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タイに行ってきたお話④

ごきげんよう、くじらです。
前回の投稿からだいぶ時間を要してしまいましたこと、ご容赦ください。

さて、本日は③の続きです。

 タイで一番の猛暑と言われている3月〜4月の平均気温は余裕で30度を超え、湿度もそこそこあり、ジメッとした感じの気候だ。

 屋内はクーラーがガンガンに起動されており、内外の気温差で自律神経がおかしくなってっしまうのではないかと思うほど、タイのお店はどこもキンキンに冷えている。

バンコク、昼間はなんもない

 日曜日のバンコクは観光客と現地民でごった返している。私が滞在していたホテルに隣接していたのは高級ブランドの百貨店。品々を見るアジア系の顔、おそらく中国の富裕層だろう。駅とビル周辺は現地人たちがいっぱいいる。誰もが皆、高級ブランドのお洋服で身を包み、いかにもバンコクのプロンポン周辺は「ハイソサエティ」と言わんばかり。そんな私はサンダルに短パン。後ほど聞いたのだが、「バンコクで短パンとサンダルだと貧乏に見られるよ」と言われた。なるほど。そういうことか。と一瞬で悟り、部屋に戻って衣装替え。

 ジーンズはベチャベチャ、靴もビチョビチョ、こんな酷暑でファッションなんか言ってられるか!と心の中の悪魔が叫び散らしているのを感じたので、涼しいお店へ行くことに。基本的に「夜のお店」は昼でも営業している。ただお客さんが少ないと言うだけで、観光客にとっては穴場の時間・・・と思いきや、全員が全員出勤しているということではないみたいなので、15時頃を目安に行くと良いだろう。男性諸君。結局スタバでデカフェを頼み、持ってきた小説を読みながらすごく何気ない1日だった。

お約束

 一晩共にしたタイの女の子はというと、鬼のようにLINEが来ていた「今は何しているの」「どこにいるの」「もうご飯は食べた?」別に付き合っているわけでもないのに近況を事細かく聞いてくるとは、距離の詰め方が尋常ではない。その晩は現地の友達と日本料理店でディナーの約束があったため、スマホからすっかり離れていた。その場で、本件に関して質問してみると、「タイの女の子はものすごく嫉妬深いよ、LINEもすぐ返信しないと怒るし、色々と面倒だけど、めちゃくちゃ尽くしてくれるよ」と返ってきた。私の感覚からするとそれは日本では「メンヘラ」と呼ばれる類の生物ではないのかなと思ったのだが、深堀りした感じそうではなさそう。一通り夕食を終え、ホテルに戻り、仕方がなくビデオ電話。「さみしいよ〜会いたいよ〜」の連呼に戸惑いを隠しつつ、「さみしいなら私の泊まってるホテルに滞在しなよ」と言うと、「また行くね!」と嬉しそうな笑みを浮かべ、電話を切った。

 翌朝、「今日お邪魔するね!」と良い、彼女からメッセージが来た。私はその日は面接があったので、ホテルにずっと滞在することを予定していたこともあり、快諾。面接の合間にNetflixを覗いてみると、なんとジブリ作品が見れるではないか・・・日本ではブロックされている作品が見れると知り、近くのセブンイレブンへGO!

 彼女が来るであろうと想定したうえでお酒を少しと、明らかに身体に悪そうなジュースとポテチを買って、爆速でホテルに戻り、もののけ姫を鑑賞した。

 時刻は午前12時、日本時間午前2時。そろそろ彼女の夜の仕事が終わる頃かなと思い、連絡を待っていたが、待てど暮らせど返信はこなかった。
結局、もう知らん!と思ってその日は寝た。

本格タイ古式マッサージに挑戦

 その次の日は久しぶりの面接と椅子に座ったせいか、腰が爆発しそうだったので、日本人オーナーの経営しているタイ古式マッサージ屋さんに行くことにした。何も予約を入れず入ったため、古式マッサージの施術を受けることは叶わず、「デスクワークシンドローム」というおどろおどろしい名前の施術を受けた。基本的にはメニューは同じなのだが、日々PC業務をしている人に向けて、首、背中、腰と骨盤を重点的にほぐして矯正してくれるマッサージでとても気持ちよかった。お値段は2時間で2000円ほど。お得(すしすきーのリアクション)

お約束2

 マッサージを施術している間は完全にデジタル機器から離れていたため、脳が物理的にリラックスできたと思う。やはりPCやスマホから離れる時間は大事だと思った。施術が終わり、ほわほわ余韻を感じてからスマホを取り出すと、彼女からメッセージが「今日会いに行って良い?」

 いやいや、まず「昨日行けなくてごめんなさい」が先じゃないのか?と一瞬思ってしまったが、彼女はタイ人だ。日本の常識やマナーはタイでは通じない。郷に入れば郷に従え。私はソダチガヨイので言及せず、私の部屋に来ることを快諾。飲み物は前から冷やしているので別に買う必要はない。

