【詩】マリオネット|そしてゆるっと解説






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最近Twitterで #言葉の添え木   さんの企画に参加させてもらっていまして。その中でできた作品の1つがこの「マリオネット」です。

本当はもっと書きたかったのですが140字におさまらず断念、こうしてnoteに綴っている次第であります。


この詩の設定は「大事な人を亡くした誰かによる叫び」です。



無彩の日々の抗議
分かりきった敗訴
せめてもの抵抗は
深さ1センチの泥

→君が死んでしまって、私の世界には色が無くなった。どうして君が死ななければならないのか?死神なんてものがいるなら、屍のようにただ息をするだけの毎日を送り付けてやりたい。勿論分かっている。そんなことをしたって君が生き返る訳ないってことくらい。それでも君がまだここにいるかもしれないと、思うだけなら誰にも迷惑はかけないはずだ。それに、泥の中の足跡はいつもよりも深い。もしかしたら君が隣にいて、2人分の重さがあるからかもしれない。


星を知り尽くした
先を許そうとした
前を迎えることも
受け入れようと尚

→君が星になったのかもしれないと思って星座を覚え、名もなき新たな星をさがした。君が僕を置いていった理由をいくつも考えた。下ばかり向いていては君に叱られる気がして、なんとか前を向こうとした。君がいない明日を受け入れようとした。それでも、それでも……。


踠けば踠く程にと
未熟さにすり替え
水溜まりと揃いの
泥を頭から被った

→どんなに踠いても君は戻ってこない。いや、今はまだ僕が未熟だから帰ってこないだけだ。僕はまた何か知らない間に君を怒らせることをしたのだろう。ごめん、でも君に会いたい。帰ってきてくれ。どうしたらこの声が君に届く?水溜まりを覗き込んだら後ろに君の姿が見えて、急いで振り返る。思わず尻もちをついてしまって体中泥だらけになったけれど、そんなことはどうでもいい。君はどこだ?さっきそこにいたのに。


1が2に増えても
泥は泥として濁る

→泥についた足跡の深さは2センチになっている。ほら、やっぱり君は近くにいるんだ。僕に見えないだけなんだ。隠れているだけなんだ。死んでなんかいないんだ!はは、あはははは……。



……とまあこんな感じです。

いなくなった事実は理解しつつ、それを認めたくなくて踠く一人の男性を書いてるんですね実は。最初は死を受容しようと自身をなんとかなだめているけれど、そんなにすぐに整理しきれるわけもなく、だんだんと飲み込まれていきます。

これがどうしてマリオネットか、私の中でいくつか理由(というか解釈というか設定というか)はあるのですが、またコアな話になってしまいそうなので今回はここまでにしておきます。

この詩はいつかちゃんと長いものを書いて『死神に願いを』で公開したいと思っています。



(こういう作品解説的なもの、また書きたい……)






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