見出し画像

映画『MINAMATA―ミナマター』を観て

「水俣病」という実際に起きた出来事を脚色を加えた映画にして、かつ、当事者者や家族はまだ被害に苦しんでいる中で、また、起きたことに対する補償という意味で解決したのかどうか議論が分かれるところであり、さらに、題材としては公害・環境問題として国家や大企業対一般市民という社会運動で、とどめに、それを外国人が描くということで、当然ながら賛否両論ある映画だと思う。

水俣市がこの映画の先行上映の後援を断るなど、いわゆる「炎上」の材料は豊富にあるのだが、自分が見る限り予想外にネット上では賛否どころか話題にすらあまり上がっていないのを見ると、私たちの多くにとっては「水俣病」あるいは「公害」というものが過去のものであったり、自分には関係のない世界の話となってしまったりしているのかもしれない。

こうした「他人事」意識は非常に危険なことで残念でもあると思うのだが、自分を振り返っても、例えば香港の民主化運動とか、ロヒンギャ問題とか、「自分ごと」として捉えてきていない事を、あらためて実感することになった。そういう意味でも観て良かったと思う。

物語としては、「水俣病」含め公害の被害と戦いがテーマなんだろうと思うが(エンドロール見るとなおさら)、主人公のウィリアム・ユージン・スミスの伝記的映画のようなところもあり、少しテーマがぼやけてしまったように感じるところもある。また、起きたことが脚色なのか事実なのかはっきりしない事も、少し問題かなとは思った。ただ全体としては、とてもよくできた映画だと思う。

俳優はなんと言ってもジョニー・デップ。役になりきるというのが非常に上手いと思う。そして國村隼。ラストで表情だけで語るところは(これは演出上不要だと個人的には思うので、俳優がリクエストしたのではないかと思っている)少しクサいが感動的。真田広之ももちろん悪くないけど、ちょい役だが浅野忠信の方が全然良かった。美波はネットの評価ほど、自分はピンとこなかった。

詳しいあらすじは別サイトで解説しています。工藤元(kudogen)の映画あらすじネタバレ解説『MINAMATA―ミナマター』

 

■工藤元(kudogen)のサイト一覧
工藤元(kudogen)公式 映画・ドラマ評論家 
工藤元(kudogen)の公式アメブロ
工藤元(kudogen)はてなブログ
工藤元(kudogen)のTips
工藤元(kudogen)のTwitter
工藤元(kudogen)のInstagram
工藤元(kudogen)のPinterest
工藤元(kudogen)のnote
工藤元(kudogen)のNewspics
工藤元(kudogen)のLinkedIn
工藤元(kudogen)のWantedly
工藤元(kudogen)のランサーズ
工藤元(kudogen)のクラウドワークス
工藤元(kudogen)のTikTok

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?