見出し画像

面識のない第三者に向けて文章を書けない焦りと快感

記事:くろだ しゅんすけ 

美容師になって18年目なのだが

今回、コロナ渦で当たり前に思っていた日常が

当たり前でなかったことを身をもって痛感した。

お客様が来店して下さらない事には

今の僕には何の価値も生み出せない事実をつきつけられたのだ。

幸いまた忙しい日々を今は取り戻せているのだが

まだまだ、いつ何がどうなるか不安を抱える日々はこれからも続くだろう。

ただ具体的にみえてはいないが、これからの美容師としてのあり方を

何か変える必要があるとは強く感じたのだ。

意外と知られていないのだが

日本に美容室はコンビニの5倍近い25万店舗

そして53万人以上の美容師が存在する。

さらにこの中の一握りの美容師は

コロナ渦において副業をのばし、影響を受けるどころか追い風としている。

僕は、まんまとSNSに着手し、眠っていたフェイスブックを整理して

ただの備忘録であったインスタグラムの活用法を見直し

拡散されやすいらしいツイッターもはじめた。

そして流行りのノートというブログのようなものまで

何でもチャレンジしてしまおうと

今年の抱負

「考えすぎる前に行動し、やりながら考える」に従うことにした。

かと言って

自分にそれらを活用して何を発信できるのかは全く思いつかない。

動画制作、一眼レフ、料理、東洋医学、読書、音楽鑑賞

好きなものはたくさんあるのだがどれも浅くて

当然それを仕事にしている人達には勝ち目はないし

とても同じ土俵では戦えないとすぐに諦めた。

そして、人生で一番長く続けており

唯一今も変わらず追求し続けているものとして美容師だけが残った。

だとしたら、美容師として何が発信できるのか。

考えても、もうすでに溢れている。

「やばい、何もない!」

すでに存在する美容師ユーチューバーや

多くのファンをつけている世の中の美容師さん達のSNSはとてもシンプルで

純粋に人のために尽くした有益なコンテンツであり

素晴らしいサービス以外のなにものでもなかった。

改めて僕は自身の何がコンテンツになるのかひたすらさまよい歩いた。

やりながら考えようと自分に必死に言い聞かせながら……

藁にもすがる思いで

SNS関連、キャッチコピー、フォロワーの増やし方

いいねを押されるコツ、リツイートやリプライされる方法

などというハウツー本を読みあさった。

一冊読んでは実践、また一冊読んでは実践

ひたすら積み重ねっていった結果。

ファン一人としてつけることができなかった。

そして見事に脳みそが茹で上がり自分の目標を見失い

僕は何のために何がしたいのかすらわからなくなってしまった。

ただそれでも歩みはとめるまいと

書店を巡ったりネットで検索を繰り返した。

そしてついに、検索のアルゴリズムか

天狼院書店のホームページと出会うこととなる。

ホームページをみてみると

動画制作や一眼レフ、マーケティングに至るまで僕にとって宝の山だった。

動画制作の勉強にも手を出していた僕は

まずはそれを目当てに福岡天狼院に初めて足を運んだ。

店内に入ってまた衝撃が走る!

並んでいる素晴らしい本達に魅了され、それからも来店を重ねる。

すると、ある事に気づいたのだ。

本やゼミについて質問するたび、いつも心を動かされている事に。

なんだろうこの嬉しい気持ちは……

日頃、サービスする側にいる僕は思った。

これだ! スタッフさん達から受けとる言葉の何かが違う! 

と直感的に悟った。

スタッフさん達も受講されている

「人生を変えるライティングゼミ」

僕の心はすでにこれに向かっていた。

僕のことを知らない第三者の方々に

最後まで読んでもらえる可能性の高い文章を書けるようになれたら

人生どう変わるのか本気でみてみたい!と強く思った。

8月から4ヶ月、全8講のうち、今は第2講まで受講させて頂いている。

内容は書くわけにはいかないが、この「第2講」で学んだ事は

サービス業である美容師にとって

無防備で白鵬関から全力の張り手をくらったかのような衝撃であった。

このゼミの大きな特典の一つに

週に1度テーマフリーで2000字の文章を先生にフィードバックして頂ける。

今回は第3回目。

正直なところ

回を重ねるごとに何を書いたらいいかわからなくなってきた自分がいる。

題材をひねり出し、書いては却下を繰り返す。

悩んでは過去の講義を何度もみなおしてみる。

いま僕が文章を書いている相手は、面識のない第三者なのである。

美容師と違い、相手を目の当たりにできない僕はもがいている。

カウンセリングして相手の情報を得ることも

読んでもらう対象がそもそも一人ではない。

先生が言っていた。

第2講に関するスタンスとは、頭の良し悪しではなく心構えであって

一瞬で変えれる人もいれば、手こずる人は手こずる。

僕は死ぬほど手こずって焦っている。

そして反省しては、復習と書くことをひたすら繰り返している。

そしてふと懐かしい感覚に包まれた。

毎日、叱られては反省して乗り越えてきた美容師見習いの頃の気持ちを。

逃げず諦めず腐らず向き合ってきた先にあったものを

美容師に関してなら僕は知っている。

大切に磨いてきた技術のそれぞれに愛着があり

自分で言うのもなんだが

まだ文章をかけない僕にもファンがいてくれるのだ。

コンテンツになるものは

心構えを正して諦めなければきっと身につくはずだ。

第三者に最後まで読まれる可能性の高い文章を書けるようになる事で

美容師としての僕を応援してくださっているお客様のためにも成長して

さらに、これから配信していく文章をもとに

未来のお客様と繋がれる事も願い

この挑戦こそコンテンツになり得るかもしれないと

浅はかな考えに快感をおぼえている僕は

また白鵬関に全力で張り手をくらわされるのだろうか。

《終わり》

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?