ボードゲームデザインチェックリストやってみた。その1
「クラクラップ!」もチェックしてみよう
Studio GGのShun (@nannann2002)さんが「ボードゲームデザインチェックリスト」の記事の中で「つまらない」をなくすディベロップメントの確認ポイントをチェックリストにして示されてます。
「クラクラップ!」もこのチェックリストでチェックしてみます。クラクラップはゲムマ21大阪で頒布するのみとなっているため、もはや遅い感もありますが今後のためにもチェックしてみます。(結構長いです)
コンセプト
・似たゲームは存在しないか?
「クラクラップ!」はデッキビルドで数値比べが主メカニクスです。デッキビルドという意味では似たゲームはあるでしょうし、数値比べもカードゲームを中心に無数にあると思います。もう一つの大きな特徴である、同時に手をたたいて聞き分けるというゲームってあるんですかね。似たゲームを探しきれてないのかもしれません。
・存在するならそのゲームに対する優位性は言えるか?
通常のデッキビルドとの大きな違いは手番を同時に行うという事です。カード獲得以外は同時処理をしていきます。また、数値比べの同値処理の典型としてバッティングがあるのですが、「クラクラップ!」ではポーズ早決めにしています。このアクションによるアドバンテージは他のゲームでもありますが多くはアクション要素が強いゲームになると思います。
・その優位性はある程度共感を得られそうか?
共感というのはとても難しい感覚だと思っています。私自身が多くの方と価値観を共有できている自信がないからです。ただ間違いなく言えるのは自分が欲しいゲームというのが最重要コンセプトではあるので、Shunさんが本文で書かれている「自分が買うかどうか」に関しては即答ではいです。ただ「愛着から高い評価をしてしまいがち」であることは間違いありません。
・ゲームの特徴を一言で説明できるか?
感覚と論理と駆け引きのパズルを解く体験
・他の人が作ったとして、そのゲームが欲しいか?
前述の回答とかぶってしまいますが、他のゲームで代用できない体験であることは間違いないです。ゲーム性としては一見運要素強めに感じますが、かなり論理的な考え方をしなければいけませんし、人の思考を読まなければならないため、うまくいかない感もあります。そんなコントロールできそうでできないゲームが好きな私はこのゲームが欲しいです。
ルール
・ゲームの目的は理解しやすいか?
ヴィクトリロードを進めるというのはわかりにくいかもしれませんね。勝利点が多い人が勝ち、というだけなのですが。ゲーム固有の用語を使うことの難しさを感じます。
・直感に反するルールはないか?
できるかぎりダンスフレイバーを尊重したルールになっています。
・取り除いても問題ないルールはないか?
これは難しい。実際に取り除いたものもあります。一番はカード効果。かなり絞りました。また手順が多いため、コアとなる判断以外は選択を極力排除しました。
・全てのルールの意味は説明出来るか?
・ゲーム中の全ての数字の意味は説明できるか?
とにかくフレーバーに寄せているので意味づけはしっかりしています。キューブの数やカードの枚数やダンスバトルの数などにもシステム的な意味づけがあります。
・統合できるルールはないか?
・曖昧だったり、解釈の分かれるルールはないか?
・プレイヤーが覚えるべき数字が多すぎないか?
これも初期段階からいろいろな方のテストプレイでの意見の中で改善されていったと思います。ルールの統合や削減や意味づけは多くの方からの意見が大変参考になりました。今後noteにて詳細をお伝えできればと思います。
・手番でできることは4種類以内か?
・3種類以上なら、確認できるサマリーはあるか?
手番で判断が必要なことはカード選択の3択と勝負するかの2択、そしてカードドラフトのみです。それらは各フェーズごとに全員で同時処理することになります。やることというよりも段階が多いため、全体の流れをルールに折りたたんだ状態で見れるサマリーとして付けました。
テーマ
・テーマとルールが乖離していないか?
・テーマ上での目的とゲームの目的は一致しているか?
とにかくフレーバーに寄せることを第一にルール取捨選択してます。テーマ自体がバトルなので目的は一致しやすいです。
・テーマ上の目的に魅力はあるか?
・そのテーマは普遍的か?
こればかりは何ともわかりません。実際ダンスバトル見たことないんです。想像上のダンスバトル。果たして普遍的なものなのかもわからず。ここが一番曖昧さの比重が大きいかもしれません。
選択
・一手目から選択肢があるか?(定石として一手目が確定していないか?)
確定することはないですし、単純なゲームの割には序盤の動きは人によるのかなと思います。
・ゲーム序盤で勝敗が確定しないか?
・最終手番まで、勝利を目指せるゲームになっているか?
勝ち続けるのが難しくなるようなデッキビルドになっていて、かつテンションのコントロールがうまくないと勝っても上昇できないです。逆にテンション次第では最後にぐんと伸びます。
・反復が最適行動となる状況はないか?
・あるならその発生後ゲームはすぐ終わるか?
かなり結果が周りに影響されるため、反復は起こりにくいです。
・考える事が勝利に近づくゲームになっているか?
場の状況のコントロールは難しいですが、様々な情報から場の状況をなんとなく把握することが可能であり、そこに考える余地があると思っています。
・テーマ的に正しい行動が良い選択になっているか?
ダンスすることが勝利につながるのは正しい行動が良い行動になっている気がします。一見しゃがみにあたるバトルに参加しないという選択もテンションの上昇というゲームの勝利へ近づくための行動となります。
インタラクション
・ゲーム中に他プレイヤーの存在を意識するか?
・他プレイヤーの行動が把握出来るか?
常にプレイヤーを意識するゲームです。このゲームの特徴である他プレイヤーのハンドの強さを拍手で聞き分けるという行為は、感覚から得られる他プレイヤーの情報というあまり見られない体験があります。
・直接攻撃要素が強すぎないか?
・インタラクションがゲームを支配していないか?
他プレイヤーとは最終的には数値比べを同時に行うので攻撃の感覚はなく、他人からの邪魔という感じでもありません。
いったん休憩
結構な分量になったので分割します。
思った以上にテストプレイ会でのご意見が
チェックリストの視点と重なっているなと感じています。
今回のチェックリストを実行するように
自分からは確認しなければ出てこないことも、
テストプレイ会では直接的にも間接的にもいただけることは
大変ありがたいことなんだなと、
テストプレイ会の偉大さを思い知らされる結果になりました。
次回に続く
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