新刊の「はじめに」を期間限定公開
※この記事は新刊『これからの生き方』(北野唯我)の「はじめに」を無料公開したものです。(8月3日までの限定公開)
当たり前だったことが、ある日突然、あたり前じゃなくなる
わずか、3ヶ月前には想像もしていなかった状況が現実になる
その感覚を今、世界が共有しつつあります。私は兵庫県西宮市で育ち、小学生低学年で阪神・淡路大震災を被災しました。数ヶ月前では当たり前だった生活がボロボロと音を立ててなくなっていく、その様子は「今の感覚」ととても似ているように感じます。水、電気、ガスが突如止まり、道は割れ、町から食料が消えた1日目。笑い声が溢れるのが当然だった公園や小学校から一切の音がなくなりました。静けさと恐怖だけがじんわりと地元住民たちを包みこんでいきました。わたしたち家族は、生きるためにリビングで暖をとり夜を共にしました。
「そうか、日常は一瞬でなくなるものなんだ」
当時、ただの被災地の子どもでしかなかった私はそう感じました。その後、多くの人の支えを受け、街は復興し、私達は日常を取り戻しました。やがて20年以上が経ち、何もなかった私は30歳を超えました。多くの幸運にも恵まれ、今は、会社の経営に携わりながら、ベストセラーを何冊か出す機会にも恵まれました。そして、32歳の年には、自分が書いた本が国立大学の論文試験にも使われるという、作家としての名誉にも恵まれました。
「一体、何が自分の人生で大きなきっかけになったのか」
今になり思うのは、やはり、「震災で感じたこと」そのものでした。非日常下で子どもとして感じたこと、人間の生き様、日々に対する感性が今の自分の大きな指針になっていると感じるのです。言い換えれば、あの辛い経験は、長い目で見たときに、自分の人生にとって確実にプラスの指針になっている、ということです。なぜなら、人は「苦しいときにこそ、自分の人生の生き方を強制的に問われざるを得ないから」です。
どうやって生きるか
そういう類の話は、普段、めんどくさくて、どうしても逃げたくなるものです。もう何が何でも、考えたくない、という人もいるでしょう。特に都会には、楽しい遊びや、お酒や食べ物、恋愛や旅行、ゲームなど、あまりに楽しいものに溢れかえっているため、それらを忘れながら日々を過ごすことが容易です。SNSの発展によって、他人と自分を比較することも容易になりました。だから「焦り」が生まれやすくもなりました。ただ、人生にはどうしても自分が「これからの生き方を問い直すべきタイミング」が存在しているのも事実だと私は思います。
老いていくこと、体を壊すこと、身近な人がいなくなること、
これらはどんな人の人生にも必ず一度は訪れるものです。ただ、その事実に気づくのが、遅いか早いかは、人により差がでる。遅い人もいれば早い人もいる。しかし、確実に人は死に、いつか老いるもの。仮に、直近で何か大変な辛い出来事があった人も、過去に起きた事実は変えられなくても、いつからでも人は変わることができる。大事なのは過去の生き方より「これからの生き方」である。そして、「自分がどうやって生きていくか」でしかない。そのヒントとなる本を作りたい、そう思って、生まれたのがこの本です。
この本は誰に向けられた本なのか?
それは、きっとどこかで今日も一生懸命に生きる同年代に向けた本です。「お金」が大事であることは理解しながらも、それでももっと大切な何かを見つけたいと思っている同年代へ向けた本です。
お金は大事です。キャリアも大事です。自分自身が会社の経営をしているからこそ痛感していますが、金は力の一種です。しかし、それと同等以上に大事なのは、「自分の人生をどうやって生きていくのか」、その問いと、それを考えるための題材です。今、このタイミングだからこそ出したい本は、キャリアの題材となる、新しい形の教科書です。
最後に、これからの生き方、というテーマを、私程度の人間が語ることは、もちろん抵抗がありました。しかし、それでも何かを同年代に届けたい、笑われてもいいので、誰かのきっかけになりたい、そう思って生まれたこの本を楽しんでいただけると幸いです。
(はじめにより)
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【お知らせ】
新刊『これからの生き方』が2020年8月5日(水)発売されます。すでに10名ほどの方にゲラを読んでもらいました。長谷川さん、黄さん、黒田さん、岩崎さん、津倉さん、ときおさん、伊藤さん、猿渡さん、押切さん、勝谷さん他、みなさんが背中を押してくださいました。
Amazonで先行予約開始です。
https://www.amazon.co.jp/dp/4418206019/
▼新刊の一発目イベントは、「朝渋」8月12日(水)
当日はこの作品や、前作までの話も含めてみなさんとカジュアルにお話しできればと思っています
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イベントでもぜひお会いしましょう!
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