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【3月編】漫画家9℃の月推しマンガ2021

こんにちは、9℃です。

こちらは
マンガ好きの漫画家が、先月発売した中からおすすめタイトルを紹介する
という主旨の記事になります。

今回は第2回!
3月も新作がたくさんですでに紹介し足りなさを感じていますが、頑張ってオススメしていこうと思います。

忙しい方のために、まずは今回推したい作品タイトルを一気にどうぞ。
3月発売新刊の中から、今回も6作品選出させていただきました。こちらです!

海辺のキュー(3)
野球場でいただきます(1)
サブスク彼女(1)
シャドークロス(1)
紛争でしたら八田まで(5)
あさこ(3)

新作中心にと思っていますが、今回は巻を重ねて脂の乗りも絶好調!なタイトルも多めです!

以下、作品タイトル(巻数)・著者・レーベル(出版社)・あらすじ・セールスポイント、という感じで紹介していきます。
電子書籍ストアBookLive!のリンクを貼っていますが、単に「書影がすぐ見れる方がよさそう」「登録なしでブラウザ試し読みができる」「私が普段使いしている」という理由からなので、回し者とかアフィリエイトとかではありません。お好きなところでお求めください。

それでは、紹介させていただきます。


海辺のキュー(3)』 著・背川昇
…月刊ヒーローズ(ヒーローズ)


港町でイマイチな日々を過ごす女子中学生・千穂が出会ったのは不思議ないきもの・キュー。
謎だらけの存在であるものの、キューに食べられるとモヤモヤしていた感情が消え、晴れ晴れと心地よい。
一人と一匹の間には、絆が芽生え始めていた。かのように見えたが…?

とりあえず3巻まで読んでほしい!
そもそも今は3巻までしか読めないのですが…(連載は現在Webなので、公開分は読めます)
序盤から少しずつ見え隠れしていた歪みが、ここに来て一気に弾けてきました。かわいらしくも現実的な世界観人の感情の揺れを、丁寧に魅せてから満を持して破裂させてきます。
柔らかく温度感のよく伝わるタッチで描かれるからこそ、さぁっと場面が冷えていく瞬間も過不足なく伝わってくる、目が離せない作品です。


野球場でいただきます(1)』 著・出内テツオ
…角川コミックス・エース(KADOKAWA)

野球場にて、試合と飯と酒を心のままに楽しみつくすおひとりさまOL・つばめ。
球場初心者の女子大生・亀井との出会いから、さらに充実していく趣味の時間。

ご飯ものマンガについてはいずれそれだけで記事を書きたいなと考えていますが、新作で特に早めに見つかってほしい!と思ったこちらをまずは紹介。
球場飯」という限定されたジャンルのここまでの奥深さ…マンガで世界を覗き見する醍醐味だなあと思います。
野球オタクシーンとご飯紹介シーンを両立しながらもわかりにくさ・渋滞感は全くありません
球場飯の魅力を見事な表現力で伝えつつ、趣味との距離感への誠実な向き合い方や主人公ふたりの絶妙なバランス・関係の可愛さも届いてくる、かなり読み応えのある作品です!


サブスク彼女(1)』 著・山本中学
…マンガTOP(日本文芸社)

恋愛って不平等だ。私は、そんな恋愛もうしない。
搾取されない私に、搾取されない女の子たちになってやる。
そんな思いを持った女・トモから始まり広がっていく、「月額課金制彼女」のお話。

薦めておきながら、続きを読み進めるのが怖い…。
現状すでに「サブスク」の難しさ・歪さにぶつかりつつある展開ですが、サブスクじゃなかったとして彼女たちに救いがあるのかは難しいところ。簡単に救いも破滅もドラマも用意されない、故に目の離せない作品です。
紹介しようとすると重さ・異質さに焦点が行きがちですが、キャラクターの魅力がとても高く、繊細な描写に引き込まれます。
特にかわいいのが、現状主人公を唯一の本命の相手と信じている(が今後の保証はない)コースケくん。理解しえない理論と性欲に挟まれて流されていく情けなさと興奮の表情をここまで的確に描写できるのかと…
設定自体は奇抜に見えますが、その実「恋愛って、交際ってなんなんだろう」と改めて考えさせられる、新感覚ラブストーリーです。



