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生命の火花。
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2017年7月の記事一覧

自分は鳥だと思ってるんだよねとカミングアウトしたら、じゃあ私が鳥を囲う箱になります、と笑顔で返されたので、空衣は関節すべてぶっ壊れてガタガタに崩れ落ちて泣きたいほど、どうしようもなく嬉しくなりました。息をするのがやっとでした、目の前にいてくれたのです。最高のバードフィーダー。

ふたり

ふたり

「ハトとハトみたい。二人がキスしているところって」
ハトも甘噛みするんだって、僕はサムの言葉で初めて気づいた。

雨上がりの昼、水たまりの水を飲むハトは、水面に映るもう一匹の自分を無視して、ごっくんと喉の動きがわかるほど雨水を飲み込んだ。

そのハトを指差して、なんて神秘的なんだろうと僕はもらしたんだ。

「ひとりで必死になっちゃうところが君みたいだね、マリウス」
サムは僕の襟足を撫で

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