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不思議の国の豊40/#火遊びが好き 2

前回はここまで、そして

#火遊びが好き 2

僕はプラスチックをゴミ捨て場から拾ってきて

それにも火をつけて燃やした。

あの「ボォーッ、ボォーッ、・・・」

と言う音と炎が空中を走る感じは何とも言えなかった。

僕はマッチ出で似たようなことができることを発見した。

左手にマッチ箱を持ち、

擦りつけの部分にマッチ棒の頭を置き、

左手の親指で押さえる。

右手でマッチの棒の端を持ち、

手裏剣を投げるように向こうにある標的に

マッチ棒を勢いよく投げつける。

すると、マッチ棒が空中を飛びながら火が付き、

標的に当たるのである。

これは友達にも教えた。


僕たちは小さいころからだと思うが、

藁グロで遊ぶのが好きだった。

藁グロとは、稲わらの小さい束を、

根元を外にして円形に積み上げ、

それが家の一階分ぐらいの高さに

とんがった藁の屋根がついている。

藁だけでできた大きな柱のような

小屋のような外観の

藁の屋外の長期貯蔵のやり方だった。

僕の家のすぐ前の田んぼには

父がそれをいくつも作ってあった。

土佐赤牛のえさにしたり、

縄など藁で作った道具の材料、

野菜などの足元に引いたりするのにも使い、

用途は広かった。

僕は近所の同級生とそこで遊んでいたときに、

例のマッチ棒の手裏剣で、

火遁の術をやって居た。

マッチ棒は火が付いたまま

藁の壁に突き刺さるのが上手

下に落ちたり、火がつかないのは下手

みたいなルールで遊んでいた。

藁の壁は結構硬いので、

なかなかうまくマッチが刺さらない。

僕のが一番うまく刺さり始めて、

僕は有頂天になっていた。

藁は火が付きやすいことは知っているので、

旨く行けば、火はすぐ消していたが、

僕の手元が狂ったやつが、

ちょっと上に飛んで刺さった。

藁の壁はきれいにたたいてそろえられているので、

藁くずはほとんどないのだが、

だからこそ、大丈夫だと思って遊んでいたのだが、

運悪く、そのマッチ棒の刺さったすぐ横に

ほつれた藁があった。

それに火が移った。

あっという間に上の方の

藁の屋根の軒まで火が移った。

藁の軒は藁の穂先の方が外側になっている。

火が付きやすいのだ。

僕たちは慌てた。

家にある水槽からバケツや柄杓で水を組んできて

掛けたが火はどんどん広がった。

近所の大人たちも駆けつけて一生懸命消したが、

5-6個あった藁グロは4個ほどが燃えてしまった、

僕は父親にこっぴどく怒られた。

ロープで手を後ろ手に縛られ、

暗いサイロにちょっと伸び上がらなければ

手が痛い状態でつるされた。

そのサイロは、牛のえさになる草を

発酵させて長期保存するために、

父が造った直径5メートルほど、地下10メートルほどの

丸いコンクリート製の穴だ。

臭いし、じめじめするし、蓋をされたので暗い穴、

僕は、自分のした事の重大さは

僕なりにわかっていたつもりだったから、

この罰は仕方ないと思っていた。

馬鹿な自分に、涙がボロボロこぼれた。

「他の友達も怒られたやろうな」と、

みんなにも「とてもすまない」思いだった。

以下次号


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