映画『怒り』を観て

2021年9月28日 07:43

東野圭吾の原作も素晴らしいが、映画も素晴らしかった。といっても脚本（脚色）ではなく、俳優の演技がという意味で。

正直全員素晴らしい演技なんだが、個人的に感心した順番で言うと、妻夫木聡・宮崎あおい、綾野剛、渡辺謙・松山ケンイチ、森山未來、その他という感じかな。

妻夫木聡はホント良かった。映画『来る』でも思ったけど、こんな演技派の俳優になっていたとは。映画『悪人』（同じ李相日監督）でも高く評価されていたが自分としてはピンとこなかったけど、この映画の自己中な登場人物が綾野剛の過去と本心を知って慟哭するところとか、見事だなと思った。

あと宮崎あおい。こっちは逆に演技派という認識だったけど、軽い知的障害があるが強い意思を持ち自立を目指す女性を、実に自然に演じている。父親の渡辺謙との衝突のところとか。個人的には邦画では、黒木華か宮崎あおいかと思っている。

綾野剛、渡辺謙、あと森山未來は役柄が地というか雰囲気とマッチしていたね。そういう意味では松山ケンイチは、幅広くいろいろな役を演じる器用な部分があると思った。

脚本（脚色）ではすでに言われていることだが、ラストで犯人が刺される理由が、私もとても陳腐な展開だと思った。どうして原作のようにしなかったのか。映画の展開にしてしまうと、ここだけ全体のテーマとかけ離れていしまう。とても良い監督だと思うが、ここは唯一残念なところ。

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