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【7月編】漫画家9℃の月推しマンガ4選2022

こんにちは、漫画家の9℃です。

こちらは
マンガ好きの漫画家が、先月発売新刊の中からおすすめタイトルを紹介する
という記事になります。

7月発売新刊の中から、今回は4作品選出させていただきました。


以下、作品タイトル(巻数)・著者・レーベル(出版社)・あらすじ・セールスポイント、という感じで紹介していきます。
電子書籍ストアBookLive!のリンクを貼っていますが、「書影がすぐ見れる」「登録なしでブラウザ試し読みができる」「私が普段使いしている」という理由です。
BookLiveに扱いのない作品については、公式サイトを載せています。

それでは紹介させていただきます!


『エリートは學び足りない(1)』 著・粥川すず

…モーニング(講談社) 

大正時代、学び志す青年たちが通った【旧制高校】。
若くして文芸賞をとった天才作家・梅原と、田舎出身で「友達を作ること」に強い思いを抱く主席合格者・大石。
まったく噛み合わないふたりの、学びと青春の忙しない日常譚。

歴史ロマンの詰まったディテールが見事に表現された、まず視覚の嬉しい一作です。
「賢く成績が良い、けれどそれぞれの中身は若く青い」の実在感が心地よく、彼らの成長と関係構築をあたたかく見守りたくなります。


『GLITCH - グリッチ -(1)(2)』 著…シマ・シンヤ

…ビームコミックス(KADOKAWA) 

新しく引っ越してきた町は、なんだか少し「おかしい」。
けれど、ここではそれが「日常」。
これから何かが始まるのか、それとももう終わりかけているのか。
静かな危機に瀕した世界と少年少女たちの物語。

コントラストの気持ちいい画面穏やかで淡々とした語り口が、世界観にとてもよくマッチしていてどんどん引き込まれていきます。
多くを語らない構成で、この作品における「普通」と「異常」の境界線を推し量るのに最初すこし苦労しますが、それも含めての読書体験かと思います。
1・2巻同時発売。1巻は状況と世界観の把握という感じなので、ぜひ動き出す2巻まで一気読みしてみてください。


『中高一貫!! 笹塚高校コスメ部!!(2)』 著・吉田貴司

…ゲッサン(小学館) 

ランニング、筋トレ、メイク練習、ポーズ研究…。
日々「カワイイ」の鍛錬を続けるコスメ部のメンバーたち。惚れるのではなく、惚れさせる!
磨いたモテテクで輝きを放つ彼女たちに、イケメンの魔の手が忍び寄る…?

シュールなコメディなのに、謎にリアルでハートフル
あくまでも真剣にシリアスに演出していくことで生まれた絶妙なバランス感と情報量に、不思議な中毒性を感じます。
主役格であるキャラクター・藤野宮苺の造形が特に良く、モテテクを体系として完璧に使いこなす賢しさと格好良さを持ちながら、一方で外面至上のルッキズムについて深い思いを巡らせていそうな奥行きが魅力です。
オシャレ讃歌だけでは終わらない、考えさせられつつも笑えて元気の出てくる作品です。


『2年1組 うちのクラスの女子がヤバい(1)』 著・衿沢世衣子

…トーチ (リイド社)

思春期の女子に発現しやすいと言われている、特に便利なわけでもない不思議な能力である「無用力」。
この無用力を、1組の女子は全員持っている。
普通じゃない悩みもあるけど、普通にも悩んで青春してます。

前作を一冊にまとめた総集編『1年1組 うちのクラスの女子がヤバい』も同時発売。そちらから読むのをオススメしますが、単体でも楽しめます。
ヘンテコな異能を発動させつつも等身大の成長や人間関係を端正に描く、飽きの来ない日常コメディです。
甘すぎずしょっぱすぎず、たまにちらりと見えるくらいの絶妙なラブ要素の威力もたまりません。


今回の紹介は以上になります。

先月は紙の漫画ならではの要素ということで帯についておしゃべりしましたが、今回は同じく紙のみの要素である「本のサイズ」についてちょっと話して終わろうと思います。
漫画に多いサイズは「新書」「B6」「A5」ですが、皆さんの本棚にはそれぞれどのくらいあるでしょうか。(私は2:7:1くらいです)
電子ではデバイスの大きさによって漫画サイズも変わるので、元の大きさがどれであるかということって値段くらいしか関係ないんですよね。大きいゆえに高価な本、電子で買うとほんの少し悔しいような…。
電子書籍の市場が大きくなっていくにつれ、紙の漫画のサイズも均一化されていくのか、それともこのまま文化として維持されるのか?注目していきたいなと思います。

それでは、今月も楽しいマンガ生活を!

9℃

ありがとうございます!これからも頑張ります。