エルピス見ると毎回立てない。
【ネタバレ注意】
エルピス8話。
あらすじとしては、以前迷い込んだ商店街で、浅川を動けなくさせるほど危険な雰囲気を放っていた男・彰が、大門副総理の有力支持者である本城建設社長の長男だと言うことが分かり、調べ始める岸本。存在は地元でもあまり知られておらず、知っている人からでるのは高評価ばかり。しかし、八頭尾山で3人目の女子高生が殺されてから、新たな被害者が出るまでの期間、彰は海外留学をしていたらしい。岸本は聞き込みを行い、最後の被害者と親しかった友人に辿り着く。彼女の証言が、事件への重要な証拠となる。しかし、真相に辿り着いた岸本への浅川の反応は薄く…という内容。
ようやく辿り着いた真相をニュース8に持ち込み、放送してもらえるよう頼む岸本。しかし返ってきたのは冷静な言葉だった。
何でですか?と苛立ちを見せる岸本。
DNA鑑定を3件でやって全て結果が同じだった。間違いなく彰が犯人だと言う岸本。
警察に持ち込んでも、過去の過ちを認めるようなことするはずがない、そうすれば松本さんは一生釈放されないし、真犯人は野放しだと食い下がる岸本。
この意見に同意し、「ニュース8が目指すのは派手なスクープで視聴率を稼ぐやり方じゃなくて、いかに堅実で丁寧な報道で視聴者の信頼を得るかってことなんだよ」という浅川を見て苛立ちを隠し切れず、「当たり障りないことだけやってたいってことすか?ま、いいんじゃないすか、自分たちの立場を損ねないためだけの努力を勝手に堅実で丁寧だとか呼んでれば、なるほど、村井さんがくそみてえな報道とくさすわけですよ」と立ち去る岸本。
これをテレビで放送することに衝撃を受けた。いや、衝撃は毎回受けてるんだけど、だって同じテレビ局で制作してる報道が、「いくら真実だろうと立場を鑑みて報道できないことがある」って事実を、皆が薄々感じてもそれこそ【正式発表】されてこなかった事実を同じテレビから流れるドラマで描いてるんだよ…?このドラマを作る上で、報道VS情報バラエティっていうエルピスで起こってるようなことが、報道VSドラマになって実際に起きてる可能性が全然あるってことでしょ…?視聴者が報道は信用ならないと思いかねない内容を、同じテレビから流してるわけよ…?信じられる…?とんでもないドラマだよ…。
そして、何よりもぞっとしたのはこれね。
先週まで、浅川は岸本や村井さんと違って、栄転したんだと思ってたけど、よくよく考えたら、浅川を「ニュース8」の顔にすることで、視聴者は「フライデーボンボン」であんなに凄いニュースを出した人を顔にするこの局は信用できると思うじゃん。そして、自分が顔じゃないし、緩かったから自由にできた「フライデーボンボン」と違って、「ニュース8」は自分が顔だから、自由に動けばスタッフや関係者の生活を揺るがすことになる、自分だけの処分じゃ済まないっていう自覚と責任が浅川には芽生えて、派手に動けなくなるじゃん。きっと、浅川を顔に持ってきたのはそれも全部分かった上での栄転という名の処分だったんだろうなと思って、ゾッとしてしまった。何より一番残酷というか…。人の生活が掛かっているのは「フライデーボンボン」も「ニュース8」も同じなのに、こうも人を変えてしまう立場と責任って怖いな。
岸本が足で稼いできた情報も、提供してくれた被害者遺族や関係者の覚悟も、全てを潰す「被害者が風俗で働いていた」ということだけ切り取られたニュースを浅川の口から、しかもテレビ越しに聞いたときの岸本の怒りと、絶望を考えたら、悔しくて悔しくてたまらなくて涙が出た。
もうただのドラマとは思えない。毎週人の人生を切り取った瞬間を見せられてる。毎回見終わった後、30分くらい動けなくなる。とんでもないドラマに出逢ってしまった。全然結末が想像つかないけど、とにかく制作陣の本気を最終回まで余すことなく受け取ろうと思った。
あ~悔しい!!!!!毎回どんどん可愛くなる村井さんだけが救いだ…。
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