パラダイス中学校

エンターテイメントというのは、人間に備わっている基本的な機能なのかもしれない。

僕の通っていた中学校は、比喩抜きで下界から隔絶された立地にある。

集落から、山道を30分登り続けると、急に視界が開けて、中学校が出現する。
まじで。

最寄りのコンビニまでは、徒歩で50分くらいかな?
貨幣が役に立たない秘境。それが中学校。

そんな中でも、中学生は暇と体力を持て余している。

この環境でできる楽しいことはないか。ワクワクすることはないか。と、探して回った結果。

バック転とバック宙の練習にハマった。

体育倉庫の分厚いマットを使って、昼休みと放課後にバック転する毎日。

結果。男子生徒の20%。5人に1人くらいは、バック転ができ、そのうち3人に1人は、バック宙ができる、特殊な学年が出来上がった。

しっかり練習しているので、ボテっとしたバック転ではなく、ロンダートからきれいに繋がるスルッとしたやつだ。

今でも唯一仲のいいフクダ君は、駐車場の柵に立ち、クルッとバック宙をしていた。

あの頃は、クルクル後ろに回るのが、なにより楽しく、最高のエンタメだった。

人は、どんな環境でも、楽しめる。

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