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【8月編】漫画家9℃の月推しマンガ2021

こんにちは、漫画家の9℃です。

こちらは
マンガ好きの漫画家が、先月発売新刊の中からおすすめタイトルを紹介する
という記事になります。

第7回です!

まずは、今回推したい作品のタイトルから。
8月発売新刊の中から、今回は4作品選出させていただきました。こちらです!

瑠璃の宝石(2)
あさひ大家族(1)
そのへんのアクタ(2)
紙一重りんちゃん(1)

漫画といえばバトルラブサスペンス…という方も多いのでは、と思います。
でも面白いのはそれだけじゃない…!!というラインナップになりました。ぜひ!


以下、作品タイトル(巻数)・著者・レーベル(出版社)・あらすじ・セールスポイント、という感じで紹介していきます。
電子書籍ストアBookLive!のリンクを貼っていますが、「書影がすぐ見れる」「登録なしでブラウザ試し読みができる」「私が普段使いしている」という理由からです。

それでは紹介させていただきます!


瑠璃の宝石(2)』 著・渋谷圭一郎
…ハルタコミックス(KADOKAWA)

女子高生・ルリは、鉱物を研究する大学院生・凪ととあるきっかけで知り合い、行動を共にし始めた。水晶、ガーネット、金…そしてサファイア。ミーハーな気持ちから芽生えた「綺麗で高価な石」を手に入れることへの意欲は、新たな出会いと発見を繰り返しながら、次第に形を変えていく。

地質学に関しての知識がほとんどなくとも「調べること」「考えること」「見つけること」「遺すこと」という、自然を解き明かしていくことの途方もなさと面白さとを存分に味わえる物語です。
その上で堅苦しさや単調さは全く感じさせません。キャラクター達の成長や関係の変化も織り交ぜながら、描くテーマへの誠実さと、演出により増幅されるワクワク感との絶妙なバランスが非常に読みやすく、かつ読み応えのある作品です。


あさひ大家族(1)』 著・ふじた渚佐
…アクションコミックス(双葉社)

パワフル&家庭的な少女・あさひは、個性のありすぎる賑やか8人家族に翻弄されつつうまく扱いつつ、騒がしい日常を過ごす。
決して楽ではない生活だって全力で楽しく駆け抜ける、ハートフル家族コメディ。

「4コママンガは単調」という思い込み、あるかもしれないのですが…。そんなことはないと知っている私も、ここまでほとばしる躍動感を感じながら読める4コマはなかなか読んだことがありません。
勢いだけに持っていかれることもなく、キャラクターひとりひとりのバラバラさがとても気持ちよく機能しており「大家族」であることを主人公一人のための舞台に留まらせません。そうしてできた奥行きのある賑やかさが「彼らをもっと見ていたい」という気持ちにさせてくれる、噛めば噛むほど味が出てくる作品です。ながーく続いてほしいです!


そのへんのアクタ(2)』 著・稲井カオル
…ヤングアニマルZERO(白泉社)

地球外生命体の襲来による、地球滅亡の危機—は脱し、災害のように時折振りかかる脅威と共存する時代へと移行した。
かつて最前線の英雄として讃えられた青年・芥は、そうした状況に適応できないうち、左遷されてしまう。
新たな仲間たちと共に「戦うだけじゃない」日常の生き方を見つけ直していく、本人は至ってマジメなゆるふわコメディ。

あらすじに書いてしまいましたが「本人は至ってマジメなゆるふわコメディ」であることが、この作品最大の魅力ではないでしょうか。
壮大な世界観を扱いながら共感性の高い日常エピソードを織り込んできたり、シリアスなシーンを滑らかにギャグへと落としていったり。絶妙なバランスで見事に読者のテンションを任意の座標へ運んでくれる手際の良さがとにかく気持ちよく、ほっこり笑えるあたたかな作品です。


紙一重りんちゃん(1)』 著・長崎ライチ
…ハルタコミックス(KADOKAWA)

お勉強が誰より得意な小学生・りんちゃん。けれどその賢い頭の中は、気になることでいっぱい。
家族に友人にクラスメイトに、時に困られ時に呆れられながら。りんちゃんは、それでも大きく小さく、そして楽しく世界のことを考え続ける毎日です。

共感できることからちょっとついていけないことまで。余すことなく拾いきり、そしてぶん投げていくという…鋭く持った感性をけして武器のように振りかざすことのない、唯一無二の優しいシュールさが魅力。レトロ味を感じる絵柄も味わい深いです。
いわゆる「一般人」に近い感性の人たちも多めに出てくるので、ツッコミが入るべきところにしっかり入ってくる気持ちよさと安心も。
短く軽快なリズムで紡がれるセリフの端々から感じられる気持ちいいくらいの「違和感」がクセになること請け合いです。


今回の紹介は以上です!

先日、長く電子書籍化されていなかった作品がとうとう配信スタートされまして、遅ばせながら楽しませていただきました。
マンガ好きであり装丁に愛着があり、紙書籍でだけ得られる魅力をいつまでも味わえるといいな…という思いは強くあります。
その一方で、増え続ける作品に対していつも欲張りであり続けられること、「読みたい」と思った次の瞬間には物語に入り込める体験が、電子書籍にとても支えられているなあと常々感じています。
あれも、これも、遠くないうちに電子書籍化するといいな…!と欲が尽きない読者でした。

それでは、またお会いしましょう。

9℃

ありがとうございます!これからも頑張ります。