マガジンのカバー画像

ついて

8
運営しているクリエイター

記事一覧

言葉、その他:山根への応答

言葉、その他:山根への応答

この文章は、僕の幾人かの友だち全員に宛てられている。厳密に言えば、僕が百時間以上真剣に話をした家族恋人以外の全員に宛てられている。そしてこれは、彼らの一部を読み手に紹介する文章でもあるし、僕がどうしてこんな場所に十数万字も形式の定まらない文章を書き続けてきたかを考えるための文章でもある。

直接の原因からいこう。ある友だちが「福田」という題で文章を書いた。応答を求めているので応答する。ここで応答す

もっとみる
日記の辞め方について

日記の辞め方について

6gatsu no 27niti.

atsui.

hige wo sotta bakari no, kutimoto ni tsuyoi hikari wo kanjiru.
hirihiri suru.
konnbini de ookina pakku no ko-hi- wo katta.

koori no haitta ippai no kappu wo kau nomo ii.
s

もっとみる
暮らしと頭について

暮らしと頭について

(一)暮らしの近さ

暮らしは続く。暮らしは終わらない。
暮らしは近い。近いけれど、よくわからない。近い「から」よくわからない?

近いという言葉は、甲と乙が触れておらず、そこにあいだ、隙間がある場合によく使う。反対に、接していると、見えない、聞こえない、におわない、味がしない、ということがよくある。それが甲と乙であること、つまり「ふたつ」であることが感じられない。でも当然のことながら、感覚に反し

もっとみる
日記の続け方について

日記の続け方について

十〇(月)

とにかくまず等しくなるというのをやめよう。ふさいだ蓋のむこうからそう声がする。やめる、すると、うるさい声がでたり、おだやかな声がでたりするようになる(か)。
とりのからあげは、星にしては、ちさく、ごつごつとして、住みにくかろう。そとみよりも、なかみに、みりょくや、しさ(示唆)がとりわけ詰まっているのだな。

十一(火)

七にちあるのをしゅう(週)とよぶ。そののこりをかぞえるのは、は

もっとみる
ほくたんネットプリントVOL.1について

ほくたんネットプリントVOL.1について

選と、感想を少し。

スティックシュガーのような雨降る水底に口を淀めた語彙のじゃりじゃり
跪くムーヴで布団に吸いこまれ王は何処におわしますかな
/辻村陽翔「淀みのために」
一首目、水底に「すいてい」のルビ。なめらか、やわらかな景だがずっと韻律が引っ掛かるように作られていて不思議だ。出来事としての雨のスケールにしてはスティックシュガーは細すぎるし、雨の一線を形容するにはボリューミー。スティックシュガ

もっとみる
すなくるみ4について

すなくるみ4について

すなくるみ4を読みました。おふたりとも、前回より言葉の選択に制御が効いているようにみえてはっとしました。神崎作品は一首目四首目、込谷作品は五首目六首目が特にいいと思いました。

込谷作品について。作風、という言い方は難しいですが、洗練されたケレン味がどこまで受けるかというのを問う作品群だと、いまのところ、捉えています。

この事柄について繰り返し思い出すのが吉田恭大の2023年11月1日のツイート

もっとみる
拒絶について

拒絶について

椅子に座る。背にもたれかけて、そのまま脚を伸ばしきる。足首から先の可動域を確かめ、首の後ろを縮めたり伸ばしたりする。脚を元に戻し、背を離して、口元に置いていた左手を左へ、それから後方へと回し、頭の上から元へ戻す。脚は足首で組まれて小刻みに揺れている。左手は繰り返し繰り返し喉元の薄い髭を撫でている。

座っているときに限らない。人といると気づきやすいのだが、僕には落ち着きというものが欠けている。しず

もっとみる
停滞について

停滞について

書けたものはもう書けないのだから、書きたいことは、書かないのが一番いいのだ。そうして、ここに、ああ、あるなあと感じるだけの時間は楽しいだろう。粒々の自分がそこらに漂うような感覚。けれども、書きたいことは、どうしても書きたくなったらすでに書いてしまっている。それで名残惜しいから、見つかったあとは同じところぐるぐると回るのだ。欲望の大きさと結びついた、そういう、自分の愚かしさは、どうしようもないもので

もっとみる