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【5月編】漫画家9℃の月推しマンガ2021

こんにちは、9℃です。

こちらは
マンガ好きの漫画家が、先月発売した中からおすすめタイトルを紹介する
という主旨の記事になります。

ゆっくりしっかり第4回!

まずは今回推したい作品タイトルを一気にどうぞ。
5月発売新刊の中から、今回は5作品選出させていただきました。こちらです!

おれの星に手を出すな!(1)
あしあと ちばてつや追想短編集
てづくりの魔法(1)
殺し屋Sのゆらぎ(4)
おやすみ前にひとつだけ

期待いっぱいの新連載から感動のフィナーレまで、幅広く名作がいっぱいです!


以下、作品タイトル(巻数)・著者・レーベル(出版社)・あらすじ・セールスポイント、という感じで紹介していきます。
電子書籍ストアBookLive!のリンクを貼っていますが、「書影がすぐ見れる」「登録なしでブラウザ試し読みができる」「私が普段使いしている」という理由からです。

それでは紹介させていただきます!


おれの星に手を出すな!』 著・静子
…バンブーコミックス(竹書房)

現れて早々人気者になった転校生・星子と、彼女を襲う悪意から必死で星子をガードする発明マニア・工太。
しかし本当に工太が守ろうとしているのは…星子の滅ぼそうとしている全人類だった!?

レトロでありながら洗練された画風とデザインで読むポップなSF青春劇です。
テンポ良い展開丁寧な心理描写もそつなくこなすバランス感と、けして急には動かないけれど少しずつ進んでいく関係と気持ちの変化がとても心地よい、これからがとても楽しみな作品です。


あしあと ちばてつや追想短編集』 著・ちばてつや
…ビッグコミック(小学館)

数々の名作を生み出した漫画家・ちばてつや氏が自ら書き綴るエッセイ短編集。戦後の幼少時代から漫画家デビュー、現在に至るまで、節々のエピソードを振り返る。

急に漫画家っぽいことを言いますが、作品を生み出すことよりも「どうやってこの作品を生み出したか」をあとで人に説明するほうがずっと難しいなと個人的には思っています。ちばてつや先生は「思って、伝える」ということが本当に丁寧で誠実で、またそういう面が週刊連載当時に現れていた様子もありありとこの本から伝わってきます。巨匠でありただのマンガ好きの一人の人間であるという、生き生きとした等身大の人生を追体験できます。
マンガを描く人読む人みんなに是非読んでほしい、作品でありながら歴史資料でもある一冊です。


てづくりの魔法(1)』 著・木村胡麻
…週刊Dモーニング(講談社)

同棲していた彼女と別れ、ぽっかりと空いた部屋と心の中で空虚に過ごしていた会社員・海は、DIYの店を持つ一風変わった女性・よしのに出会う。
生活を自らの手で形づくり彩っていく楽しみを見出し始めた海の周囲は、少しずつモノや人で賑やかになっていく。

淡々としたセリフ・構図運びが、驚きや感動シーンのきらきらした表情を引き立てている、ストーリーも画面づくりも優しい作品です。大袈裟な感情描写がないからこそ感じさせる身近さに、読めば思わずホームセンターに走っていってしまうワクワク感を覚えます。
DIYや料理などどれをとっても個性が光っていて、生活にも本棚にも少し「安心安定」を感じ始めてしまった方にオススメの一冊です。


殺し屋Sのゆらぎ(4)』 著・舟本絵理歌
…ゲッサン(小学館)

仕事のターゲットであった少女・綺利に一目惚れし、殺し屋を辞めた正太郎。
ボディーガードと主人として絆も深まっていた二人だったが、本人の意思を置き去りに進んでいく縁談をきっかけに、綺利は正太郎の手を引いて逃げ出した。
ふたりの決断とこれからを描いた最終巻。

主人公ふたりの絶妙なズレ可愛さが遺憾なく発揮されていたこれまでの巻に対し、最終巻は大きな変化と成長が光ります。それも急なものではなく、これまでの積み重ねあっての結末であるとしっかり実感させてくれる、とても静かで優しく熱いラブストーリーでした。
お互いしか見えていなかったかのようなふたりの視界が、向き合うことで広がっていく作りの温かさもぜひ感じてほしいです!


おやすみ前にひとつだけ』 著・MiyakoMiiya
…MFC(KADOKAWA)

眠れない夜に、語り聞かせる物語。
不思議で、少し怖くて、でも優しくて温かい、どこかの世界の出会いのお話を集めたメルヘン・ファンタジー短編集。

ひとつひとつのページが絵画のように美しく華やかで、眺めているだけでも幻想的な世界に浸れる素敵な作品です。
童話としてのディテールが細かく、大人になった読者たちを子供の頃に帰してくれるような雰囲気作りもばっちりですが、内容はしっかり骨太。
私のオススメ短編は『石の庭』です。


今回の紹介は以上です!
気になった作品がありましたら、ぜひお手に取ってみてください。

こぼれ漫画話を。
最近、特に「ジャンプ+」の読切マンガが熱いですね!
元々層の厚いことで有名なジャンプ系ですけど、雑誌掲載にはどうしてもついて回る「掲載枠」の制限を電子版でカバーし、かつ電子だからこその読者層の幅を活かした多彩な作品が輩出されてきてとても面白いです。

読切ならではのシンプルかつ惜しみない満足感と、凝縮された作者センスを味わうのもマンガ読みの楽しさのひとつですね。この記事シリーズでは単行本化された作品を扱っていますが、そのあたりもしっかり楽しく追いかけていきたいなと思います!

それでは、またお会いしましょう!

9℃

ありがとうございます!これからも頑張ります。