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【6月編】漫画家9℃の月推しマンガ2021

こんにちは、9℃です。

こちらは
マンガ好きの漫画家が、先月発売した中からおすすめタイトルを紹介する
という主旨の記事になります。

のんびり続けて第5回!

まずは、今回推したい作品タイトルを一気にどうぞ。
6月発売新刊の中から、今回は5作品選出させていただきました。こちらです!

三千年目の神対応(1)
教室の片隅で青春がはじまる
しょうもないのうりょく(2)
自分サイズでいこう 私なりのボディポジティブ
きみ子は残像を愛す(1)

今月は、じめじめむしむし気分を吹き飛ばす、優しい&楽しいお話がいっぱいです!


以下、作品タイトル(巻数)・著者・レーベル(出版社)・あらすじ・セールスポイント、という感じで紹介していきます。
電子書籍ストアBookLive!のリンクを貼っていますが、「書影がすぐ見れる」「登録なしでブラウザ試し読みができる」「私が普段使いしている」という理由からです。

それでは紹介させていただきます!


三千年目の神対応(1)』 著・加藤文孝
…ヤングマガジン(講談社)

霊感の強い高校生・十蔵は、超絶かわいい”神様”の女の子・御魂と出会う。
神様をやめたい御魂に出会い頭にされたお願いは「私と結婚してほしい」というものだった。
しかし、結婚手続きに必要な印鑑の紛失、見つけ出すのに数百年…。三千年を生きる神様との様々なズレに続々振り回される十蔵。この出会い…どうなる?

荘厳な寺社や禁足地の描写が美しく、電車や逆さ世界の独特な世界観にも引き込まれます。白黒の漫画画面故の良さも大きいですが、ぜひアニメ映画なんかの大画面でも見てみたいですね。
それだけ壮大でありながら、やっていることは初心な少年少女の珍道中。すごいことが起こっているにも関わらず、マイペースに等身大の思春期を見せてくるギャップがとてもクセになります。


教室の片隅で青春が始まる』 著・谷口菜津子
…ビームコミックス(KADOKAWA)

宇宙にたくさんの文明があり、異星間交流の進んだ世界。
女子高生・まりもは、人気者になりたい気持ちがいつも空回り。地球の学校に通うネルは、地球で恋人を作りたいがうまくいかない。
教室の少女たちそれぞれに、表面には見えない痛みと悩みと焦りがあった。集団の中にいながら孤独だった彼らの、静かでちっぽけで壮大な青春のお話。

幻想的でポップな画面作りでありながら漫画としての読みやすさも両立しており、目だけでもかなり心地よく楽しめます。
そのビジュアルとファンタジックな世界観が、現実的でピリ辛な「生き辛さ」の丁寧な描写をうまくまとめており、しっかりと心に響くもののマイルドな着地をしてくれて、重すぎない読み味になっています。
様々な立ち位置の女の子が主人公ですが、決して女子にしか分からない感覚を描いたものではなく、「青春」という言葉に酸いも甘いも翳りも憧れも、一言で言い表せない思いを持つすべての人にオススメの一冊です。


しょうもないのうりょく(2)』 著・高野雀
…バンブーコミックス(竹書房)

この世界の人々は、誰もが異能力を持っている。それは「書類を崩さずに詰める能力」のように取るに足らないものがほとんど。
それなりにゆるくそれなりに忙しくOLをする星野は「他の人の異能力がわかる能力」を持っているが、公表はしていない。
能力に時に助けられ時に翻弄されながら毎日を生きる人たちの、少し不思議な日常物語。

タイトルにもあるように「しょうもない」のオンパレードですが、その多彩なしょうもなさの引き出しが、世界観の奥行きを見事に作りだしています。
異能力を日常に活かしつつも、さして私たちの生活と変わらない平凡さを描いてくれていることで感じる安心感と共感性に惹かれます。
もしかしたら私たちにも能力があるのかも…と思わせてくれる、壮大なバトルも陰謀もないけど静かにワクワクできる名作です。


自分サイズでいこう 私なりのボディポジティブ』 著・hara
…コミックエッセイ(KADOKAWA)

理想の体型、理想の顔立ち、理想の自分を追い求めるあまり、”今の自分”を大事にしてあげられなくなっていたら。少しだけ、世界の見方を変えてもいいかも。
イラストレーター・hara先生が自身の体験エッセイを中心に送る、「ボディポジティブ」のススメ。

オシャレでかわいい「ぽっちゃり女子」の素敵なイラストを描かれるhara先生の人生、そして一つ一つの人生を優しく包み込むようなエッセイ。
ステレオタイプへの抵抗・女の子のためのお話…と身構える必要は一切なし。老若男女誰のためのお話でもありながら、ぴったりあなたはこれからこうしなきゃ!というお話でもありません。
とても大きなテーマでありながら、穏やかに明るく等身大の人生との向き合い方のヒントをくれる素敵な本です。


きみ子は残像を愛す(1)』 著・かしこ
…単行本コミックス(KADOKAWA)

ゆっくりのんびり生きる女子高生・大取きみ子が恋をしたのは、ハイパーせっかち男子・瀬加くん。どうにかアプローチをしようにも、話しかける先はいつも彼が通った後の残像。
究極の凸凹すれ違いラブの行方は…!?

大変テンポの悪いキャラクターのやり取りを大変テンポのよい漫画にして表現するという、器用さとセンスの光る新作ラブコメです。
必死なヒロインたちのいきいきした表情が可愛らしく、一方で「残像」のインパクトも大な画面作りも魅力で、読んでいて飽きのこない賑やかさが素敵です。
ギャグ色が濃いながらも、ラブコメとしての感情の機微・これからの進展にもときめきが詰まっており、平和でありながら読み応えのあるオススメ作品です。


今回の紹介は以上です!
気になった作品がありましたら、ぜひお手に取ってみてください。

今回は偶然、カドカワさん作品率が高いですね~。
様々なジャンルを取りそろえた多彩なレーベルを扱って下さってます。ありがたい!

それでは、またお会いしましょう。

9℃

ありがとうございます!これからも頑張ります。