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企業調査_アクシーズ(1381)

鶏の飼育や鶏肉加工食品を製造販売する株式会社アクシーズ(1381)の調査をしたので、記事にまとめてました。

企業概要

アクシーズは、鶏の飼育・加工・販売を営む鹿児島の会社です。飼料製造から種鶏の飼育、雛生産、ブロイラー飼育、鶏肉加工、鶏肉加工食品製造、外食までグループ内で一貫生産しています。

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主な取引先はケンタッキー(9873)、ニチレイ(2871)、日本ハム(2282)といった大手企業で、2018年に日本ハムと業務提携を締結しています。

アクシーズは、ケンタッキーやピザハットのフランチャイズ経営も行っていて、アクシーズ売上高全体の約15%を占めています。直近はドライブスルーやデリバリーが好調のようです。

アクシーズの主力製品は、ブランド鶏肉「薩摩ハーブ悠然どり」です。

アクシーズの農場で育てている鶏の糞は、バイオマス発電所を通じて肥料に変えています。もちろん、肥料に抗生物質は入っていません。その肥料を畑に還元して野菜を作っているようです。肥料に残留抗生物質などがあると作物が吸収してしまうので、本物の有機栽培はできません。

ブロイラーを処理した後の血液や羽根、トリガラなどは新鮮な内に加熱処理し飼料の原料にリサイクルされます。また、浄化槽で出てくる活性汚泥や孵化場で出る卵殻などは堆肥化してリサイクルし、捨てるところは何もない現状のようです。

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アクシーズの種鶏農場、肥育農場の生産過程で発生する鶏糞は、関係会社の有限会社南九州バイオマスで燃料として利用されています。鶏糞をボイラーで燃焼させることで、熱を回収し発生した蒸気で発電しています。

このボイラーで発生した蒸気や電気は、同じエリアにある同社の食品工場やレンダリング工場で利用されており、余剰電力については電力会社へ売電しています。

これにより化石燃料の使用量が減少、地球温暖化の抑制に取り組んでいます。さらに燃焼後の灰はリンとカリウムが豊富な肥料原料として利用され土壌に還ることから、循環型社会を構築することができています。

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株価水準

▼週足チャート

アクシーズの時価総額は184億円です。
株価は一年近く持ち合いが続いています。

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▼予想PER

予想PERは9.0倍です。
過去2年のレンジは9.2倍なので、ほぼ平均値の水準です。

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▼PBR

PBRは1.06倍です。
過去2年のレンジは1.07倍なので、PBRもほぼ平均値の水準です。

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▼予想配当利回り

予想配当利回りは2.9%です。
過去2年のレンジは2.3%なので、やや割安な水準です。

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▼配当

配当は7期連続で増配を維持しています。
配当性向は21%です。

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業績

直近15年ほどの業績を振り返っていきます。

まず、リーマンショック時(2009~2011年)の業績は25%ほど減益となっているので、鶏肉の生産といえど景気の影響は受けたようです。

2011~2014年の売上高営業利益率は3%程度でしたが、2015年から劇的に上がり、ここ7年では13%程度にまで改善しました。ただ、直近は利益率の改善が鈍化しています。

2022年6月期は減収減益予想です。業績が鈍化していることで株価も持ち合いとなっているのでしょう。

BPSの伸び率について、2010~2013年は平均5%、2014~2017年は平均14%、2018~2021年は平均13%と安定して拡大しています。PBRがこれからも1倍で推移するのなら、単純計算で年10%程度の株価上昇が見込めます。

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営業利益率・ROEは平均14%程度あり、収益性や経営効率は良好と言えます。

▼キャッシュフロー計算書

営業CFは、営業利益とさほど乖離のない水準で計上されているため、在庫を抱えていたりなどの心配は特にないことが分かります。投資CFの23億円は、有形固定資産の取得によるものとされています。

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現金同等物79億円に対して有利子負債は1億円もありません。自己資本比率も85.8%あり、財産状況は非常に良好であると言えますね。

