てらけん / ブログやメルマガに書くまでもない話

L(G)BT。国内外を旅しながらDRMで年1億~自動化。ほかアパレル事業やリラクゼーシ…

てらけん / ブログやメルマガに書くまでもない話

L(G)BT。国内外を旅しながらDRMで年1億~自動化。ほかアパレル事業やリラクゼーションサロンの運営、エンジェル投資など。SNSやマーケに出会い今に至るまでの物語を発信中。著書に「祈りのゆくえ」等。運営メディア一覧(https://f-lifelog.com/teraken)

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    • 青すぎた春

      もう年に1,2回しか会わない地元の親友が数名いる。幼少期からの付き合いになるので数十年、そして彼らは僕のことをゲイだと知っている。 昔はたくさん会った。空白の時間を埋めるかのように日々一緒に過ごし、何をするでもなく、夕方になるまで遊び続けた。学校が終わると、だらだらと放課後を過ごして、そのまま自転車で塾に行ったりゲーセンに行ったりした。自転車では行ける距離が限られてしまう。それでもどこでも行けるような気がしていたのだ、ずっと。 ある日、塾をサボり、僕らは自転車で遠くまで走

      • それでも知るということ

        知らなかったらすべてがそのままで、何事もなく日々が過ぎ去っていくだけだったのに、と思った瞬間が何度もある。「知る」というのには不可逆性がある。知ってしまったらもう知らなかったころには戻れないのだ。 たとえば昔、とても好きだった人がいて、その人と半同棲までしていたのだが、最終的に彼には別の人がいることを知ってしまった。男同士の恋愛なので、よくある話ではある。しかし知るきっかけもひどいきっかけで、当時25歳くらいの自分は心から傷ついた。ずっと泣いていた。ずっと誰かに電話していた

        • トマト

          友人が、一晩で1億、累計4〜5億を失った。 その事件は上場企業も絡んでいる巨額投資詐欺(ポンジスキーム)としてニュースにもなり、友人は完全に被害者。でもポンジあるあるだが、周りに紹介もしていたので同時に被害者でもあった。 しんだ方がラクになるかなと日々連呼する彼に、だめだよ、一緒に生きていこうよと言うことしかできなかった。これからいいことがあるよ、と言っても当然彼には響いていなかった。本当にこれしんでしまうかもしれない、というオーラが出ていたのだ、あの頃は。 彼から「お

          好きな人の文章が好き

          好きな人の文章が好きだな、と思う。文章。言葉の紡ぎ方。最初に好きな人の文章に触れた時から思った。あぁ、好きだと思った。文章から感じ取れる透明な感じ。クリアで、真水みたいな。大自然の中を流れ落ちる純度100の川の水みたいな。屋久島で屋久杉を見るために山登りをした際に途中で出会った、緑に包まれた小さな川のような。この人の魂は「透明色」なんだなと思った。 そしてメッセージを送ったのだ。 「初めまして、あなたの文章が好きで、惹かれてしまいました」 いざ会った時は文章と同じ印象だっ

          いつか骨になり、やがて雨や風や空の一部になる

          自分も、大切な人たちも、いつか必ず骨になり、やがて雨や風や空の一部になる。僕らはそういう運命だ。生命体である限り、そこに例外はない。僕らは骨になり自然に還るために今を生きている、と言っても過言ではない。 自分の身体を、肉体を触ってみる。奥に骨が眠っている。ふつうに生きていれば剥き出しになることはない。最後の最後までそれは表には出てこない。 僕らは一体、しんだらどこに行ってしまうのだろうか。肉体を燃やされ、灰になり、残った骨もやがて風化する。一体どこから生まれて、どこに帰っ

          いつか骨になり、やがて雨や風や空の一部になる

          新宿二丁目のあさがた

          あさがたの、人が少ない新宿二丁目を歩いているとき、どこか遠くへ来てしまった感覚に陥る。大都会、東京。当時の自分からしたら高い交通費を払い、無意味に来ていた、東京。 「アルタ前に集合ね」と聞くだけでテンションが上がり、雑踏の中を歩くだけで胸が高鳴った。無駄に上ばかりを見てしまう。どこにも行けない自分が、どこかへ来れた気がして、何者でもない自分が、何かになれた感覚。その「感覚」だけを求めて東京に来ていたのかもしれない。 新宿二丁目のあさがた。当時、僕はたしか終電で帰れなかった

          雨、田んぼ、踏切の音

          いま、日本、東京に向かって走る電車の中にいる。外では雨がぽつぽつと降っている。天候は微妙だ。田んぼの緑がいきいきとしている。踏切の音が聞こえて、後ろに流れていく。この世界には僕の知らない町がたくさんあるんだなとつくづく思う。 好きな時間、好きな瞬間について考える。僕はこの時間が結構好きだなと思う。人の少ない電車に乗り、雨が降っていて、緑の絨毯みたいな田んぼがあって、踏切の音がたまに聞こえる。ゆるやかに流れていくこの時間の全てが。 前に九州を旅していた時も、同じことを思って

