいいので、気軽で手軽だということ。
とくに、帰宅を考えなくてもいい状況は、読書会後に知恵熱でフラフラになってしまう僕にとって非常にありがたい。

オンライン読書会は、自分に合っている環境なのかもしれない。
けれど、本を囲んで語り合うリアルとは違って、PC画面上に本を掲げて発表するオンライン。
それだと独演しているような錯覚に陥ってしまい、知識のひけらかしに走ってしまいそうな自分がいたので一概に合っているとも言い切れないと感じた。

ただ、楽しかったことと、また出たいと思ったことは間違いないので、今度は自分でもオンライン上で何か読書会企画してみようと思わせてもらった。

「ツラい!」の叫びを、「やってみよう」の呼びかけに変えてみよう。
PCのスイッチを押すのは、難しくないはずだ。
そう、自分に言い聞かせた。

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