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▼業績予想修正

2021年6月期は、売上も利益も大きく上方修正されました。
今期の会社計画も、もしかしたら保守的な数値かもしれないです。

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▼設備投資

2021年6月期は、設備投資が23億円、減価償却費が9億円、研究開発費が1億円でした。2022年6月期の設備投資予定額は開示されていません。

設備投資の23億円は、食品事業の増産へ向けた肥育施設の新設及び改修、製造工程における生産効率向上のために投資実施されています。

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▼事業セグメント

売上の82.5%を"食品"が占めているため、アクシーズの主要事業は鶏肉の製造・販売と言えるでしょう。

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コーポレート

▼経営陣

2017年9月に代表取締役へ就任した伊地知高正(いじち たかまさ)氏は1975年生とまだまだ若いため、後継者問題も心配なさそうです。

伊地知社長の情報は、調べても全く見つからないため分かりませんが、アクシーズの業績が2015年5月期から急成長しているので、伊地知社長がなにか実績を残して社長に就任したのかもしれません。前任の佐々倉豊社長が74歳と高齢だったため交代された可能性の方が高そうですが。

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▼大株主

アクシーズはオーナー企業で筆頭株主の「株式会社照国興産」は、一族の資産管理会社です。伊地知社長も株式を8.9%保有しています。

2018年から日本ハムも8.9%保有していてアクシーズとは協業関係にあります。上位10位の大株主は直近3年保有比率に変動がないため、とても安定した株主であると言えます。

ネットキャッシュも75億円ほどあり、財務状況としても非常に良好なため、日本ハムによるTOBや、大規模な自社株買い、MBOなど期待したい企業ではあります。

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▼従業員情報

従業員数は、2016年3月期から2021年3月期にかけて「1140人→1165人→1180人→1290人→1313人→1303人」と推移しています。

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上記のとおり従業員933人の年収は418万円と記述されています。しかし、昨年公開された有価証券報告書では、社員と従業員で区分されていて、平均年収で400万円を超えている社員は120人だけでした。

2021年有報の平均年齢が39才から40才になっていることから、従業員933人の平均年収は418万円ではないでしょう。「注2」に総合職について表示と記述がありますが、非常に分かりづらいですし、ブラック企業がやるような誤魔化しかたをしているような気がしてなりません。しかも、総合職以外の年収が267万円から245万円へ一割近く下がっています...。

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▼外観

本社所在地は、鹿児島県鹿児島市草牟田2-1-8です。とても年間20億以上利益を出している企業の外観には見えないので、無駄なコストなどは徹底排除している様子が伺えます。

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▼社長あいさつ

代表取締役の挨拶は、なんと4代に渡って同じ内容でした。笑
さらに、伊地知高正社長の代から写真まで非掲載になっています...。

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会社HPにはお問合せフォームもメールアドレスも掲載されていないため、IRへの問合せも行うことができません。

広報は一切チカラを入れていないにしても、900人以上社員がいるのに誰も声をあげないのか、声をあげても消されてしまうのか、会社の体制は本当に問題がないのかガバナンス含めどうも疑い深くなってしまいます...。

結論

アクシーズの時価総額は、2021年10月8日時点で184億円です。

まず業績は、5期平均での売上高が約200億円、営業利益は約28億円、売上高営業利益率14%、BPSも年14%のペースで増やせています。

財産状況も、流動資産120億、投資その他資産9億、流動負債25億、固定負債3億と非常に良好です。PERは9.0倍、PBRは1.06倍、配当利回りは2.9%と、高利益率のわりに価格水準は割安です。

ただ、2022年6月期は減収減益であること、代替肉の脅威、事業内容が環境問題に悪く、ESG・SDGsといった時代の流れに逆行していること、企業の成長戦略も提示されておらず、IRの乏しさによる不透明感などが不人気である要因なのでしょう。

今後も人気化する可能性は低い会社だと思いますが、利益は着実に積み上げています。不祥事や大幅な下方修正さえなければ、配当金を含めBPSの逆算から年10%程度稼げそうな銘柄かと思います。

これから投資を狙うのであれば、時価総額が150億円程度にまで下落するのを待ちたいところではあります。そもそもどこか不気味な会社なので、感覚的に気になる方は手を出さない方が無難かと思います。笑

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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