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【2月編】漫画家9℃の月推しマンガ4選2022

こんにちは、漫画家の9℃です。

こちらは
マンガ好きの漫画家が、先月発売新刊の中からおすすめタイトルを紹介する
という記事になります。

今回で当シリーズも2年目突入!
どんどん出る期待の新作になんとか食いつき紹介していきたいと思います。

まずは今回推したい作品のタイトルから。
2月発売新刊の中から、今回は4作品選出させていただきました。こちらです!

褒めるひと 褒められるひと(2)
僕はメイクしてみることにした
アクロトリップ(4)
アビスアジュールの罪人(1)(2)

だいぶバラバラな読み味の作品が並んでしまったのですが…
今日の気分に合わせて手に取ってみるのもオススメです。


以下、作品タイトル(巻数)・著者・レーベル(出版社)・あらすじ・セールスポイント、という感じで紹介していきます。
電子書籍ストアBookLive!のリンクを貼っていますが、「書影がすぐ見れる」「登録なしでブラウザ試し読みができる」「私が普段使いしている」という理由です。

それでは紹介させていただきます!


褒めるひと 褒められるひと(2)』 著・たけだのぞむ
…パルシィ(講談社) 

褒められると、やる気が出てくる。誰かを褒めると、良さに気づく。
そんなグッド・コミュニケーションをはかりつつ、なんだか少しずれている、でもやっぱりどこか優しい職場の面々。
日々の仕事をこなし、褒めて褒められ、徐々に変わっていく世界の見え方が気持ちいいのんびりお仕事コメディ。

あるある!いるいる!と思わせる共感力と、安心して見られるシュールコメディとしてのバランスが絶妙な本作。
ギャグ調でありながら、こんな人たちとお仕事をしたい…とじんわり癒されるあたたかさに溢れています。
そして、読み終わったら誰かと褒め合いたくなってくるのです。


僕はメイクしてみることにした』 著・糸井のぞ/鎌塚亮
…VOCE(講談社) 

38歳、サラリーマン。ふと鏡に映った自分の姿に焦りを覚え、ドラッグストアに行ったことが始まりだった。
スキンケアからメンズメイクへ。平凡な中年男性である彼の世界が、メイクを通して広がっていく。
「自分自身のために、少しだけ使ってみる時間」に手を延ばす物語。

オシャレなカバーデザインの中、知らない世界に戸惑う主人公。これだけで作品を見事に表現しきっており見事ですね。
ファッション誌発の作品ということもあり、得られる情報の丁寧さはそもそも勉強になるのですが、スキンケア初心者も臆させない構成による読みやすさが一番の魅力だと思います。
老若男女、すべての頑張る人に向けた作品です。


アクロトリップ(4)』 著・佐和田米
…りぼん(集英社)

日々、魔法少女と悪の組織の闘いが繰り広げられる世界…だけど、悪の組織の総帥・クロマがあまりに弱すぎる!!
と思っていた魔法少女マニアの少女・地図子は、クロマに素質を見出されなぜか参謀として組織に加入する羽目に。
そこそこに闘いつつ馴れ合いつつ、(ツッコミが)激しくも緩いリリカル日常コメディ。

りぼんだし児童向けでしょ?と侮ることなかれ。ビジュアルも人生も際立っている個性豊かなキャラクターたちの紡ぐハイテンションコントは、大人でもしっかり楽しめる完成度です。
毎話単発構成がほとんどですが、しっかり丁寧に人間模様が動いていく様も見所です。ダメな大人のお兄さんと彼を導く少女との関係がどんどんきょうだいのように収まっていく様子も癒しのひとつ。
たまに挟まるシリアス要素も良いスパイスになっている、満足感たっぷりのタイトルです。


アビスアジュールの罪人(1)(2)』 著・冨明仁
…ハルタ(KADOKAWA) 

海の奥深く、そこに人魚の住む国がある。
「人間に存在を知られてはならない」という掟をある人魚が破り、物語は大きく動き出す。
人間と人魚、共存と侵略、恋と友情。
何を得て何を失うか、予測不可能なロマンスアドベンチャー。

冒頭からその規格外の描写力に圧倒され、いったん「漫画を読み始めた」ことを忘れるほどに世界に没入してしまいます。
海の美しさは白黒でも表現できるものだな…と思いながら、深海の国らしい独特な作りの建物や小物のデザインが楽しく、そしてキャラクターの表情豊かな美しさが世界観の個性に埋もれることなく大きく存在しています。
2冊同時発売だったためこの形で選出しましたが、お話の始まりである1巻でこの世界の観光を堪能し、謀略や切ないすれ違いが生まれ始める激動の2巻を読んで先の展開にゾクゾクする…という完璧な布陣になっていましたので、ぜひ2冊同時にどうぞ。


今回の紹介は以上になります。

このシリーズ記事を始めて一年が過ぎ、追いかけている漫画の新刊発売を逃さないようになりました。
日々新たな名作を目を皿にして探している賜物だなあと嬉しくなります。

翻って、最終巻発売や完結後に素敵な作品に出会ったとき、もっと早く知ってれば人にももっとオススメできて…なんて悔しく思うことも少なくありませんが。
「今出会ったから刺さった」という感覚もあったり、読者と作品の出会いは一人に一度きりしか訪れませんから、それ込みで”作品”として楽しんでいきたいですね。

それでは、今月も楽しいマンガ生活を!

9℃

ありがとうございます!これからも頑張ります。