見出し画像

京都大学パズル同好会20周年 私が見た10年

祝・京都大学パズル同好会20周年!!

※当記事はペンシルパズルアドベントカレンダー8日目の記事です

 
 2003年に設立された京都大学パズル同好会は、この度2023年に20周年を迎えました。おめでとうございます。同好会という一つの集まりが、20年も続くというのはとてもすごいことだと思います。
 そしてこの20年、当パズル同好会は多くの会員とともに歩み、ひたすらパズルに親しみ、そして社会にもパズルの楽しさを伝えてまいりました。

 本記事では、京都大学パズル同好会の活動内容についてお教えしつつ、これまでの20年の輝かしい歴史を、私が入会した2013年以降の10年を中心に振り返りたいと思います。


※注意!!

当記事は、すでに大学を卒業した同好会OBによる記事であり、記事の内容と現在の活動内容が異なる場合があります。本記事についての問い合わせ等があれば、パズル同好会ではなく、執筆者である私(植木屋)までお願いします。


0. 自己紹介

 本題に入る前に、当記事を書いている私について軽く説明しておきます。
 今更ながら初めまして、植木屋です。普段からパズルを解いたりしています。植木屋はパズルネームであって苗字でも職業でもありません。

 私は2013年に入会し、2014年度は会長を務めました。在学中はこうしてペンシルパズルパズルに入り浸り(?)、2019年に卒業して今に至ります。卒業後もたまーに顔を出し、パズルボスラッシュでの戦いに貢献したりしていました。
 本記事はそんな、20年のうちの後半10年を眺めてきた植木屋の視点で、パズル同好会について書きたいと思います。


1. 京都大学パズル同好会とは?

 京都大学パズル同好会は、ペンシルパズル好きが集まりつつ、パズルを作り、パズルを解き、パズルを配る、という形で活動しています。
 具体的には、週に一回の例会に集まり、自作のパズルを持ち寄り、解きあい、そのほかみんなでいろんなことを楽しんでいます。

パズル同好会公式アカウント
https://twitter.com/kyodai_puzzle

 私がいた頃は、例会にやってくる人の何人かが、自作問題を印刷して持ってきて、来た人全員に配り、受け取った人は必死に解いたり議論したり、そんなことは置いといて講義の宿題をしたり、別なことで遊んだり。自由に過ごしていました。

 おそらく明文化された活動目的や理念といったものはないですが、私が思うに対外的には「ペンシルパズルの楽しさをより多くの人に知ってもらう」ことが大きな活動目的だと思っています。私はこんな感じのことを入社面接で熱く語ったらいまの勤務先から内定をもらいました。
 そんなペンシルパズルの広報活動の中で、決め台詞にしているのが次の謳い文句です。

「ビラがパズルになってま~す!!」

 パズル同好会の歴史を語る上で欠かすことができないのがこの台詞です。春の新歓期とNF(京大11月祭)期間中に響き渡るこの言葉は、きっと多くの京大生の耳に残ったものと思います。

 また、NFこと京都大学11月祭に毎年出展し、パズル冊子の販売とパズルの配布、展示を行っています。特にこのパズル冊子の製作が同好会の活動の半分くらいを占めるといっても過言ではなく、毎年努力しながらたくさんのパズルを詰め込んでいます。

2014年度冊子と、2023年度冊子


 そのほか、早解き大会をしたり、毎年合宿に行ったり、内々でいろいろと楽しくやってきました。また、対外的にも、ニコリにパズルを投稿したり、出版社からパズル本を出したり、テレビに出演したり。機会があればいろんな活動を行っています。

植木屋テレビ出演時の写真 テロップの発言は植木屋のもの
(今ちゃんの実は…、ABC朝日放送、2015.7)

 

2. 20年を振り返る


○2003年 パズル同好会、誕生

 京都大学パズル同好会は、2003年4月7日にチェバの定理氏(東田大志氏)によって創設されました。これは、大学のパズル同好会としては日本初であるとされています[要出典]。
 創設者のチェバさんは、後に日本唯一の「パズル学」研究者として博士号を取得するなど、実に様々な活躍をするのですが、ここでは割愛します。たぶんその活躍をまとめるだけで記事が何本かかけてしまう。


 始めは数名のペンシルパズル好きな人々で活動を始めますが、少しずつ会員数を増やしていくことになります。それに最も貢献したといえるのが、そう、「ビラがパズルになってます」という宣伝文句です。このビラ配りのおかげで同好会の知名度が上がったほか、考案者であるチェバさんには「ビラがパズルの人」という呼称も生まれました。

 さて、そうして京大パズ同が成長していくのに共鳴したのか、全国各地の大学でもパズル同好会が結成されていきます。一番有名どころは東京大学ペンシルパズル同好会さんでしょうか。これらパズル同好会の多くは、初めは「パズル党○○支部」と名乗り、お互いにつながりを持っていたこともありました。

京都大学パズル同好会公式サイト
(魔法のiランド終了に伴い閉鎖)
Web Archiveより、2013年頃の画面

 そんな中で、2012年に東大ペンシルパズル同好会と共著で刊行した「〈東大・京大式〉頭がよくなるパズル」は10万部を超える売上げとなりました。この頃は世間で数独を中心に巷でペンシルパズルが流行っていたのと、また、「頭がよくなる」という謳い文句が好評だったのか、こうしてベストセラーが生まれることになりました。


