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【11月編】漫画家9℃の月推しマンガ4選2021
こんにちは、漫画家の9℃です。
こちらは
マンガ好きの漫画家が、先月発売新刊の中からおすすめタイトルを紹介する
という記事になります。
記念すべき第10回!
細々とですが、続けられて嬉しいです。
まずは今回推したい作品のタイトルから。
11月発売新刊の中から、今回は4作品選出させていただきました。こちらです!
ポジティブぼっちハルミちゃん(1)
女子高生はおはようって言う(2)
異刻メモワール(1)
矢野君の普通の日々(1)
疲れた心に元気を届ける作品たちです。ぜひどうぞ!
※
以下、作品タイトル(巻数)・著者・レーベル(出版社)・あらすじ・セールスポイント、という感じで紹介していきます。
電子書籍ストアBookLive!のリンクを貼っていますが、「書影がすぐ見れる」「登録なしでブラウザ試し読みができる」「私が普段使いしている」という理由からです。
それでは紹介させていただきます!
『ポジティブぼっちハルミちゃん(1)』 著・亜乃アメ助
…くらげバンチ(新潮社)
高校に入学して、なんとか入れた友達グループ。だけど足並みを揃えようと意識しすぎるフユは空回り気味で、うまくいかなさに焦っていた。
そんな折に彼女が見たのは―クラスの人気者・ハルミが、楽しそうに「おひとりさま」を謳歌する姿。マイペースに充実したぼっちの日々を送るハルミに戸惑いつつ、次第にフユの心にも変化が訪れていく。
思春期らしい人との触れ合いへの過敏さ、悪意のない”全体”の残酷さをリアルに押さえつつも、ストーリーの軸をタイトル通りあくまでポジティブにしっかり引っ張っていくバランス感が見事な作品です。
主人公兼語り部であるフユのツッコミも、読者目線と見せかけてなかなかシュールなリアクション芸となっており、毎話しっかり楽しめます。
この手の「次はどんなヤバいけど楽しそうなことしてくれるんだろ」系作品でここまでしっかりとキャラ背景や成長を描こうとする作品は私にとっては新鮮で、そういう欲張りな作風だからこその満足感を味わえると思いました。
『女子高生はおはようって言う(2)』 著・ルシファー吉岡/ゆめみつき
…月刊少年ガンガン(スクウェアエニックス)
―「アポロ計画は疑って男女交際だけは信じるなんておかしいだろ!」
中学から寮制男子校に通う4人は、高校2年の春、突然の共学化を迎えパニックになっていた。
4年間女子と隔絶された環境にあった彼らにとって、女子高生は憧れと信仰、そして未知からくる恐怖の対象である。
彼らは戦うことを決意する。共学という異世界で、素晴らしい青春を送るために!キラキラぶっ飛び拗らせコメディ。
他の作品であれば間違いなくイケメン扱いどころかメイン攻略対象といったビジュアルの主人公たちなのですが、この世界においてはただ絵柄が素敵なだけであり、彼らの美しさは内容にまったく関係しません。
煌びやかなタッチと、あくまでも真面目に斜め上に暴走していく展開との温度差が癖になります。
2巻になっても現状顔と名前の一致する女の子キャラが登場していない徹底ぶりですが、いつか何かが始まることはあるのでしょうか…。
男子校あるあるもないないも詰まった、満足感たっぷりのタイトルです。
『異刻メモワール(1)』 著・るん太
…ComicWalker(KADOKAWA) (※レーベルは「単行本コミックス」となっています)
下校途中のトモは不思議な少年・リツに出会い、気がつけば二人はリツの住む異世界へ飛ばされていた。
トモが元の世界に帰れることを願いながら、彼を励まし、二人で過ごす時間を無邪気に楽しむリツ。
一方のトモは、辛いことばかりの元の世界に帰りたくないと思いながら、傷ついた心を少しずつ癒していく。
形式としてはワイド4コマですが、単調なコマ構成に阻まれない構図切り取りの巧みさと表情・世界観の豊かさで決して目が飽きず、それでいて疲れません。
話を追うごとに徐々に見えてくる人物や世界のバックボーンに前のめりになりつつも、まっすぐに可愛らしく温かい絆が育まれていくのをのんびりと楽しむことができる、押し引きの心地よさが光る作品です。
『矢野君の普通の日々(1)』 著・田村結衣
…コミックDAYS(講談社)
世話焼き委員長・吉田さんには気になるクラスメートがいる。毎日ケガの絶えない彼—矢野くんは、驚異の不器用さと不運力の持ち主だった。
ボロボロになりながらも健気に生きる矢野くんに惹かれていく吉田さんはある日、彼の「普通の高校生活を送りたい」という思いを知る。
なかなか進展しないのは彼の不運のせいか、それとも天然のせいか!?なピュア青春コメディ。
表紙から滲み出る耽美さに、さぞかし物憂げな薄幸の少年の全然普通じゃない日々の物語なのだろう…と心して読み始めたのですが、いい意味でしっかり裏切られました。
白黒調の爽やかさが気持ちいいすっきりとした画で紡がれる「そうはならないでしょ」と言いたくなるシュールなアクシデントの数々が、脳にいい混乱を起こしてくれます。
不運キャラを主軸にし、そのうまくいかなさに真正面から向き合うような話の構成でありながらも、全体をまとめあげる明度センスとキャラクターたちの眩しいほどの優しさによって、常に気持ちの良い読み味が成立しています。
今回の紹介は以上になります。
先日は宝島社さんの「このマンガがすごい!2022」が発表されましたね。
マンガが好きで新作中心にあれこれ見つけるのを楽しんでいる私ですが、「人の読んでいるマンガ」を、しっかりと人の存在を感じながら知ることができるのが、このマンの魅力だなあと毎年楽しみにしています。
このnoteで紹介しきれていない作品で、今回のこのマンTOP20にランクインしていた中での私のオススメは
『転がる姉弟』
『しあわせは食べて寝て待て』
『三拍子の娘』
です。他にも名タイトル目白押しなのでぜひ!
私も年明け頃、月例のオススメとは別に年間ベスト推しマンガの紹介など書けたらいいなと思っています。
来年も、おもしろいマンガが読める限りオススメを続けていきたいと思います。
これからもぜひ素敵なマンガ生活を!
9℃
ありがとうございます!これからも頑張ります。