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44歳、お気楽専業主婦が、故郷にある父の会社を継承することになりました。9歳の頃、家を出て行った父。なぜ三女の私が事業継承者なのか?全てが実話です。月に一度以上更新します。
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#エッセイ
12 名刺づくり
展示会に行くにあたって、名刺が必要となった。社員に、私用の名刺を発注してもらった。
メールアドレスも専用のものを作ってもらった。大抵はmyouji(苗字)@会社名.co.jpとなる。
私は結婚してから姓が変わっているので、父とは同じにならなくて済んだ。
2 詐欺
死ぬ死ぬ詐欺
これは、少し前に世間を賑わせた類の詐欺ではない。
私が、実際に遭遇した、親族内で起こった詐欺の話であり、それは今なお継続中である。
私が中学生の頃だった。
「お父さん、あと5年か10年しか生きられないから」
3 初出勤
2022年3月。
息子が幼稚園を卒園し、春休みに入った。
夫に子守を任せて、父の会社に出勤した。東京の自宅から片道3時間。
父の会社の最寄り駅である田舎には、タクシーさえ止まっていない。
田んぼに挟まれた農道をすり抜けて、事務所へ入ると、相変らず散らかっていた。
7 電話ふたたび
2024年1月。
スーパーで買い物をしていると父から着信があった。
毎度のことながら、父からの着信は心臓が飛び出るほど驚く。
父は滅多なことでは、私には(私以外の家族にも)連絡をしてこない。
10 経営状況
二十年前、私が一年間だけ父の会社で働いていた時は、明らかに自転車操業であった。
月末の支払いと入金のタイミングで、口座に現金が足りなくなることがあり、懇意にしている一社のみ、支払いを翌月5日にしていたことを知っている。
だから、きっと今でも自転車操業でなんとか黒字を出している程度だろうと高をくくっていた。
11 子連れ出張
2023年4月、初めての子連れ出張。
夫の仕事は、不規則勤務の為、平日でも休みが取りやすく、私が出張の時は、休みを取ってもらっていた。
けれども、年度初めの4月、人事異動があり都合がつかなかった為、子連れ出張することにした。