 こうして、京大でも世間でも知名度を上げていった京大パズル同好会は、2010年ごろには毎年10人以上の新会員を迎える勢いとなっていきました。


○2013年 10周年

 そして10周年の年に入学私が入会することになります。もともとペンシルパズルが好きだったこともあり入会しました。ですが何より、いろいろなサークルの新歓を回った中で一番楽しかったのがパズル同好会でした。

 この頃には京大パズル同好会は、パズルマニアたちがパズルをひたすら究める会というよりは、パズルが好きという共通点を持つ人々の集まり、というような形へと進化していました。まさに本当の意味での同好会といえるでしょう。あまりにパズル以外のことをやることが多かったので、ボードゲーム同好会だと揶揄されることもあったりなかったり。
 しかしそれでも、みなパズルへの意欲は強く、あらゆる名問奇問が生み出されていきました。

 さて、私が在学していた頃のパズル同好会の特筆すべき潮流について、ここからは箇条書きで述べたいと思います。


インカレ化
 だんだんと他大学から会員が積極的に入ってくるようになりました。きっかけは様々ですが、立命館、大谷、京都女子、など、近隣の大学から参加する人がかなり現れるようになりました。他大学で新歓やビラ配りを行ったわけではないのですが、NF等で興味を持たれる方がけっこういらっしゃいました。

京阪神大学パズル同好会結成
 私が会長になったころに、偶然にも、大阪大学、神戸大学でもパズル同好会が結成されました。ならば!とたまたまそれぞれの会長と知り合いだった私は、3大学合同の例会を開催するなどしました。合同でやったのはこの1回きりではありましたが、やれてよかったです。

神戸大学六甲祭に残した落書き(2015年)


謎解き流行の開始
 今やメジャーコンテンツであり活発な創作が行われているた謎解きですが、2010年代前半はまさに京大の中で流行が始まらんとしている頃でした。そして、会員の中には謎解き制作団体と掛け持ちしている人も多く、京大および関西の謎解きクラスタの中でも京大パズル同好会が存在感を放っておりました。
 そして現在、京大パズル同好会出身者の何人かはプロの謎解きクリエイターとして第一線で活躍中です。

 以上のように様々に活動していきました。テレビ出演や本の出版など、他にも特筆すべきイベントはまだあるのですが、このへんにしておきます。
 そうして、私も在学期間を終え、2019年3月に卒業しました。

学位授与式後の写真
植木屋含めパズル同好会員3人で


○2020年 感染症流行

 2019年に私は大学を卒業し、パズル同好会を離れたものの、たまに例会に顔を出したりNFでビラ配りをするなど、いろいろと関わってきました。長年居座るよくない先輩ですみません。

 しかし2020年、承前の世界的事情により、これまで通りの例会や新歓ができなくなるという自体に陥ります。
 例会はzoomで行い、ビラ配りはなく、NFは屋内企画なし。卒業済みだった私は当事者じゃないので本当に申し訳ないのですが、工夫をこらすのにとても大変な時期だったと思います。
 とはいえ、ペンシルパズル愛好家有志のみなさんのおかげで、ばずぷれやpuzzlinkなどのWebツールが充実していき、対面でなくてもパズルを共有できる場をもつことができました。

 その後オンラインで行う例会はdiscordに場を移し、より活発な情報交換ができるようになりました。それまでパズル同好会では情報共有ツールが乏しかったので、ある意味怪我の功名というところでした。
 これまでのような活発な新歓は行われなかったものの、ありがたいことに新規会員が継続して入ってきてくれました。こうしてパズル同好会は存続していったのです。がんばっていただいた幹部陣のみなさんには頭が上がりません。


○2023年 20周年

 そして20周年を迎えました。とはいえみんな忘れてたので盛大に祝うことはせず、引き続き活動を継続していきました。
 ついに教室を借りての例会が復活。私は今年は例会に参加できていないのでどのような様子かわからないのですが、復活できてとてもよかったです。いやー、やはり紙で配って鉛筆で解くパズルはいいものです。

 さらにはNF屋内企画への出展も再開しました。パズル冊子も製作され、今年も大盛況でした。私もビラ配りの手本を後輩に見せるという役目を果たしました。

 こうして、今に至ります。


3. おわりに

 以上、京都大学パズル同好会の20年を振り返って参りました。こうして、我々京都大学パズル同好会はペンシルパズル界にじわじわと貢献してこれたと思います。
 20周年を迎えて私が一番思ったのは、「もう20年も経ったの!?」ということです。在学時は正直なところ、あと数年したらなくなっているのでは?と思うこともありましたが、気付けばパズル好きたちの結束力(?)のおかげでここまで生き残りました。これもすべて、会員のみなさん、および陰ながら支えてくださったみなさんのおかげかと思います。みなさんありがとうございます。
 特に、活動が制限されてこれまで通りの活動がまったくできなくなった中で、引き続き精力的に活動を続けてきた後輩のみなさんには深い敬意を表したいと思います。

 さて今後のパズル同好会ですが、すべては現役世代の方に任せたいと思います。仮に名前が変わろうが活動目的が変わろうが、すべてはやりたいことができればそれでいいかな、と私は思います。やはり楽しんでこそパズルだ!!!

 あと私に心残りがあるとすれば、私と同世代の知的活動インフルエンサーである、伊沢拓司氏や松丸亮吾氏に並ぶ存在になれなかったことでしょうか(
 さすがに高望みが過ぎますね。いまの仕事も満足しているし、有名人になる必要はないか。

 最後に、本記事の投稿を許可いただいた、同好会創設者のチェバさん、および現・学生の方々、ありがとうございます。
 それでは、これからのパズル同好会のパズルにご期待ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?