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雨上がりの水たまりで息子がはしゃぐ。 ぱしゃ。やめなさい、水がかかるだろ。 ぱしゃ。だか…
いつも父の背中を見ていた。 その大きな背中はとても広くて、 見ているだけで安心できた。 …
秋の夜長は、虫たちの音色を聞くためにある。 まるで交響曲のような、厳かな合奏。 時折挟む…
彼は常にアップデートしている。 第一印象が大事だからと、毎日外見を変えてくる。 「今日は…
朝晩涼しくなってくると、秋の気配が漂ってくる。 おいしいものも増えてくる。 子供たちが言…
父はよくリモコンで机をトントンする。 「あの番組を録っといてくれ」 えー。 父の頼みを嫌…
隣室から話し声が聞こえる。 「やっちまったよ」 「は?どうすんだよ」 「始末するしかねえだろ。明日はゴミの日だろ? バラバラにして混ぜたらわからねえさ」 「バレたらどうすんだよ」 「観念するしかねえだろ」 私は明日ごみの中を確認する。 そして、見つけたら子供部屋に乗り込むのだ。 0点の答案用紙を。
ずっと下を向いて歩いてきた。 何をしてもうまくいかず、 下を向くのが自分の人生だと思って…
今日はこの村の夏祭り。 日も暮れてきて、皆列になって進みながら踊り始めた。 まずは子供た…
僕は恋愛小説を読んでいただけなのに。 よくある片思いの物語。 読んでいたら失恋したヒロイ…
月の光が静かに下りてくる。 暗黒にまぎれた僕の上に。 いつも隠れる僕を、 まるでスポット…
庭に白い百合が咲いた。 たったの一輪。 今まで咲いたことがなかったのに、 どうしてなのだ…
猫のミイが虹の橋を渡っていっちゃった。 親友のボクを置いて。 一緒に遊んだり、喧嘩したり…
海のきらめきは、僕にはまぶしすぎる。 乱反射の光は、白黒の記憶を天然色に染め上げる。 あの時君は、いつも僕の前にいた。 波打ち際を踊るように走る君は、 寄せる波に足をさらわれながら、 満面の笑みを僕に見せた。 そして、返す波は君の足跡を消した。 いつもの静かな海。 もうすぐ、夏が終わる。