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【資料翻訳】『メイド大全』(1670年)各メイドの職種解説の抜粋

書誌情報

タイトル:『The compleat servant-maid』
サブタイトル:「or, The young maidens tutor Directing them how they may fit, and qualifie themselves for any of these employments. Viz. Waiting woman, house-keeper, chamber-maid, cook-maid, under cook-maid, nursery-maid, dairy-maid, laundry-maid, house-maid, scullery-maid. Composed for the great benefit and advantage of all young maidens」

著者: Hannah Woolley
出版年: 1670年

はじめに

同書は「家事使用人」をタイトルに含む本であり、日本語訳すれば『メイド大全』です。この本も長いサブタイトルを持っていますが、注目すべきは様々なメイドの職種名が含まれる点です。資料本『台所の文化史』では「初めてこれらの職種が登場」と表現しています(同p.133)。

サブタイトルから女性使用人の職種を抜粋すると、Waiting woman(ウェイティングウーマン:給仕・侍女)、house-keeper(ハウスキーパー)、chamber-maid(チェインバーメイド:寝室メイド), cook-maid(コックメイド→キッチンメイド)、under cook-maid(アンダー・コックメイド)、nursery-maid(ナーサリーーメイド)、dairy-maid(デイリーメイド)、laundry-maid(ランドリーメイド)、house-maid(ハウスメイド)、scullery-maid(スカラリーメイド)が含まれます。

19世紀にそのまま残っているものもあれば、あまり聞きなれない職種もあります。

著者は料理レシピ本を女性著者名で初めて書いたとされるハナ・ウォリィです。そのためか、内容の多くはレシピとなっており、それとは別に「職種に就く者への指南=職務と求められる資質」の記述があります。構成として職種に関する説明をしてから、その仕事で使う長いレシピ一覧を載せています。職種の情報自体はそれほど長くないので、翻訳して掲載します。

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