ラン逝く、23歳。

画像1 ソファーの上がランの場所だった。 わたしもときどき身体がきつくて一緒に横になる。 踏みつけたり蹴ったりしないように気を付けるのが難しい。 ひと月前からそのソファーに上がれなくなった。脚力と視力が急激になくなった。 トイレの場所も分からなくなって紙おむつをした。 寝ている時がほとんどになった。
画像2 五日前から水しか飲まなくなった。それでもお腹の呼吸はゆっくり上下に揺れて、気持ちよく寝ている時のものだった。その水も二日前から口にしなくなり、ストローで口に含ませる程度になった。 昼過ぎに呼吸が浅くなった。お腹の上下が感じ取れない。 伸びをするようにわずかに手足を突っ張った。 「にゃー」と言ったのか、口を開けたが声にはなっていなかった。 明日があるような、日常の一コマのような場面に思えた。
ラン_ピット 生まれてからずっと見てきた「ラン」。 おまえの生涯を見守れたことがわたしのなぐさめになるだろうか。先に逝った「ピット」に再会できて、顔を舐め合っているにちがいない。

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