 古式マッサージで軟体動物になったこの身体をベッドに委ねたらどうなるのだろうと思って思わず寝転んでしまった。すると、どんどんと意識が遠のいてしまった。

 気づけば夜のネオンがホテルの窓から見えていた。時刻は22時。とんでもないお昼寝をしてしまったが、人生で3番目ぐらいに気持ち良いお昼寝だった。彼女からメッセージが来ており、「今日仕事終わったら行くね、セブンイレブンでなにか食べたいものはない?」と聞いてきたので、「もしおなかすいてたらご飯頼んでおくよ」と伝えておいた。

 フードデリバリーで頼みたいものを教えてもらい、帰宅とともに温かいごはんを食べてもらえるようにスケジュール配達をしてもらった。

 午前1時ごろ、ホテルのロビーにお迎えに行き、他愛もない話をして、楽しく晩御飯を食べて、床についた。

 英語が喋れない彼女はGoogle翻訳を使って一生懸命に伝えてきた「あなたに素敵な人が現れたら、私はそれで幸せだよ」と言われ叙情的になってしまった。最高のお昼寝をしてしまったが故に私は寝れず、すぐに寝た彼女を横目に私は天井を見つめるだけだった。

 あまり寝ることができず、朝がやってきて、彼女をお仕事に送るためにお見送りをした。そこから帰国するまで、朝は涼しいホテルから近い森のあるカフェで寝転びながら本を読み、暑くなるとホテルに返ってからショッピングに行ったり、タイ古式マッサージに通い詰めた。

 一方彼女は「XとXとX日に休み取れたよ!」とはいったものの、その日に合うことはほぼ叶わなかった。むしろ直前に連絡がありこちらに訪れる。

 私の中でのモヤモヤ「なぜタイの人は約束を守らないのだろう」という疑問の壁にぶち当たる。

 現地の友達や、駐在している友達、インターネットからの意見を総合的に判断した結果、次のように結論付けた。

魔法の言葉「マイペンライ」

「ไม่เป็นไร(マイペンライ)」「大丈夫」「仕方がない」「なんとかなるさ」といったような意味を持つ「マイペンライ」は、タイ人がよく使う言葉で、日本で言う沖縄の「なんくるないさー」に近しいものを感じるが、タイの個人主義的と掛け合わせるとこれは日本人には理解できない領域になる。

 前提として、私の主観から見たタイ人は「約束をする」という概念がない。万が一約束があったとしても、壊滅的な交通インフラや3世帯住宅の文化が強い東南アジアでは父母への尊敬が強く、彼らが当人の最優先事項になることが多いので、よくある言い訳として「母親の面倒を見ないといけなくて・・・」が多い。また、「約束」をする際に、タイの人は仏教徒であり、現世でなるべく徳を積むことで来世も人間として生まれ変われるようにすでに仏教が文化と人間に紐づいているため、「なるべく相手が傷つかないような返答をすることで徳を積む」ことを良しとされている。たとえそれが間違った回答であろうと、「困っている人を助けた」という事実が自身の徳を積む結果になるのだ。

 やはりこの魔法の言葉はタイに駐在している日本人にとってなかなか馴染めることができず、理解に苦しむようだ。私はそれなりに自分勝手に生きてるが、約束は守るし、断るときははっきりと断る。それがたとえ相手を傷つける結果になったとしても、それもまた人生であり、傷つけ、傷つくことで人は成長すると私は思っているからだ。

 この結論はおそらく初訪ではわからなかったことだろう。初めて行った感動の勢いで移住を決断する人も少なくはない。物価も安いし、ある程度美味しい日本料理屋さんも存在するし、なんせ日本人の海外移住先として一番選ばれている場所なのだから。かといって、安直に移住を決意するのではなく、しっかりと現地の国民性や人間性を理解したうえで、果たして自分がストレスフリーにこの異国で生活することができるのだろうかということを問うべきだと思った。

 そんなタイの彼女もマイペンライ。自分が悪いと思ったこともないし、謝ることもしない。それを指摘すると怒ることは目に見えていた。なので、そっとしておいたら、なぜかLINEがブロックされていた。

人間関係、やはり異文化コミュニケーションは日本人同士の関係よりもあっさりしていると感じる。疑似恋愛とはこういうものだ。

やめられないタイ

それでも私はまたタイに行きたいと思う。日本から7時間、フライトは辛いが、それでも活気あるエネルギーに満ちたあの空間を少しでも味わっていたいと思う。今にでも爆発しそうなエネルギーを前に、私はまたタイと言う国を思い切りエンジョイするのだろう。

ではまた、次のお話で。


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