【5月編】漫画家９℃の月推しマンガ4選2022
こんにちは、漫画家の９℃です。
こちらは
マンガ好きの漫画家が、先月発売新刊の中からおすすめタイトルを紹介する
という記事になります。
5月発売新刊の中から、今回は4作品選出させていただきました。
※
以下、作品タイトル（巻数）・著者・レーベル（出版社）・あらすじ・セールスポイント、という感じで紹介していきます。
電子書籍ストアBookLive!のリンクを貼っていますが、「書影がすぐ見れる」「登録なしでブラウザ試し読みができる」「私が普段使いしている」という理由です。
BookLiveに扱いのない作品については、公式サイトを載せています。
それでは紹介させていただきます！
『白山と三田さん（２）』 著・くさかべゆうへい
…少年サンデー（小学館）
色々あって、恋をするより先に交際を始めた田舎高校生カップル・白山と三田さん。
ふたりは夏休みに、泊りがけで東京旅行をすることに。
ドキドキが始まるかと思いきや斜め上へ、かと思いきややっぱりなんだかキュンとする、スローカーブ青春ラブコメディ。
「ラブコメの見せゴマって多分こういうのじゃない」と言いたくなるようなインパクトある画面の数々が癖になります。
恋についても田舎生活の悩みについても整然と言語化していく主人公たちの会話劇も心地よく、読みごたえはあるのに疲れません。
シュールではあるけれど分かりやすく、淡々としているように見えて情動豊かな、加速調整のセンスが光る作品です。
『ごくちゅう！（２）』 著・こんぱる＆ふじしまぺポ／草下シンヤ／雨宮
…ヤンマガWeb（講談社）
ここは刑務所、女子の雑居房。
罪を犯して投獄された女の子たちの、ゆるふわ刑務ライフを覗いてみよう！
まさかの日常獄中萌えコメ。取材もばっちりの本格派です。
キャッチーさを求め、カワイイジャンル作家は常に「美少女×○○」の題材にまだ埋まっていないところはないかと目を光らせているものですが、なるほどまだこんなところに…。
ほわっと柔らかい絵とキャラクター・賑やかな日常系のかわいさに、隠し切れない闇の香りをうまくスパイスとして混ぜ込ませ、飽きさせない魅力として成立させています。
『ドリーム☆ドランカーズ～ヤクザと魔法の杖～（１）』 著・齊藤万丈
…どこでもヤングチャンピオン （秋田書店）
盃を交わした兄弟分の死に際に託されたのは…願いをかなえるファンシーな魔法の杖だった。
37歳のハードボイルドヤクザ、いっしょうけんめいリリカルな呪文を叫びます☆
レトロヤクザ画風とレトロ魔法少女画風を強引に蝶結びにした、作者の絵柄とセンスなしには成立し得ないコメディです。
「展開が読めても笑っちゃう」を丁寧に押さえつつ、物語がどうなっていくのか、骨太のストーリー構成にも期待が持てます。
ただの力技ではないけれどパワーと勢いも間違いなく備わった、これからが楽しみなタイトルです。
『本の虫 ミミズクくん（１）』 著・カラシユニコ
…ビッグコミックオリジナル（小学館）
小学生男子・ミミズクくんは、自他共に認める本好きである。
けれどたまには、本を閉じて向き合わなければならない現実もあって。
広くて深い文学と人生の海の中を、もがいて泳いで沈んで浮かんで生きる、ちっぽけで壮大な物語。
どこか懐かしさを感じるシンプルで優しい線が、現実感のあるシビアさとおとぎ話のようなポップさをうまく共存させています。
登場する数々の名作は実在のものであり、主人公のミミズクくんは作品と丁寧に向き合っていきますが、その解釈をこちらに押し付けるような書き方はしていません。
物語の受け取り方に正解や画一的なものはなく、誰に・いつ・どんな気持ちのときに読まれるかでまったく違う色を見せるものだなと、描く者読む者としての向き合い方を改めて嚙みしめられるやさしい作品です。
今回の紹介は以上になります。
◇雑談
昔から一定数はあっただろうと思うのですが、最近新刊をチェックしていて特に目立つのが「新連載の１・２巻（冒頭）を２ヶ月連続刊行する」作品が増えてきたなということです。
新刊棚にあって気になって読んでみたらおもしろかった！どこで連載してるんだろう…と調べてみると、もう来月に次巻が出るらしい！ という流れが作れるんですね。
読者として色々な作品を読んでいると、当然すべての続刊情報をチェックしきることは難しいし、前巻の内容も間があくとけっこう忘れちゃいますよね。
第１巻の刊行時期を遅らせることで成り立つシステムであり、連載継続が不安である作家さんには少し心配が大きいかもしれませんが（連載終了の判断が急そうなので）、雑誌は読まず単行本になったものを中心にアンテナを張っている読者に届きやすいという面で利点も多そうだなと思います。私もやってみたいです！
それでは、今月も楽しいマンガ生活を！
９℃
ありがとうございます！これからも頑張ります。