あれ。久高島の神様に呼ばれてなかった?|第3話
まさかの久高島フェリー欠航
久高島フェリーJimdoは海シケのため欠航します
2024年1月9日、沖縄行き前日。念のため、久高島フェリーの公式サイトで運行を確認。全便運行予定の文字を当たり前に想定しながら。
海シケのため翌日1月10日は全便欠航の可能性が高いです。
神様に呼ばれないと行けない島と呼ばれている所以にこれがある。フェリーが欠航になったり、用事ができたりして行けなくなる人も多く、それ故に「神様に呼ばれた人だけが行ける島」なのだ。
えっ?私、神様に呼ばれたんやなかったっけ?あれ?勘違い?まさかの呼ばれてなかった???
それでも期待した。神様がいるんやろ?自分が乗る17時発フェリーだけでも奇跡的に動くのでは…
2024年1月10日。やはり全便欠航。
民泊先とガイドさんに連絡し、那覇市内のホテルを押さえた。常連のMr.Kinjo。気の向くまま那覇市内をぶらぶらすると、やたらと龍の作り物と遭遇した。
全便欠航になったことで、何もない神様の島に行き、さらにそこで初めての民泊をするという緊張感から一瞬解放され少しホッとしている自分と、神様に呼ばれたなどと今までなかったようなテンションから一旦引き、冷静さを取り戻している自分がいた。
その夜はホテルの部屋で友人と電話し「呼ばれてなかったわ」と欠航話をツマミにお酒を飲みながら大爆笑した。一旦力が抜けて良かったかもしれない、と今となっては思う。
ついに念願の久高島へ
2024年1月11日、朝7時台のバスに乗り、9時発の高速船に乗船することができた。那覇から安座真港まで約50分、ずっと一緒に乗っていた外国人がいた。ビーチサンダルに、レジ袋に入れた大量のとろけるチーズだけを抱えている。
同じバス停で降りると「久高島?」と訊かれて、フェリー乗り場まで連れて行ってくれた。久高島には一度行ったことがある。5年くらい博多に住んでいた、などと流暢な日本語で話してくれた。彼はネパール人で、安座真港の真ん前のインドカレー屋で働いていて、那覇から安座真まで毎回バスで通っているんだそうだ。
高速船は小さく、激しく揺れた。それよりも大きな高速船にするには、他の免許がいるのでできないんだそうだ。ドイツに行った時より、アメリカに行った時より、スイスに行った時より、香港に行った時より、どこに行った時より緊張した。
神様の島というのもあったが、ホテルもないくらい観光地化していない島の島民が連泊の観光客をどう思っているのか、という懸念もあった。
早々にフェリーに乗り込み揺れながら待っていると、一席空けて同じ列に座った女性がいた。60代くらいの、マガ玉のネックレスをした芯の強そうな貫禄のある女性だ。
この人、霊能者みたいだ。
しばらくすると、空いていた真ん中の席に島民の男性が座り、その女性が話しだした。
「あの人たちはものすごく上下関係が厳しかったんでしょ。最高神女が何か言えば、絶対に逆らえなかったって。おばぁやお母さんが神女だった人たちに、あなたもおろせるんじゃない?見えるんじゃない?って聞くけど、私は全然。おばぁ、または母は神様をおろせる人だったけどもって言うのよね。」
男性が返した。
「見えても、神様をおろせても、できないっていう人が結構いるさぁ。」
島へ向かう船の中で、こんな世間話しが普通にされている、すごい…ドキドキしながら船を降りた。
この、霊能者みたいな女性が実は私が申し込んだガイドさんで、不思議な体験の前触れだった。
(続く)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?