幽霊になった妻

文田さん根建さん、コシノジュンコさんこんばんは。
先日、こんなことがありました。いつものように会社に行く準備していると、後ろから「おはよう。」と声が聞こえました。後ろを振り返ると、一ヶ月前に死んだはずの妻が微笑みながら立っていました。そうです。妻が幽霊となって僕の前に現れたのです。久々の再会に嬉しくなった僕は「おぉ!久しぶり!」と一ヶ月ぶりの笑顔で話しかけました。「実は伝えたかったことがあって…」そう妻が言うので、「なんでも遠慮せず言ってよ!」と答えると、
「あのさ、あなた服めちゃくちゃダサいよね。冒険して事故るのはまだ分かるんだけど、シンプルな服しか着てないのに微妙になるってよっぽどセンスがないと思うんだけど。あ、あとごはんちょっとだけ残したあと、バカバカハッピーターン食べたりしてるときあったよね!?あれどういう意味だった!?理解できなさすぎたんだけど!?」と彼女はフルスロットルで怒りながら、僕に対する生前の不満をぶちまけてきました。あれ…なんかドラマや映画の再会シーンと全然違うぞ…彼女とはなんでもはっきり言う性格が好きで結婚したけど、こんな感動シーンでもキレキレなのか…と戸惑っている僕とは裏腹に、彼女の不満は止まりません。
「私が仕事が大変で疲れてるって弱音吐いた時に、『俺の方が疲れてる』とかいってたよね!どこで張りあってるんだよ!『頑張ってるね〜』とかてきとうに言ってだまって寄り添えよボケナス!!中学の道徳の授業からやり直せ!」と言ったり「恋人時代、私が頻繁に連絡したら『俺はは追いかけたいタイプだからやめてよ〜』って言ってきたけど、いつまで狩猟本能に振り回されてるんだよ!テメェは縄文時代に帰って猪とどんぐりでも食っとけ!令和から出ていけ!」と言ったりと、僕に罵詈雑言を澱みなく浴びせてきました。
久々に妻に会えたとはいえ、腹が立った僕は「せっかくまた会えたのに、なんでこんなに嫌なことばっか言うんだよ!」と怒ると、妻は苦笑いをして、気まずそうに話しはじめました。
「人は生前に遺恨があると、成仏できないらしいんだよね。私があなたに対する不満を解消できないで、成仏できずにこうやって幽霊として度々現れたら、あなたは気を遣って再婚できないでしょ?だから私が不満に思ってたこと、文句言わずに全部直してよ。」と言いました。罵倒の理由がわかって納得した僕は「なるほど。じゃあ全部直さない。」と返しました。
僕は相変わらず指摘されたことを直さないので、妻は今でも度々現れてくれます。毎回決まって罵詈雑言をぶちまけられるので、本気でムカつくこともありますけどね。
文田さん根建さん、コシノジュンコさん、シンプルな服なのにダサくなってしまう人へのアドバイスをください。

追伸
この話は、去年の7月に情熱スリーポイントに送ったメールである。読み返しただけでメール投稿始めたての当時を思い出す。分かりやすい感動話にしようとしすぎたなぁ…と少し反省しているが、個人的にお気に入り。ここで供養させていただきます。


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