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思っていても伝えないのは、ないのと同じ

『君たちはどう生きるか』の
漫画も読んでみた。

原作をもとに、漫画は
独自に作者の伝えたいことを
わかりやすく表現してくれていた。

主人公はコペル君と呼ばれている。
おじさんが命名した。
コペル君は嬉しさをかくしきれない。
「あのコペルニクスみたいに
まわりの人にどれだけ間違っていると言われても
自分の考えを信じぬける立派な人間に僕もなってみたい」

コペル君は、銀座のデパートの屋上から見下ろした
人々や車が行きかって賑やかな銀座の街を眺めながら、
人間は水の分子みたいだと思った。
世の中の大きな流れをつくっている一部なのだと。

そして、学校でいじめられている級友をみて考えた。

人間は分子みたいにつながっている……
でもそれは
もしかしたらいい面だけじゃないのかもしれない……

『君たちはどう生きるか』漫画 羽賀翔一 原作吉野源三郎 マガジンハウス

いい面も悪い面もあることに気づく。
分子のイメージが、いじめられているという出来事にも
つながってゆくのをはっきりと描かれている。

みんなでひとつの大きなかたまりになって
肩を寄せ合っているせいで……
かえって抜け出せなくなるときもあるのかもって……
みんなで見えないふりをしている状況からさ……

『君たちはどう生きるか』漫画 羽賀翔一 原作吉野源三郎 マガジンハウス

おじさんは言った。
「自分で考えるんだ」

どうしたらいいのか、自分で考えて、自分で決める。

どうすればコペルニクスみたいに
まわりの流れにまどわされないに立派な人間になれるのか。

まわりの流れに乗って、
いじわるしたり、仕返したり。
そうしないのには、勇気がいる。

いじめられた子は、
自分をいじめたヤツのことを助けた。
その理由を、漫画では素敵に描いていた。
すべての人は分子でつながっているというのを
暗示させながら、いじめられた子が言う。
よくわからないんだけど、「いてっ」って感じがしたと。

その勇気に感動したことをおじさんに伝えると、
「君は自分が感じたことを
心の中で言葉にできる」

思ったことを彼に伝えたら、
それは大きな力になると
おじさんが言ってくれた。

「頭の中で言葉にするだけじゃなくて
ちゃんと伝えるよ
自分が正しいと思ったことを
ちゃんと伝える
もう二度とみんなで間違った方向に
流されたりしないようにさ……」

コペル君のこの言葉に
おじさんは刺激を受けた。

「頭の中だけに
閉じこめているものに意味はない……
自分が正しいと思ったことは
ゴマ化したりせず
行動に移す」

ここで、原作の本文がいかされる。
自分の感じたことを大切にして、
いつでも自分の本心の声を聞こうと努めなさい。

おじさんはコペル君に
「世間の目よりも何よりも
君自身がまず人間の立派さがどこにあるか
それを本当に君の魂で知ることだ」
と願っている。

友だちを裏切って後悔して落ち込んでいるコペル君に
お母さんは、昔いいことをできなかった後悔の経験を語る。
でも、お母さんは言う。


「そんな自分にお礼を言いたいくらいなのよ……
自分の中に少しでもきれいな心がわいてきたら
『今度こそそれを生かさなきゃ』って
背中を押してくれることがあるから……
もしかしたら、潤一さんにも
もっともっと大きなことで
やるべきことをできずに
後悔することがあるかもしれない……
でもね
たとえそのときは苦しくても……
その経験を忘れてはいけないの
これからの長い道のりの中で……
きっと何度も背中を押してくれるから……」

『君たちはどう生きるか』漫画 羽賀翔一 原作吉野源三郎 マガジンハウス

「宇宙が地球を中心に回っていないように
世の中が自分を中心にしてまわっているわけじゃないってこと……
誰か一人の人間を中心に
世の仮名は回っているわけじゃない
でもだとしたら
この世の中は
いったい
何を中心に回っているの……?」

「世の中を回している中心なんて
もしかしたらないのかもしれない
太陽みたいにたったひとつの
大きな存在が
世の中を回しているのではなくて
誰かのためにっていう
小さな意志が
ひとつひとつつながって
僕たちの生きる世界は
動いている」

コペル君は、いろんな経験を経て
世界にしっかりと飛び込んでいける予感がしていた。


伝えていくことで
その思いが人の刺激になり
分子と分子がつながって働きあっているように
世界を動かしていくことになる。

私も感じたことを伝えていこうと思えた。













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