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【4月編】漫画家9℃の月推しマンガ4選2022

こんにちは、漫画家の9℃です。

こちらは
マンガ好きの漫画家が、先月発売新刊の中からおすすめタイトルを紹介する
という記事になります。

4月発売新刊の中から、今回は4作品選出させていただきました。


以下、作品タイトル(巻数)・著者・レーベル(出版社)・あらすじ・セールスポイント、という感じで紹介していきます。
電子書籍ストアBookLive!のリンクを貼っていますが、「書影がすぐ見れる」「登録なしでブラウザ試し読みができる」「私が普段使いしている」という理由です。
BookLiveに扱いのない作品については、公式サイトを載せています。

それでは紹介させていただきます!


『ザッケン!!(1)』 著・上村奈帆/プクプク

…裏少年サンデー(小学館) 

これだ!と思うようなものがなく、「青春」を居心地悪く感じているゆかり。そんな折に出会った”ドクダミちゃん”は「雑草研究部」を名乗る雑草大好き少女だった。
引っ張られるように始まったほんの少しの興味で、世界の見え方がひとつずつ変わっていく楽しく優しい日常譚。

実在する高校の雑草研究部に取材をしており、等身大かつ学びの深い作品です。
柔らかく温かみのあるタッチで描かれた画面が気持ちよく、つい今すぐ散歩に出かけたくなるような爽快感であふれています。
小学生も楽しめるように」と銘打たれており、お話もホスピタリティ(フリガナなどの細かな配慮)も丁寧さが行き届いています。この時代にこそ老若男女に読んでほしい期待の新連載です。


『きつねとたぬきといいなずけ(2)』 著・トキワセイイチ

…ブレイドコミックス(マッグガーデン) 

人間・田中と、きつねとたぬき・ナツネとタヌロヲは…許嫁?
人の住む街で見るものすべてが新鮮で、田中や他の人々と接するうち、学んだことも知りたいことも増えていくナツネ。
優しくて寂しくて深くて温かい、すぐ隣にあるかもしれない物語。

言葉選び、そして言葉選ばなさ(あえて言わないこと)のセンスが卓越しており、戯曲のようなリズム感が気持ちいいです。
考えさせられるような哲学的な軸がありながらも、頭をからっぽにしてゆるく楽しめるのんびりさも両立しており、ふとしたときに再びページをめくりたくなる、疲れに寄り添うような名作です。


『Rooms』 著・海島千本

…PIE Comic(PIE International)

好きなものに囲まれて、”生きてる私”が積み重なって、そんな風にできた「私の部屋」は自身のようで、大事なパートナーのようで。
女の子たちとそれぞれの暮らす部屋での一幕を描いた、イラスト×漫画のフルカラー短編集。

試し読みで伝わる良さが全てを語っているとも思うのですが…。
伸びやかな線と自由で光あふれる華やかな色使いに、住んでいるのは女の子だけですが誰しもときめいてしまうこと間違いなし。
イラスト、漫画ときて続くおまけページも大変豪華で、家全体の間取りや別の部屋の様子、服や小物など拘り抜かれた世界観の情報量は圧巻です。
ひとつひとつのストーリーは短くシンプルですが、タイトル通り部屋の物語る彼女たちの魅力の奥行きは底知れず、そして自身の暮らしにも活力を与えてくれる気がする一冊です。


『ことり文書(1)』 著・天野実樹

…ハルタコミックス(KADOKAWA)

大きな屋敷に住む元気いっぱいのお嬢様・ことりと、そんな彼女に振り回され手を焼く真面目な執事・白石。
噛み合わず、相性が悪くも思えるお互いだけれど…「甘えられる」「大事な」掛け替えのない存在で。
楽しいことにもうまくいかないことにもまっすぐにぶつかっていく、表情豊かなどたばた日常コメディ。

このnoteではこれまでも数々のハルタ作品を紹介してきましたが、一貫して言えるのは作画の細やかさと華やかさ。こちらのタイトルも例に漏れずです。
主人公・ことりのコロコロ変わる表情とおてんばでダイナミックな所作が愛らしくかつ美しく、彼女の一挙一動から目が離せなくなります。気分はすっかり執事目線。
キャラクターひとりひとりの立体的な描写力も魅力で、回を追うごとに新たな一面を見つけ、好きなところがどんどん増えていく嬉しさに満ちた作品です。


今回の紹介は以上になります。

おわりの雑談がわりに、私事ではあるのですが…漫画の話題ということで、紙単行本と電子単行本についての話をした記事を貼ります。

漫画のあり方、作家のあり方、読者のあり方は様々だと思うのですが、それのひとつの側面としてご興味のある方はどうぞ。
変化を楽しみながらも居心地よく自由な作品づくりをしていけたら幸せだなと思います!今はなかなか幸せです。


それでは、今月も楽しいマンガ生活を!

9℃

ありがとうございます!これからも頑張ります。