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映画『スキャンダル』を観て

2019年の映画で何を今更というところもあるのだけど、最近真鍋淑郎さんがノーベル物理学賞を受賞して、「同調圧力の強い日本に戻りたくない(意訳)」と会見で話したのを見て、「ああ、これはカズ・ヒロと同じだな」と思ったから。

『スキャンダル』では(元)日本人のメイキャップアーティストのカズ・ヒロが、シャーリーズ・セロンから請われてこの映画に関わったというニュースが話題になった。アカデミー賞でも当該分野で賞を獲得したときに、国籍を変えた理由を聞かれて、「日本は『too submissive』だから」と答えた記憶が蘇ってきた。

もちろん国籍を変えるぐらいだからかなりの思いがあるのは間違いないのだけれど、特に才能があり意思がある人にとっては、いわゆる日本の「空気を読む」「出る杭を叩く」「『機会平等』でなく『結果平等』を優先」というようなところが我慢ならないんだろうと思う。

映画は、実際にアメリカの芸能界(といっても報道)で起きた、セクハラと言うのも憚れるぐらいおぞましい事件をもとにした作品。権力を振るいレイプに近いセクハラをする男性、立場の弱さに付け込まれ言いなりになってしまう女性、そして、それを見て見ぬ振りする男性(かつ女性)やむしろ支持するような輩がいて、こういう事件は個人の問題でなく構造的な問題だなとつくづく思う。

良いと思う俳優もいればいまいちな俳優もいて、また、ストーリー的にはそう際立った脚本ということもなく、まあこんなものかという印象で、特にアメリカで生活していないとピンと来ないかなという気がする。

前述のように特殊メークが売りの一つな作品だけど、そもそも似せた方の人をよく知らない自分にとっては「ふーん」ぐらいの感想しかなかった。ジュリアーニは似てたけど、ルパート・マードックもそこまで知らないし、アメリカ人ならこの演技やメイクの凄さが分かるのかもしれないが、分からない人にとっては自分と同じような反応になるのではないだろうか。

そもそも映画の原題は「BOMBSHELL」で、これがスラングで「爆弾発言」とか「セクシー(過ぎる)女性」と言った意味らしく、これどっちの意味なのかで制作側が伝えたいことも変わってくるかなと思ったり、映画ではどうも加害者側にも言い分があるような描き方をしているんだけどそれも自分の理解ミスかなと思ったり、なんとなくモヤモヤしてしまった。

ただワインスタインの問題が起きた前後ということもあり、やはり時代としてアメリカが求める、というか流行りのテーマで、時期がずれたら全く支持されないどころか世に出せない可能性があることも考えると、意義はあるのだろうと思った。

別サイトで詳しいあらすじをネタバレで解説しています。工藤元(kudogen)の映画あらすじ・ネタバレ解説『スキャンダル』

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