シャドークロス(1)』 著・スガワラエスコ
…週刊ヤングジャンプ(集英社)


人に触れられない、人が怖い、だから誰とも繋がれない。
そんな冬実が出会ったのは、ダンスだった。
男女ペアで踊るダンスの相棒を求める男、忍に冬実は手を延ばす。
ダンスでなら、世界と繋がれるだろうか。

次に来るの間違いなし!…と勝手に思っている作品です。
ダンスをテーマにするマンガ作品は数多く傑作がありますが、共通して”静止画”であることをものともしない、圧倒的な動きの表現力が魅力ですね。この作品も例に漏れず、体のラインから動きの魅せ方まで素晴らしいです。
ダンスには全く詳しくありませんが、1巻に「男性が女性側の振り付けで踊っている」シーンがあり、知識なしに見ても「男性が女性らしく踊っている」ということが視覚で伝わるんです。すごいことだなと思います…
2巻からは大会などが始まり、主人公たち以外のダンサーも見られるのでしょうか。今からワクワクが止まらない、大注目タイトルです!


紛争でしたら八田まで(5)』 著・田素弘
…モーニング(講談社)

「紛争解決屋」こと八田百合は、今日も世界を飛び回る。
民族、宗教、領土…一筋縄ではいかない相手に、持ち前の「チセイ」を武器に暗躍していく!

恥ずかしながら、学生時代あまり社会科の成績がよくなかった私ですが…
そんなこと関係なく読んで学べて楽しめる、非常に身の詰まった作品です。(このマンガだけ読んで分かった気持ちになるのは危険でしょうけど…)
ジャンル上説明口調の多くなることが避けられない作品であるにも関わらず、表情や会話劇のコミカルさ堅苦しさ・難解さをマイルドにまとめあげており、私のように地政学がサッパリでも分かりやすく楽しめるんですね。
最新5巻は八田さんの過去編とアメリカ編で、これまでの章に比べるとかなり暴力少なめ。言葉で繋げていく八田さんは特にかっこいい!


あさこ(3)』 著・よしだもろへ
…ヤングチャンピオン(秋田書店)

少年時代に実家の民宿に訪れた謎多き女性・あさこ。
彼女との思い出を一つずつ噛みしめながら、かつて少年だったマサシは「現在のあさこ」の消息を追い始める―。

「幼い頃に恋した年上のミステリアスなお姉さん」という、非現実的でありながらも誰しも思い描いたことのあるような存在の魅力を最大限に表現した画面は常にとびきり美しいです。
主人公だけでなく他の子供たちも、生育環境や周囲との摩擦のなかで揺らぐ心の質感描写がリアル。追憶を辿るという形式の作品のため、少しずつ紐解かれていく当時の子供たちの思いと、現在の成長した姿にも注目です。
夢のような淡い初恋譚と思って読み始めたこちらの作品でしたが、あさこさんの謎と少年の想いの終着点がどこにあるのか、今後も目が離せません。


というわけで、6作品紹介させていただきました。
興味惹かれるタイトルがありましたら、ぜひ読んでいただければと思います!

新刊をチェックするのにリアル書店の棚はとても便利ですが、最近は電子書店の発売順一覧をかなり利用しています。
小さなサムネイルで帯もほぼなく、限られた情報から選ぶことになりますが…
棚における位置や積まれた数の差もなく、ある意味かなり平等に並ぶ作品たちの中から自分のインスピレーションだけで手に取るのも一興だなと。

それでは、またお会いしましょう!

9℃

ありがとうございます!これからも頑張ります。