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【10月編】漫画家9℃の月推しマンガ4選2021

こんにちは、漫画家の9℃です。

こちらは
マンガ好きの漫画家が、先月発売新刊の中からおすすめタイトルを紹介する
という記事になります。

第9回です!

まずは今回推したい作品のタイトルを。
10月発売新刊の中から、今回は4作品選出させていただきました。こちらです!

ニッターズハイ!(1)
JKさんちのサルトルさん(2)
今日から始める幼なじみ(1)
それでも吉祥寺だけが住みたい街ですか?(1)

ほのぼのしつつも現実を生きる立体感も感じられるタイトルが揃いました。
ぜひ読んでみてほしいです!


以下、作品タイトル(巻数)・著者・レーベル(出版社)・あらすじ・セールスポイント、という感じで紹介していきます。
電子書籍ストアBookLive!のリンクを貼っていますが、「書影がすぐ見れる」「登録なしでブラウザ試し読みができる」「私が普段使いしている」という理由からです。

それでは紹介させていただきます!


ニッターズハイ!(1)』 著・猫田ゆかり
…角川コミックス・エース(KADOKAWA)

ケガによって陸上をやめた健斗。入学したばかりの高校で出会ったのは、手芸部の勧誘と"編み物王子"。
「男が手芸なんて…」そう言う健斗に食って掛かった"王子"に、ひょんなことから健斗は編み物を教わることとなる。
ひとつずつ地道に、投げ出さずに。決して楽なばかりではない”楽しい”に向き合っていく少年たちの物語。

まるで手編みのマフラーのように(言いたいだけ)優しく温かな漫画。
心を強く揺さぶりすぎる激しい起伏はないものの、趣味と研鑽との折り合いや、他者との交わりの難しさに揺れ動く繊細な感情がしっかりと描かれ、読み応えのあるストーリーとなっています。
読むと夢中になれる何かを探しに行きたくなる、自分とゆっくり向き合える作品です。


JKさんちのサルトルさん(2)』 著・さのさくら/大間九郎
…モーニング(講談社)

女子高生・マリオの家でお世話になる犬・サルトルさん。彼は、わけあって犬の姿になってしまった哲学者・サルトルだった。
マリオの周りには、ちょっと変で、ちょっと違って、ちょっと弱い人たちがたくさん。そんな彼らに、今日もサルトルさんは自分の哲学を語りかける。

とっつきやすい哲学書ナンバーワン!…というには、もしかしてこれを哲学書とは呼ばないかもしれませんが…。哲学への敷居の高さを感じているとしたら、そのハードルを下げてくれることは確かです。
柔らかくポップな絵柄とキャラクター造形、言葉一つ一つの間とセンスが楽しく、キャラコメディとしてだけでもしっかり楽しめます。
そのコメディ部分が安定してキープされつつも、キャラクターたちの抱える悩みや葛藤の説得力がしっかりとあるため、わかりやすく噛み砕かれた”サルトルさん”の言葉が実感を持って飲み込めるようになっています。
思考することが、遺した言葉が、いつかの誰かを救うかもしれない。そんな気持ちになれる優しい作品です。


今日から始める幼なじみ(1)』 著・帯屋ミドリ
…くらげバンチ(新潮社)

航平とは家も隣、教室での席も隣。そんな出会ったばかりの転校生の女子・楓に突然された告白は「幼なじみになってほしい」というものだった。
フィクションにおける「幼なじみあるある」に憧れるちょっとズレた夢見る少女と、戸惑い半分ドキドキ半分で幼なじみごっこに付き合わされる少年の、距離感ちぐはぐピュアラブコメ。

幼なじみヒロインのラブコメは数あれど、一から幼なじみになろうとするヒロインはなかなか珍しいですね。
「あるある」を通りつつ、偽物幼なじみである故の美味しさもバッチリ魅せてくれる、ウブコメ(ラブ手前でもたついているかわいいコメディ)好き必見の作品です。
振り回す女の子と振り回される男の子の構図ではありますが、女の子の方も余裕たっぷりとはいかないタイプなため、照れで両者とも赤くなる展開の可愛さが特に推しポイントです。


それでも吉祥寺だけが住みたい街ですか?(1)』 著・マキヒロチ
…コミックDAYS(講談社)

吉祥寺に構える不動産屋を営む大きめ双子ガール・富子と都子。
今日も人生と引っ越し先に迷えるお客さんが、「なんとなく良さそう」な吉祥寺の物件を求め、彼らを訪ねる。けれど、客の話を聞いた二人の発した言葉は…
「それ、吉祥寺じゃなくね?」
住む”街”を選ぶってこんなに楽しい!首都圏暮らしを楽しくする街歩きコミック。

物件の面白さもさることながら、個性豊かな首都圏の街それぞれの魅力が詰まった作品です。ライフスタイルにぴったり寄り添うような提案と驚きの気持ちよさが癖になります。
前作『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』のリニューアル続編1巻になります。
単話構成であり、この『それでも~』から読んでも楽しめるかと思いますが、主人公である富子・都子の住居リノベなど、数話に渡って並行して展開されるストーリーもあるため、全6巻の前シリーズもぜひ。
前シリーズでは主に単身女性の引っ越しを扱っていましたが、今回は冒頭のお客さんが男性だったりと、より多様な暮らしにフォーカスしていくことへの期待感が高まります。
本文内容に関係のない余談ですが、単行本にカバーのない一風変わった装丁がオシャレなので、個人的には紙の本がオススメです!


今回の紹介は以上になります。

おしまいの雑談、今回は今気になっているマンガニュースを。
11/22オープン予定の【&Sofa】というWebサイトについてです。

まだオープン前なのでTwitterアカウントを…。池辺葵先生作のヘッダーが素敵です!
講談社アフタヌーン発のWebサイトで、マンガ以外にもコラムや小説が掲載されるようです。
常に名作を出し続けるアフタヌーン編集部が「Web向け」を意識して発信するコンテンツ。どんな作品に出会えるのか今から楽しみです。

それではまたお会いしましょう。楽しいマンガ生活を!

9℃

ありがとうございます!これからも頑張ります。