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推しから知る、古典の楽しみ方

「古典を読む楽しさがわからない」
若き日、僕が学校の授業で古典が登場するといつも思っていたことである。
難解な言い回しに想像力が追い付かず、古典の思い出は『内容を覚えられないということを覚えている』ということぐらいだ。
しかし、先日参加した推し本読書会にて『古典の楽しみ方』を知る経験を得た。
ちなみに、推し本読書会とは、自分の推し本(別名:オレの嫁)について思う存分語るという激熱な会であり、今回は僕以外の全員が『いわた書店の1万円選書当選者』という羨ましすぎる面々というレア回。

その会のなかで、源氏物語の誕生から現在に至るまでの伝承の歴史について書かれた一冊が紹介された際、紹介者さんの言葉にハッとさせたれた。
「僕の個人的見解ですけど、源氏物語は紫式部ひとりの創作ではなく、優秀な編集者が何人もいて創り上げた合作なんじゃないかなって思うんです」

源氏物語は原稿用紙にして約2400枚の長編大作(ちなみに文庫本1冊は約250枚)であり、登場人物は400名以上にもなる。そして、1000年以上ものあいだ、愛されて続けている名作だ。
そんな超名大作をインターネットはおろか、電話も印刷機もない時代にひとりで創り上げたと考えるよりは、優秀な編集者と共同で練り上げたものだとしたほうが合点がいく。

1000年前の時代背景や紫式部の人物像を踏まえて、参加者全員でワイワイと考察トークに始終していると、時間を忘れるほど楽しんでいる自分に気がつく。

こんなに気分が高まるのは、『たられば』や『IFストーリー』を考える二次創作的な面白さが、古典には多く含まれているからなのではなかろうか。

時が経てば経つほど、余白は広がり、その余白に多くの人が色を塗り足す。
自分が塗り足すのも楽しいし、他人の色を見るのも楽しい。
古典はそんな楽しみ方をできる、いつの時代においても最先端なツールなのではないかと感じ入った今回の読書会。

これからは古典も読んでみよう。いや、落語もいいかも。

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