          尊い時間の中を生きている

          この前、久々に高校生時代の同期と先輩に会った。部活のメンバーで。みんなでご飯を食べた。こんなに懐かしくて優しい時間もあったんだっけ、というレベルの会合だった。 同時に切なさ、虚しさも襲ってきて、胸の奥がツンと痛んだ。もうあの若さは僕らにはないんだな、と思うとなんとも言えない感情になる。懐かしいとは、もう戻ってこない時間の集合体のことを言うのだ。 あの時、どういうわけか、僕は久々に同期に連絡をした。そしたら意外とすんなりと会う流れになった。好きだった人たち、先輩らのことを思

          最初で最後かもしれない抱擁

          およそ12年ほど前、新宿二丁目でおそるおそる通っていたゲイバーがある。あの頃はまだ初々しくて、右も左もよく分からなくて、怖いことだらけだった。何にあそこまでビビっていたか分からない。分からないけど、でも、たしかにビビっていた。怖かった。でも田舎から新宿二丁目に通っていた。行く場所はだいたい決まっていて、会う人もほとんど同じだったように思う。 そのバーは今はもうない。4年目くらいで閉じてしまったらしい。僕は色々とあって途中からめっきり行かなくなってしまった。あのバーというか、

          100記事目

          そこにずっとあると思っていたものが、次の瞬間にはなくなっていて、慌てて見つめても、形をあてがっても、もうなにもかも遅い、ということはたびたびある。物理的にもう戻ることはできない。 時計の針を眺めていると、時おり不安になる。ぼくを、ぼくらを追いかけてひたすらに進むだけの姿を見て、もうちょっと待っててくれよ、こちらの気持ちの整理とか、事情とか、そういうのも考えてよ、とおもったりする。 すべてが流動的で、やがてなくなる。その瞬間を目撃した。詳しくは書かないが、形がなくなっても想

          99記事目。自分なりのケジメ

          この日が来るなんてつゆにも思っていなかった。数年越しに湧き出る感情、重なる思い出、蘇る景色。もはや言葉にならない。年内につけておきたかったケジメ。これは大きな一歩に繋がることだと思う。大好きだった元々彼と別れたあと、もう4年ほど訪れずにいた名古屋。名古屋での出来事はトラウマでしかなかったが、今ではもう思い出に昇華している。人生の財産だなと思う。 「泣きたい時に泣いておいた方がいいよ」と記者の友人は言った。電話越しで。名古屋の某所、歩道橋の上で僕は足元がふらつくほど泣いていた

          なにをこわがっていたんだろう

          振りかえると、なにかをずっと怖がっていたようにおもう。そのなにかの正体はいまだにわからないが、多分、いやほぼ確実にずっとなにかを怖がっていた。あのころ、集団で歩き、じぶんが先頭にいたとき、ずっと背後がきになっていた。後ろをチラチラ振りかえりながら歩く。けられるんじゃないかという恐怖。おし飛ばされるんじゃないかという不安。冬、ウィンドブレーカーをきてる時は安心した。自分の外側を、すっぽり包んでくれるそれは、鎧のようなきがしていたからだ。 教室でごはんを食べるのも怖いときがあっ

          満ちていなかったり、満ちていたり

          その日はお昼すぎに起きた。路上からはひっきりなしに救急車の音がきこえていて、部屋のそとからはだれかの大声がきこえる。ここは新宿、ねむらないまちだ。ベッドのうえでスマホを開き、友人からとどいているLINEを確認する。他愛のない会話。このせかいは他愛のない会話であふれているな、と思い、しばらくぼーっとしたあとにベッドからおきあがった。夕方から仲間うちでの会食がある。 それから、かるく散歩をしたり仕事をしたりして、あっというまに夕方をむかえた。この頃は日が落ちるのはやい。24時間

          満ちていなかったり、満ちていたり

          ともだちのむこうがわ

          電話越しにかれは、「おれが気になっている人、誰だかわかる?」と聞いてきた。ぼくは少しとぼけたトーンで「わからない」と答えた。内心、こういうパターン、むかしもあったな、とおもった。なんで人はすれ違うのだろう。なぜ片想いばかりなのだろう。すぐにはじまってもいい物語はそこらじゅうにあるというのに。 かれはぼくのことが好きらしい。それをぼくは気づいている。でも気づいていないフリをしている。いつからかとぼけるのがうまくなったのだ。いつからか。 かれから毎日のようにとどくLINEを横

          かくれんぼ

          彼女はいわゆるトップキャバ嬢で、LGBTである僕、つまりそういう目では一切見ない僕に対してほぼ初対面の段階で心を開いてくれた。彼女はキャバクラ以外にも多方面で活動していて、テレビにも出ているし、80万回ほど再生されているMVにも出演している。僕を見て、最初、「私はあなたとなら友達になれるってこと?」と聞いた。僕は「そうかもしれない」と返して少し笑った。彼女もかすかに笑った。それからというもの、何度か呼び出しを食らった。 彼女は明確に壊れていた。もう体も心も崩れかけており、そ