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甘い甘いにおいに誘われ今日ついに舐めてしまったバニラエッセンス

甘い甘いにおいに誘われ今日ついに舐めてしまったバニラエッセンス/吉村奈美

吉村奈美/Twitter午後2:12 · 2023年3月22日 

実景だと思う。
バニラエッセンスって甘くて可愛くてラブリーなにおいがたまらない。
お菓子作りには欠かせない材料の一つ。
偏見だけれども、バニラエッセンスがキッチンにあるという、ただそれだけでもう人生100点なのではないだろうか。
無くてもいいんだけど、あった方が良い。抜群に良い。(我が家には無い)
どんなに甘いのかと思うよね。舐めたいよね。だってあんなにいいにおいがするんだもの。

でも、舐めてしまった。
苦い。とても、苦い。

さて、この歌にはそんなことは何も書かれていない。そんなことどころか何にも書かれていない。「ついに」舐めてしまったバニラエッセンス。「ついに」ということは思いが焦がれて焦がれてやっと、なのだ。深い、長い時間を有してのこと。「つい」とは違う。「つい」は、思わずやっちゃったという軽さがある。ここではそれは違う。
じゃあ「ついに」舐めて、それでどうだったのか。苦かったのか。そうでもなかったのか。舐めたことで気が済んだのか。やめとけばよかったと後悔したのか。こんなもんかと思ったのか。クセになったのか。
何も書かれていない。読み手にぜんぶ託されている。
その潔さに、私は痺れた。

こんなわかりやすい、かつニュアンスのあるモチーフ、あまり無いのではないか。本来、脇役であるべきバニラエッセンスにフォーカスするなんて素敵すぎる。イメージ(甘い)と実態(苦い)の対比も、ここぞとばかりに得意の妄想を掻き立てる。いろいろと勝手に自分の世界に入って行ってしまうのだが、それが良い。この歌をタイトルとして、読んだ人の数だけ物語ができるわけだ。すごい。

わたしたち生きていて、「バニラエッセンス」に焦がれること、あるよね。そして、舐めること、あるもんね…




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